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最近読んだ本の紹介 図解でわかる14歳からのプラスチックと環境問題
2020年12月21日
最近読んだ本の紹介
図解でわかる14歳からのプラスチックと環境問題
インフォビジュアル研究所・著 太田出版
この本は大判で、しかも文字だけではなかなかイメージできないところを図解してわかりやすくなっているので今、ニュースや出版物で取り上げられることが多くなったプラスチックと環境問題について基礎知識を得るのに最適といえるほどに仕上がっていると思うのでお勧めします。100ページ足らずにもかかわらず索引まで付いていて便利です。以下、内容の概略をご参考までにまとめてみました。
なお本書は最近当館で購入した書籍で、3F学習室の新刊コーナーに置いてありますのでぜひ気楽に手にとってみてください。
目次
はじめに
身の回りにはプラスチック製品があふれ、何かを買えば、平均12分でごみ箱行きになるプラスチック製の容器や包装がついてくる。
そして今、世界では海を漂うプラごみの存在が、大きな問題となって私たちに突きつけられている。1990年代に警鐘がならされたときとは違い、インターネットの普及によって、遠く離れた海で起きていることが身近に感じとれるようになり、自分たちの暮らしが海とつながっているを知った。
世界各地で、海洋ごみ問題への取り組みが始まり、国連も持続可能な開発目標(SDGs)を揚げる中で、海洋汚染の防止や廃棄物の大幅削減を加盟国に呼び掛けている。美しい海が、大切な地球が、プラスチックに埋もれてしまわないための、いま私たちは何をすべきか?
Part1 いま世界が直面するプラスチック危機
2015年までに世界が生み出したプラスチック83億トン、その大半(63億トン)がごみとなり、捨てられている。(リサイクルされたのはは約5.7億トンのみ)
2017年、アメリカの研究者チームが発表した調査報告が、世界に驚きを与えた。このままのペースでいくと、2050年までには120億トンのプラスチックごみが、埋め立て・投棄という形で自然環境の中に放置されることになる、と警鐘を鳴らしたからです。人工的につくりだされたプラスチックは、天然素材と違って土に還らないため、自然環境に及ぼす影響が懸念されている。
全世界で海に流れ出るプラごみは、推定年間800万トン。このままいくと2050年には、プラスチックが魚の量を上回る、とさえ言われている。
Part2 プラスチックの基礎知識
人類は炭素と水素を組み合わせてプラスチックを生み出した。
プラスチックは熱可塑性と熱硬化性に分けられる。
プラスチックとは、小さな分子(モノマー)がいくつもつながった高分子化合物(ポリマー)である。詳細は図解があり分かりやすい本書でご覧ください。
Part3 プラスチックと環境問題
プラスチックのリサイクルが始まったのは1990年代以降のことだが、プラごみはますます増え続けている。更にプラごみが再生可能な資源として国境を越えて取引きされるようになったことで、新たな問題が生じることになった。
2018年、中国がプラごみの輸入禁止を実施。それまでは先進国からプラごみを輸入して再生した方が安くつくので効率重視で国の経済成長を支えてきた。しかし環境汚染がひどくなり政策転換した。
Part4 プラスチックリサイクルのいま
現在、大きく分けて3つのリサイクル方法が実施されている。
①マテリアルリサイクル(プラごみを物理的な処理で再資源化する)
②ケミカルリサイクル(プラごみを化学的な処理で再資源化する)
③サーマルリサイクル(プラごみを焼却などで熱処理し、そのエネルギーを利用する)
国連の持続可能な開発目標(SDGs)17のうち、海洋プラスチック問題も、早急に取り組むべき課題として目標14のターゲットの一つに盛り込まれている。(2030年までになすべきこととして)
Part5 脱プラスチック生活への道
リサイクルより「減らす」「使わない」
3Rから4Rへの転換
かつては①Reduce(へらす)、②Reuse(再利用)、③Recycle(再生利用)の頭文字をとって3R運動を進めていたが現在はこれに④Refuse(使わない)を加えた4R運動が推進されているのが世界的な傾向である。
Part6 プラスチックの歩みと社会の変化
プラスチックを進化させたのは第2次世界大戦だった。近代兵器を大量投入する総力戦により、鉄、銅、アルミなどの金属が不足し、それに代わる人工素材が求められるようになった。その後、日本では1970年の大阪万博がプラスチック時代の号砲となった。プラスチックの最大の功績は、医療分野への貢献だといって過言ではない。かつては金属やゴムなどが使われていた医療用具が、いまやほとんどがプラスチック製です。更に時代が進んで、スーパーやコンビニの登場により容器包装プラスチックが氾濫している。
おわりに
アフリカの貧困や、地球の温暖化による気候変動には、目をつぶることができても、我が家にあふれる雑多で無秩序なプラスチックの氾濫は目の前の現実です。一方、コンビニでレジ袋をもらわない、という身近な選択があるのも現実です。いまの暮らしを変えていく試みを積み重ねていきたい。
文責 山本和毅
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