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山折哲雄・末木文美士監修「名僧たちの教え」朝日新聞社刊から一部の紹介です。

2021年01月09日

スリランカ、タイ、ミャンマーなどは上座部(小乗)仏教系、チベット、モンゴルは密教を含む大乗仏教系、中国、朝鮮半島、日本の東アジアは大乗仏教系の3系統あり、それぞれ経典の言語は、バーリ語、漢字、チベット語だそうです。

ちなみに日本の寺院数の宗派別の割合は浄土系が40%と最も多く、、禅系が25.3%、天台・真言系22.8%、日蓮系8.5%となっています。浄土系の多い都道府県は鹿児島(73.8%)、滋賀(68.8)、大阪(66.7)など。禅系では静岡(68.3%)、宮城(63.0)、岩手(55.9)、天台・真言系では徳島(72.5%)、埼玉(56.2)、千葉(55.9)などで多く、日蓮系では山梨(27.9%)、千葉(23.0)、東京(21.5)で多くなっています。


まず日蓮(1222~1282)ですが、法然らがこの世での救いというより、西方浄土への往生に希望を託すのに対し、日蓮の特色はこの世での救済の実感を重視したと指摘しています。

 いま飢えや病気で苦しんでいる人に、来世浄土での救いを説いても何の意味があるのか。人々を苦悩から解き放つためには、何よりもまず、この現実を豊かで平和な社会に変革していく必要があるということです。

次に、良寛(1758~1831)です。子ども達と無邪気に遊んだといった印象が先行しますが、「自慢話、手柄話はするな」、「物知り顔に言う」とか、「〇〇くさき」といった偽善を嫌った不言実行の人であったとしています。

自慢話、手柄話はいただけませんね。たしかに気をつけなくてはなりません。
偽善めいた話は実践の伴わない言葉だけに終わる傾向があるということでしょうか。

また1828年京都で大地震が起きた時、良寛は友人に、「災難に逢う時には災難に逢うがよく、死ぬときには死ぬがよい。これはこれ災難をのがれる妙法だ」と書き送ったということです。

最後は、清澤満之(1863~1903)は真宗大谷派の僧侶です。

明治に入っての「廃仏毀釈」 という大きな波のなかで、仏教は存亡の瀬戸際に立たされました。この危機感の中で、清澤が何よりも危惧したのは、僧侶自身の自尊心のなさであったということです。

現在は状況が異なりますが、昨今お寺離れが進む中、あるいは人々が先行きに漠然とした不安を感じ心の充足を求めている中、仏教に関わる方々の危機意識があまり感じられないのは似たような状況であるとみることもできます。

清澤満之は結核を抱えながら、しばらく「精神主義」の普及に邁進しましたが、最後には家族にも先立たれ、失意のうちに比較的短い生涯を閉じています。

この本の中では44人の名僧を紹介していますが、このような年表を見ると、時代により、多くの名僧が活躍された時期と100年の間に1,2人のわずかしか見られない時期があることに気づきます。多かった時期は奈良時代、平安時代初期、平安末期から鎌倉時代室町時代後期、明治時代初期、一方少ない時期は平安時代中期、室町時代初期、江戸時代後期にあたります。

おそらく戦乱や災害による飢餓などが関係すると思いますが、簡単ではありません。

新型コロナ問題もありますが、持続可能な人類文明再構築のために、宗教関係者の奮闘が求められると思いますが、どうなることでしょうか。(文責:浮田)

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