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年末、大乗仏教の代表的な経典とされる法華経についての本を読んでみました。

2021年01月09日

小林隆彰著「法華経に聞く」法蔵館刊という本です。
法華経は大乗仏教の初期に書かれた経典であり、ブッダの晩年70歳を超えてから、インド北部の霊鷲山で説かれたとされ、利他精神の大切さを説いています。

ブッダが弟子たちのために、教えを広めるための心構えについて、教える形をとっていますが、その中で、ごく一部印象に残った2,3か所を紹介しています。

まず、弟子たちに不惜身命の菩薩として努力するよう鼓舞している部分です。字が小さいので、要点をやや大きくして示します。

一説には、ブッダはあの世の存在については「無記」、つまりあるともないとも言わなかったとされていますが、ここでは「浄土に生まれる」とか、「もう一度人間界に生まれてくる」といった表現があり、そのほかの所でも無数の地湧菩薩が湧き出てきたり、突然、大地から巨大な塔が出現し空中に浮かぶとか、ずいぶん不思議な現象が記述されています。

後半の善人と悪人に関する記述は、親鸞の「悪人正機説」に通じるものがあるでしょう。

中ほどは粘り強く、いつもやさしい心で人々に向き合うといった利他業の心得が説かれています。

この部分も利他業の心得が説かれていますが、次頁に要点を大きい字で示します。

前半の部分はなんだか宮沢賢治の「雨にも負けず」の詞によく似た雰囲気がありますね。彼が上京して、日蓮宗の田中智学の国柱会に入会したことも何となkわかる気がします。

「様々に方便して」という表現が見られますが、ブッダは人それぞれに適した方法で教えたといわれているように、先ほど触れたような色々奇跡的な場面の記述にも関連して、人を説得するのに、色々な工夫が必要であるということと関連しているように思われます。

SDGsの達成がさほど簡単ではないと思われる背景には、人はそれぞれ自分本位で利他業に徹せられる人はそう多くはなく、人間本位の自由にまかせていては持続可能ではないほど人間の影響力が大きくなった現代においては、ブッダの時代よりも難しさが増しているのではないかと思います。

ある意味、ESD普及の難しさに通じるものがあるようにも思いますが、いずれにしても、粘り強く、前向きに取り組んでいかなくてはならないということでしょう。 (文責:浮田)

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