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バイオマス産業都市さがバスツァーの報告(その3)
2024年03月31日
3月15日午後は佐賀市清掃工場の見学でした。
昼休みは東よか干潟ビジターセンターで、各自用意した弁当を食べた。バスの中で12時はちょうど満潮5.1mで干潟は見れないのではないかといわれていましたが、わずか1時間と少しの間で、結構汐は引き、干潟の景色も見ることができました。
ボランティアガイドさんの説明も受け、バスで佐賀市の中心部から少し北側の清掃工場に移動しました。山間部に近い位置にあり、結構距離があるように感じました。
一枚目の図は清掃工場を拠点としたバイオマスの取組の全体の概要が示されています。
中でも一番興味を引いたのがCO2の分離回収事業で、そのCO2をヘマトコッカスという藻類の培養や施設農業に利用しているというものでした。
ごみ焼却工場の排ガスからのCCUは世界で佐賀市が初めてと言うことです。
https://www.env.go.jp/content/900507172.pdf
焼却熱の利用として、発電は4500 kWで場内自家消費のほか、余った電気は市立小中学校等へ供給されているということです。
余熱の場外利用としては隣接の健康運動センターの温水プールや藻類培養にも使われているようです。
また、図には記載されていませんが、蒸気タービン発電機周辺のポンプ類や様々な機器の冷却水系統の有効落差22.5mを利用して17.7kWの小水力発電も設置されています。
一枚目の図に関連施設の位置関係がありましたが、小さいので、グーグルマップから位置を確認しました。
藻類培養の民間企業アルビータも随分広い面積であることがわかりますし、その横にも将来用地も確保されているようです。
全農さが の野菜栽培工場もかなりの面積です。行く前にネットで調べた感じではなんとなく施設農業の方は採算的に難しいので、停止しているのかなと思っていましたが、そうでもなかったようです。
東側に環境学習施設のエコロジカルポンドや、その南側には健康運動センターがあります。
二酸化炭素分離回収装置は2016年10月から稼働しているようですが、焼却灰ガス中のCO2濃度12%(日量220 トン)を前処理でSO2やHCl等を除いたのち、アミン吸収法により99.5%まで濃縮回収します。能力は20tCO2/日、現状では10t程度が回収されているようです。設備は東芝製とのこと。
CO2は2tのタンク貯蔵され、1kgあたり37.1円で販売され、各工場への輸送パイプは利用先が設置することになっているそうです。
説明を受けてから、見学時に屋上などから写真を撮ったものです。
上はアルビータ社の藻類培養建屋と将来用地、下は環境学習施設エコプラザの中から撮ったおそらくイチゴ栽培施設、右下がCO2分離回収施設(CCU)です。
上の写真をよく見ると、アルビータの藻類培養槽が赤色をしているのがわかります。これは緑色をしているヘマトコッカスにストレスを与え、このように色が変わっている状態です。3枚目の図に示したように、産生された有効成分のアスタキサンチンを抽出して化粧品やサプリに使われることになるそうです。
左下、写りがよくないですが、ごみ発電の仕組みを佐賀市清掃工場のパンフレットから示しています。
なお佐賀市は、燃えるごみは、ピンク色の指定袋(大:10枚400円、小:10枚250円、極小:20枚300円)で、燃えないごみは、緑色の指定袋(中:10枚250円、極小:20枚300円)で出すことで有料になっています。また食用油の回収、ダンボールコンポストの普及にも力を入れています。
右下に見学前に説明していただいた資料からのコピーですが、廃食用油は122万Lも集められ、高い品質のバイオジーゼル油とし市営バス等に使われているそうです。人口1人あたりにすると5.4Lになりますから、すごいですね。
しかし少し違和感を持ったのは、ペットボトル以外のプラスチック容器包装ごみは燃やせるごみに出すことになっていることです。プラスチックのサーマルリサイクルを選んだのは全体的な経済性を考慮してということのようですが、説明を受けた時も、総合的にカーボンニュートラルの観点からどう評価すればいいのか、議論になりました。
おそらく、プラスチックについては、炭酸ガス税や最終処分税を課して、適正な使い方を政策的に考えるべきではないかと思われます。
下水浄化センター、清掃工場での取組の他、東よか干潟ビジターセンター、清掃工場に付随したエコプラザにおける環境啓発、環境学習施設も非常に充実したものでした。
全体的に、色々参考になりました。お世話になった佐賀市の職員の方々、ツァーの計画詳細を進めていただいた宇部アイカの方々に感謝いたします。
なお、銀天エコプラザ通信4月号からシリーズで3件UKC加藤理事長の見学報告を予定していますので、こちらの方も参考にしてください。
(文責:M.U.)
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