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壱岐市に続いて、対馬市における海岸漂着物等の状況について調べてみました。
2024年07月21日
SNSでたまたま対馬の海岸漂着ごみのことが発信されていましたので、壱岐の岸漂着ごみについて、前回のブログにまとめるきっかけになりました。
対馬は壱岐の北にあり、南北82 km、東西18 kmの細長い島で、面積は709 km2と、壱岐市と比較すると大きいですが、人口は28200人とさほど変わりません。
南北に長いので、とくに西岸の漂着物は多いのではないかと思われます。
たしかにGoogle MapのStreetview で見ても、壱岐市の場合よりも海岸ごみが視られるところにより多く出会えます。
対馬市の場合は、壱岐市に比べて、全体の海岸漂着物の量を正確に把握するのは、困難なようであり、次の左の図に示されるような6か所のモニタリング海岸で、詳細な調査を実施し その海岸線長当たりの漂着物量結果を、総括換算係数(引き伸ばし係数)を工夫した上で、他の海岸の海岸線長を乗じて、島全体の漂着物の量を推定する方法をとっているようです。
各モニタリング海岸において、中央の写真に例示されるような50 mの回収枠と、比較のための目視枠を設けて調査が行われます。両枠は並べて設定される海岸もありますし、場合によっては、目視枠を25mずつ二つに分けて設定される場合があるようです。
右の図は、各6か所のモニタリング海岸のデータを敷衍できる海岸線が示されています。
次の左の表には、回収枠内の漂着ゴミの分類区分が示されています。もともと環境省のガイドラインはより詳しい分類項目になっていますが、地域によって適宜、簡素化することは必要だと思われます。
回収枠については、その都度、漂着物の全量を回収し、分類項目ごとの容積と重量を計測するようです。
一方目視枠の方については、右のコピーに説明されているように、熟練の人が、より簡素化した分類区分ごとに漂着ごみの存在量を、目視により推定することになっているようです。
目視枠のデータは、回収枠のデータの対照に使われ、差し引きされることになるので、両枠のデータの精度に違いがあることが気になるところです。
次の左の表は、モニタリング海岸の回収枠から得られたデータを6ケ所分合計したものと思われます。6個所のモニタリング海岸の回収枠50mから、4季ごとに回収したごみの、分類区分別に容量と重量を合計したものを6か所分合計して得られた値の、2014年度から2023年度までの推移が示されています。
右側の図は、2023年度の値について、各地点ごとと全体について、人工物、漁具、自然物の容量割合が示されています。
漁具の割合が大きいのが注目されます。報告書ではこれらのほか、ペットボトルの国別由来などの考察もなされています。必要な場合は、以下のURLから令和5年度の報告書をご参照ください。https://tsushima-mltic.com/document/
さて、最後になりますが、これらのデータから2023年度における対馬市全体の海岸漂着物等の量を推定した結果が、次の左表に示されています。
上の欄に示される8つの海岸エリアについて、それぞれ基準として使用されるモニタリング海岸が2行目に示されています。
中ほどの「回収量-目視枠増加量」は1年間で新たに漂着した50m当たりの正味の漂着物量で、その下の引き伸ばし係数は、それぞれ代表されるモニタリング海岸の値を、その下の欄の該当の海岸線への年間再漂流物量を推定するための総合的な換算係数と言えます。
ここではこの表の年間再漂流量を最も重要な推定値として考えていいのではないかと思われます。つまり、一度完全にきれいにした海岸に1年後にどれだけのゴミが貯まるかという推定値であると思われます。
誤解があるかもしれませんので、間違った解釈をしている場合はご指摘いただければありがたいです。
すべての海岸を一度、完全にきれいにしたのち、ある期間を置けばどれだけのごみの新たな漂着があるのかを視るのが一番わかりやすいと思いますが、やはり圧倒的にごみの漂着ポテンシャルが大きい対馬にとって、無理な発想といえるでしょうか。
(文責:浮田)
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