10月6日防府で開催された鈴木宣弘東京大学教授による「私たちの仰天食事情」の講演を聴きました。
2024年10月10日
鈴木先生は、現在のイメージを表現した「今だけ、金だけ、自分だけ」のキャッチフレーズで知られている農業経済学者で、孤軍奮闘、国の農業・食料政策に警鐘をならし続けておられます。
開始前、本のサイン会があったので、同じく経済政策に異を唱えてられる経済ジャーリスト森永卓郎さんとの共著『国民は知らない「食糧危機」と「財務省」の不適切な関係』という本と、漫画で分かる「日本の食の危機」という本を買いました。後者は漫画の合間に、当日の講義内容が含まれていてわかりやすく、これにサインをいただきました。
サイン会では写真の撮影や名刺交換に気軽に応じたり、気さくな人柄に触れることができました。
また資料はとくに用意されませんでしたが、QRコードで実に150枚を超えるpdfを見て下さいということで、自分の研究成果を有効に活かそうという姿勢は、本来研究者がそうあるべきことを再認識しました。
次の図は、講演の内容をはじめに示されたものです。食料自給率を高く保つことの重要性。今だけ、金だけ、自分だけの政治家やメディアが支配下に置かれ、このままだと農業が消滅する。
これを防ぐためには、地域の消費者、生産者、自治体、企業等が連携し、ローカル自給圏を作ること。そのとっかかりとしては小中学校の給食に地産地消の安心なお米や食材を当てることが大事であるとされました。給食に有機農業の安心なお米や食材を適用する動きは、千葉県のいずみ市、京都府亀岡市、
大阪府泉大津市等が取り組んでいるようです。
お金を出せばいつでも食料が買えるものではなく、防衛費よりも農業支援が大事だ、といったまとめがなされています。
ちなみに中国は14億人の食料1年半分の備蓄をしているそうですが、日本の場合はわずか1.5ケ月分の備蓄しかないそうです。
食料自給率が低下し、現在カロリーベースで38%と言われていますが、化学肥料や、種子の海外依存などを考慮すると、10%以下という試算もされています。
また今年25年ぶりに改正された、食料・農業・農村基本法においては、本来食料自給率は最重要な指標であるにも関わらず、法律の中では明記されず、はじめからあきらめモードになっているようです。
有事の際は農業者にサツマイモの栽培、供出を義務付けるような規定はあるとのことです。
そもそも食料安保が確保されていない根本的な原因として、約80年前の敗戦以来、なおアメリカの支配が続いており、食料に関しては、アメリカの余剰農産物の受け皿としての役割を負わされていること、自動車の輸出と引き換えに農産物の関税を下げることで犠牲を強いられたとされ、全般的に、食料をコントロールすることによって、日本を支配しつづける戦略がとられているということです。
量的な問題だけではなく、除草剤ラウンドアップの主成分であるグリホサートの残留基準に象徴されるように、EU等に比べて緩い基準となっていて、質的な問題も注意して考える必要があるとされました。
下記は参考までに、関連した詳しい科学論文です。
file:///C:/Users/owner/Downloads/Kagaku_201911_Kimura-Kuroda_1and2.pdf
次の表は、一般会計予算に占める農林水産予算の推移を1970年度から2023年度まで示されたものですが、対1970年度比で、総予算は14.4倍になっているのに、農水省予算は2.3倍、人づくりで重要な文科省予算も5.8倍と相対的に低下。総予算に占める割合もそれぞれ11.54%から1.83%、文科省予算は11.39%から4.63%と大幅に低下しています。
これに対して、対1970年度比で、防衛関係は17.9倍、厚労省は高齢化、高福祉化を反映して27.2倍となっており、2023年度における総予算に占める割合は8.89%、厚労省は29.0%になっています。
シニア世代は社会貢献に目を向けて、医療費節減のため健康維持に留意すべきでしょうね。
防衛費に関しては、いたずらに緊張感をあおるのではなく、平和外交に力を入れ、一旦ことあれば、食料不足に陥ることは明白なので、食料安保を優先させるべきであるということです。
超党派議員立法として食料安全保障推進法(仮称)で、お米や牛乳の価格補填分、それぞれ3500億円や750億円、その他農地維持交付金1.3兆円。米500万トン備蓄の買い入れ1兆円として合わせて2.7兆円。今の2.3兆円と合わせても5兆円、せめて元のベルに戻すことも検討されているということです。
人づくりにおいても、国民を守るよりも自己保身の身を優先するような人材育成ではなく、本質を見抜き、利他心や志ある有為な人材養成にもっと力を入れる必要があります。
鈴木先生がどこかの学校で、「99が貧乏で余裕なし、1に富が集中しているという話をされたとき、
生徒が、「自分は1になりたい」と言ったとのお話は、印象に残りました。教育改革が必要です。
新自由主義あるいはグローバリズムの影響は日本のみならず、全世界にもアメリカそのものにも程度の差こそあれ、同様の影響を与えていて、各地で農民の抗議行動も起きているようです。
講演中にも言われていましたが、「市場原理主義ではいざという時に国民の命を守れない」、「種子を独占して世界の食料を通して、世界を支配しようとする一部の勢力がある」ということです。
MicroSoftの創業者ビルゲイツが全米各地に大農場を保有して、ドローンやAIを駆使したスマート農業を進めようとしていることも知りました。コオロギ食も彼の提案に基づくものだそうですね。
今回の食料危機の問題については、NHKをはじめ大手メディアも 20年近く前から関心を示し、とくに今年に入って、鈴木先生が呼ばれる機会が多くなっているようです。
構造的には現在問題になりつつあるワクチン問題も共通しているようですが、こちらの方はまだ大手メディアはほとんど触れられていない状況のようです。
講演内容の全体をとても紹介しきれませんが、興味ある方は是非1枚目の図で紹介している、漫画で分かる「日本の食の危機」方丈社2023.7月刊 をお読みください。
なお。本講演会は参政党の三好やすお宇部市議のご紹介により、参加することができたことを申し添えます。(文責:浮田)
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宇部で開催して欲しいです!
ぜひお願いします。
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