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令和2年度自然再生協議会全国大会(その3)午前中の基調講演について

2021年02月22日

2月16日、オンラインの表記会議の午前中、山元圭太氏による基調講演「持続可能な財源基盤とは」がありました。

脆弱な財政基盤のNPOの経営に腐心するものとして興味を持って聴きましたが、かなりレベルの違う話で圧倒されました。

まず、自らも顧問を務められるNPO法人かものあしプロジェクトを例にとっての説明でしたが、年間収入が37,532万円ということに驚きました。会費収入が66%を占めています。そもそも「子どもが売られない世界をつくる」という目標を掲げた団体であるので、会費や寄付収入も海外からのものが多いようです。

もともと京都の学生3人が立ち上げた団体だそうですが、立ち上げ期、成長期、10年以上をかけて1億円を超す規模になっています。

立ち上げ期には、お金集めとともに、執行体制を整えていくことを同時にやらなくてはならず、そのバランスを意識することの大切さも指摘されました。

日本には寄付文化がないので、欧米にターゲットが向けられています。

日本国内の個人、企業からの会費や寄付の総額は約1.8兆円程度であるようです。

日本、韓国、英国、米国の個人寄付総額を比較すると米国のそれは日本の40倍、またGDPに対する割合は、日本0.14%、韓国0.5%、英国0.54%、米国1.44%となっています。

いずれにしても、寄付市場は限られているわけですから、お金だけ集めて、成果を出さない団体があるとすれば、非常に迷惑な話だということになります。

かものあしプロジェクトでも、成果としてどれだけ定量的な成果が得られるのかを目標に明記することはできないとのことで、実行団体につないでいくことをしっかりやることを意識しているとのことでした。

関連して。後の質問で、寄付者に対して、里海の再生で、具体的にどれだけ回復したのか、具体的な成果が示すことができないことが披露されましたが、講演者は、寄付者に対して、丁寧に説明する機会をもって誠意を示すことが推奨されました。

ファンドレイジング支援の先例として挙げられていた、9つの団体についてネットで検索してみると、まずいずれも英語名であることに気づきます。

事業内容も、子ども兵の社会復帰や地雷除去、難民支援、子どもの貧困・教育格差の解決、災害支援などで、国際的な支援活動を行う団体の他、国内を含めオンラインの質の高い教育の提供、社会的課題を解決する人材育成、貧しい子ども達の支援、通信制・定時制高校生の支援、質の高い主体的に学ぶ人材教育などなど、ある意味ESD教育に通じる団体が多いことに気づきます。

そしてこれらの団体は億を超える財政規模で、若い人たちの働き場所にもなっていることに驚きます。

また若い人達のセンスで、HP等、SNSの発信も充実しています。

ここでは詳しい説明は省きますが、講演者は、寄付を集めたり会費収入を上げるために、5W1H (なぜ、なにを、いつ、だれから、どこから、いかにして集めるのか)ということの説明がありました、

そのうち、はじめのWhy(何のために?)という部分は、目指すところは何か、問題解決のシナリオは明確化か、成果を追求する覚悟はあるかといった点が、組織内でしっかり共有され、それが寄付者に明確に伝わることが大事だという指摘が耳に残りました。

やろうとする活動の受益者が、どういう状態になるのか、しっかり説明でき、それが寄付者にとっても満足できるものであることが非常に大事な要素であることが分かります。

また、何を集めるのか、という点では、お金だけ集めると考えていては、なかなか苦しく、寄付をしてくれる人から勇気をもらえることも多く、理解者を集めると考えることが大事だという指摘も印象に残りました。

最後に、財政基盤確保のための基本的なパターンの説明がありました。

まず5つの資金源として。会費、寄付、事業収入、助成金、委託があり、資金調達効率は会費や寄付が低く、委託・助成金が高いとされ、一方成長性、安定性、自由度は、逆に会費や寄付が高く、委託や助成金は低いとされました。

三角形の図はステークホルダーピラミッドというそうですが、上に行くほど関心度が高く、左側はお金の支援、左側は人的支援ということでしょうか。

潜在層の人達の関心を高めて、寄付や会費による支援者に呼び込むことが求められます。

今回いずれにしてもやはり若い人たちのエネルギーは違うなということを感じさせられました。(文責:浮田)

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