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ネットによる仮想旅行 その3 綾町の照葉樹林を守った郷田實さん
2021年08月22日
稲本正さんの「木の聲」小学館より、綾町長として貴重な照葉樹林を守られた郷田 實さんのお話も興味深かったので、調べてみた。
同時に、書庫にあった「結の心」という郷田さんの自伝的な本も読みあわせ、子ども時代の厳しい躾け、北支、中支、南支、ベトナム、マレーシアを行軍する軍隊での苦しい体験など、本当にすごい人物です。
中国を北からずっと南下して、中南部の森林の状況や文化に親近感をもたれたそうです。
1984年に完成した照葉大吊橋は本庄川(綾南川)にかかる歩道橋として当時は世界一でしたが、今は日本一ということです。
左下は1984年にオープンした「綾手づくりほんものセンター」です。
綾町の照葉樹林は2012年にユネスコエコパークに登録されました。
ユネスコパークの基本理念としては、単なる自然保護ではなく、人の生活との調和を考えることで、核心地域・緩衝地域・移行地域を設定することになっているようです。
以下のサイトでは綾町の85年の歴史の紹介や、日本における10の登録地域の紹介の動画を視ることができます。
https://ayabrcenter.jp/unescoecopark/ayaunescoecopark/
大吊橋の上流にも綾南ダムがあり、綾北川の上流にも綾北ダムがあるようなので、ストリートビューで見てみました。
下の写真は、綾北川と本庄川(綾南川)の合流点のすぐ下流の橋から上流方向を見たものです。
上の写真は2012年4月に撮られたもので、2011年に付け替え工事が行われたあとの大吊橋です。https://www.pmiyazaki.com/aya/
川の水面まで142mもあるそうです。
シイの花が咲いています。
大吊橋周辺には落葉広葉樹のヤマザクラも見られるということです。
3月中旬ごろが見ごろとのことです。
堂JPからの引用ですが、ほとんどが、低木層:サカキ・ヒサカキ・サザンカ・ヤブニッケイ等、亜高木層:ヤブツバキ・モッコク・ヤマモモ・ユズリハ等、高木層:カシ・シイ・タブ・クス等の照葉樹であっても、いくらかは落葉樹も見られるのでしょう。
「結の心」という本は郷田 實さんの終戦後、綾町のまちづくりに奔走された貴重な記録です。
1966年から1990年まで町長、その前12年間の助役時代を含めると36年間町の行政に関わってこられ、その間、主に町長時代になると思われますが、原生の照葉樹林の保全のみならず、生態系農業の推進、地方自治における住民の意識改革などを進められ、見事に広い意味でのグリーンツーリズムの基盤をつくられました。
晩年には、今日の行き詰まりを予感されていて、政治の重要性、市民の投票による意思表示の必要性を説いておられます。
とくに第4章は、ご自身の体験が書かれていて、大変学ぶところが多いです。
第5章は、共著者であるお子さんの美紀子さんが書かれ、送電線の建設を、稲本正さんたちの助けも得て、世界遺産の登録申請の運動などやられましたが、止めることができなかったことなどが書かれています。
気になったので、Google Map で見てみました。大吊橋のやや下流側に送電線と鉄塔を見つけることができました。
あとがきに代えては、ともに苦労し支えられた奥様が書いておられます。
また機会を改めて、読書会の中で勉強したりすることもできますし、いずれにしても自治体関係者、市民の方々等、できるだけ多くの方に読んでいただきたいと思いました。 (文責:浮田)
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