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バイオマスタウン佐賀市へのバスツァー(その2)下水浄化センターの取組続編

2024年03月24日

佐賀市下水浄化センターの興味深い取り組みその2は、ノリ養殖に配慮した季節運転による栄養塩の供給です。

さすが、全国一のノリ養殖で知られる有明海だけあって、栄養塩不足によるノリの色落ちへの対策として、佐賀県環境科学検査協会、佐賀大学、佐賀市上下水道局による「下水処理施設の季節別運転管理によるノリ養殖海域への効果」の報告書で見られるように、潮汐による下水放流水の流れの追跡調査や海域における栄養塩濃度の分布など、随分詳しい調査が行われていて驚きます。

栄養塩不足によるノリ養殖の不調については。宇部でも問題になっていて、宇部市東部下水処理場ではやはり季節運転の管理を実施しているようです。

上の図表は、佐賀市の下水放流水中の栄養塩(窒素)濃度の季節変化と参考までに下水道料金を示しています。下の図表は宇部市の場合です。下水道料金はあまり大きな違いはないようです。ただ、宇部の場合具体的な計算方法が分かりにくいですね。

佐賀市の場合はノリ養殖期は曝気量を提言して硝化を抑制することによって、反応槽前段の嫌気槽での脱窒を抑え、放流水中の無機態窒素濃度大きく差がでていることがわかります。

これに対して、宇部市東部下水処理場でも、ほぼ同様の対応かと思いますが、さほど明確な差が出ていません。ただ、施設課に聞いたところ、R4年度については10月から翌3月までの6ケ月の無機態窒素の濃度は12mg/l、それ以外の半年は8.8mg/lと効果が出ているとのことでした。

なお宇部市東部下水処理場でもバイオガス発電も実施されています。

次の図は佐賀市の季節別運転の効果について、下水浄化センターの放流負荷が季節別運転施工前後でどう変化したかが示めされており、季節別運転以前に比べてノリ養殖期のDIN供給量は1.5倍の258トンになったと試算されています。

右側の図は、おそらくH30年の曝気量の季節変化だと思われるが、10月~3月はかなり提言されています。

右下の図は、これに対応して送風機の電気使用量の季節変化ですが、回転数制御で曝気量を制御できる送風機に更新されたあとは、10月~3月のノリ養殖期には、明確に電気消費量が低減していることが分かります。

前後しますが、当日、説明を受けた資料の中から、佐賀市下水浄化センターの全体が分かるフロー図を示させていただきました、

下の黄色の枠に消化ガスコージェネレーション設備とあるのが、優れた取組その3に当たる部分です。

バイオガス発電の補足説明です。

左のフロー図は、この下水浄化センターにおいても、バイオガス発電を行っていない時代は、消化ガスは消化槽の加温には、ボイラーを通して利用されていましたが、余剰のガスは無駄に燃やされていました。

発電導入後は、ヤンマー社製の25kWの小型のガス発電機が当初16台、その後8台合わせて24台が設置されました。その方が消化ガスの発生量の変動に合わせて、安定、最適な運転ができるメリットがあるそうです。

そして温水も消化層の加温に利用され、コジェネレーションが行われています。
なお、先の図にあったように、消化ガスから前処理として硫化水素とシロキサンが除去されています。ちなみに全体の設置費は6億3千万円だったそうです。

最後に、地域バイオマス受入れ事業として、人口減によって下水道施設に余裕が生じてきていることに着目して、また機能・能力を超えない範囲で、資源を受け入れるということで、衛生センター(し尿処理施設)と味の素(株)九州事業所の排水処理後に生じる汚泥部分これらを下水道管内に圧送管を通して浄化センターに有料で受入れ、バイオマス資源として有効利用していることも評価されるところです。

このように、当初下水汚泥コンポストだけに注目していたのですが、予想外に色々な優れた取り組みがなされていて、非常に参考になりました。

(その3)佐賀市清掃工場の見学の報告に続きます。(文責:浮田)

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