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令和6年度第1回 「こころの語り場」において 参加者が語った内容の抜粋記録

2024年10月16日

河合隼雄著「心の処方箋」新潮文庫(2004)の中から4つのエッセーを選定して参加者に配布し、その中から各グループとも2つのエッセーを選んでもらいましだ。最初に各パラグラフを参加者が音読し、続いて内容に関する自由討論を行いました。
以下はそれぞれのエッセーに対する参加者の意見と、意見交換の記録の抜粋です。

☆「100点以外はダメなときがある」
・最初の印象では、「100点でないとダメと言うと苦しい気持ちになった。でも100点にこだわる必要はないと考える、誰にとっての100点かで、捉え方は変わった。
・ときどき100点を取る、というので良いと思うと楽になる。
・他者評価で100点を求めると辛いが、自己評価で100点であればOK
・更に話しが展開して、悪いことをしてしまった子どもを全力で叱るとは、どうすればいいんだろうか。また、親によって叱る以外にも、「全力で」対応する方法はたくさんある、などの意見があった。
・仕事についていた時、いつも100点を目指してやりすぎて、気分的余裕がなく、やりたいことができなかった。これではいけないと思って、フロンティア大学の大学院に入った。このテーマの問題提起の意味は理解できる。
・期待に応えられるように努力し、結果が求められている。(おそらくこれが一般的な高校生の感覚なのだろうと推察される)
・社会人として働いているが、仕事はきっちりとこなしている。しかし、仕事以外での余裕ある生活をどうすべきか悩んでいる。自分はこれまでの人生経験は少ないが、それでもストレスがたまって仕方がない。(←余裕を持った人、即ち悠揚迫らぬひとになって欲しい :シニアからの助言)
・受験がストレス、準備が大変(←人事を尽くして天命を待つ。これ以外にないのではないですか :シニアからの助言)
・勝負はオール オア ナッシングですから、心ならずも望んでいなかった方向に進むことがあるかもしれない。そんな時には「小さく産んで大きく育てよう」という言葉を思い起こしてください。その人の努力で進んでいく道にはきっと大きく育つものがあるはずです。

☆「灯を消す方がよく見えることがある」
・子どもと親の関係について、多くの意見が出た。息子と父親の関係はどこの家庭でも問題を抱えている。子どもとの対峙をどう乗り切るのか、父親としての態度を揺るぎない姿勢でやってきたが、それが良かったのかどうかはよく分からない。でも子どもが成長した今では何とか良い関係を保っている。(←複数のシニアの意見)
・娘から見た母親との関係について ; よく子どもを理解して、苦しいときにも支えてくれたことに大変感謝している。
・こころが辛くて暗闇だと思っていても、よく見てみると光が見えていると言うことは、希望になると感じた。
・灯を消すと言うことは、聴こえてくる外側から内側への意識、なのかなと思う。

☆「心の新鉱脈を掘り当てよう」
・父親から、お前は優しいから人に好かれるだろうと、言われて、それが気になっていて、つい人に言いたいこと(本音)が言えないことが多かった。いうべきことが言えて100点になる。そのためには心のエネルギーが要る。
・若い時にノイローゼ(うつ)になったことがあって、克服するために思いきって、外に出てみた。それによって、徐々に回復することができ、克服して29の時に病院の受付に勤めることができた。他の人に目を向けることができるようになりエネルギーをもらえることができるようになった。後ろから押してあげるのが大事ということもわかってきた。
・著者の言われることはよく理解できる。最近の若者は、新鉱脈を探すのに必要な好奇心やチャレンジ精神に欠ける人が多い。これは教育の方法によるのではないか。
・気持ちが前向きにプラスになれば、時間を使っても効率が上がる。仕事にエネルギーを使いすぎて、一見無駄なことに時間を使えない。思い切って仕事をやめ大学院に入って、新しい鉱山を見つける余裕もできた。
・自分は体育祭をあえてさぼって、家族で種子島に旅行して、宇宙船打ち上げ基地を見学した。そこで得ることが多く感じた。エネルギーは一つだけではない。
・つながりが大切。趣味はプラス思考にする。趣味と勉強(仕事)のバランスが大切だと思う。

☆「心の支えがたましいの重荷になる」
たましいにとって良い「心の支え」とは何だろうか、ということを主題にして話しあった。
・周りに支えられていることを思い出すと、力が湧いてくる。
・運動をする、からだを鍛えることで、ふんばりが効く。
エッセーにあった「運」というキーワードも話題になった。
・心の支えにしていたものを軽視すると「運」を失うことにつながる。
・「運」は周りに思いやりや良いことを重ねることで、引き寄せることができる。
・そう考えると、自分の行動で「たましい」を守ることや、適切な「心の支え」を得ることができる。
・「心の支え」だと思っていたものに縛られて辛くなり、それを手放す勇気をもったときに、本来の「たましい」を大事にする結果につながったという体験談もいただいた。
※個人的なお話しなので、具体的には控えます。

☆コーディネーターによる総括コメント
各グル-プとも、予想外に広い視点からの意見が多かったと思います。参加者からは、いろんな経験を踏まえた意見が聞けて良かったといった感想もありました。同じ文章を読んでも、一人一人随分とらえ方が違うものだということを実感しました。
 このような機会に「立ち止まって考える、肯定的に考える」と言ったことが大切だ」という意見も全体としての気付きだったと思います。
 著者が言わんとする本質に迫って行くには、多くの参加者が短時間に自由に発言する場ではなかなか難しいものです。少人数で徹底的に議論すれば、それはそれで良い語り場となると思うのですが、それではこの会の趣旨と違った方向に向かうのではないかと危惧されます。それぞれの参加者の意見や体験を統合して、そこから一段と高い視点での考えを纏めて発信していくというアクションが必要と感じました。当日、この会の趣旨として冒頭にお話しした「創発」を生み出し、参加者へフィードバックして行きたいと考えています。
第1回「こころの語り場」コーディネーター:薄井洋基 記

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