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山口宇部パワー(株)西沖の山発電所新設計画が取りやめを受けて(その2)

2021年04月17日

さて次にやや視点を変えて、主な国々の富裕度の違いによる1人1年当りのCO2排出量を比較した図を紹介しています。

上からその平均値が大きい順に並べている。アメリカと日本だけを例に取ると、
アメリカの場合、富裕度の上位10%については 50トン CO2/人/年、下位50%については 7トン CO2/人/年で7倍以上と随分大きな差がある。
日本の場合は、富裕度の上位10%については 15.2トン CO2/人/年、下位50%については 3.5トン CO2/人/年と4.3倍の差がある。

この傾向は、中国、ブラジル、インドネシア、インドでも同様であり、今後の持続可能な世界の実現あるいはSDGs達成に向けて頭に入れておかなくてはならない問題であると思われます

さて、昨年10月の菅首相の所信表明の中で触れられた、2050年のカーボンニュートラルをめざす宣言と、石炭火力発電に対する政策の抜本的転換が紹介されている。

それに対して、海外の反応として。国連事務総長、EU委員長、ジョンソン英首相などの好意的な感想も紹介されている。

これまで2030年までの中期目標と2050年までの長期目標のうち、長期目標について、より明確な宣言がなされたということになる。

また、2050年カーボンニュートラルに賛同した国が123カ国と1地域であることが図に示されている。

次の2つの新聞の切りぬき、小さくて恐縮ですが、現在訪米中の菅首相対米交渉のうち、脱炭素に関する部分を示したものである。

バイデン大統領は中期目標に関して、米国も2005年度比50%減を調整中であり、日本に対して、2013年度比26%減から50%減への強化を要請する見込みであるが、日本としては、40%台に乗せることは可能であるが、50%は難しい意向であるとのことである。

一方中国は先ほどの2060年までのカーボンニュートラル及び2030年に絶対量を減少に転じるピークアウトを表明しているようである。

赤枠で囲っている部分には、「カーボンバジェット(予算)」が全体的に限界に近づいていると書かれ、また対策を先送りすればするほど、蓄積効果により気候変動はより深刻なものになることが予想される。

最後に前後するが、2018年7月に閣議決定された第5次エネルギー基本計画の概要を示します。エネルギー情勢の現状と課題 令和2年7月1日 資源エネルギー庁 よりの引用です。

エネルギー政策や、エネルギー基本計画と言っても範囲が広く全貌を掴むのは非常に難しい上、この資料ではコロナ禍への対応や、災害次の対応なども絡んでいて、85頁にも亘る資料です。

この図は2030年の中期目標に向けた対応と、2050年の長期目標に向けた対応に分けて書かれていますが、いずれも項目の列挙のみで、具体的な内容はここからは読み取れません。
原子力発電については中期目標としては依存度を可能な限り低減となっていますが、長期目標としては脱炭素化の選択肢とされていて、この資料でも再エネ関係と同様に9頁が割かれています。

おそらく、しっかりした総合的なロードマップはそう簡単にはできないのではないかと思われます。

このように見てくると、SDGsの7番と13番に関する気候変動・温暖化に関する目標達成は、豊かさを求める人びとの意識や、それぞれの国の思惑も異なり、先送りしがちで、簡単ではない印象をもちます。

西沖の山火力発電の計画取りやめは、ある意味残念な気もしますが、やはり、市民のレべルとして、マイカー自粛や、ライフスタイルの見直し、省エネ対策をもっと真剣に考えるべきだと思います。今や、人間の価値観の見直しが必要な時であり、コロナ禍の中、じっくり考える機会としたいものです。 (文責:浮田)

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