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梅原猛著「母ごころ仏ごころ」は持続可能な文明を目指す我々にとって必読の書です。
2021年01月24日
一昨年1月93歳の天寿を全うされた梅原猛先生の著「母ごころ仏ごころ」小学館2004年刊はとても分かりやすく書かれていて、必読の書だと思います。
全体的に仏教の考え方がこの現代に非常に重要なベースになるのではないかということが書かれていますが、残念ながら数ある仏教の寺院関係者からはこのような声はあまり聞かれません。
ここでは、この3,4年SDGs(持続可能な開発目標)がかなり知られるようになってきましたが、昨年はこれにコロナ禍が加わり、閉塞感がつよくなっています。
この本は、人生どう生きるのかという基本的な考え方と、SDGs達成のための根本的な価値観の見直しが提起されています。
ここでは後者の部分について紹介します。
現在の地球規模の環境問題の根本的解決のためには、人類の文明が自然を征服し、自然を破壊するという考えのもとに立っているようであり、文明そのものを根本的に見直す必要があるとしています。
そもそも自然破壊は一万年前の農耕牧畜文明に基礎を置く、人間中心主義がもたらしたものであるという認識ですが、科学技術の進歩とともにそれが極端になってきたということでしょうか。
農耕牧畜文明を基礎にできあがった都市文明が森林破壊をさらに進め、産業革命によって機械や動力が発明され、現代に至っていると言う訳です。
目次にあるように、これら環境問題言及の一つ前の節には、「戦争の危機を和らげる多神教」としてやはり仏教の役割が書かれています。
戦争もある意味、重大な環境問題ですが、一神教の場合は、多神教にくらべて、動植物どころか、自分たちの神を信じない人びとを戦争によって殺すことに抵抗感が薄いことも指摘されています。
とくにヨーロッパにおいて、人間は万物の長であり、神に代わってすべての動植物を支配する権利があり、それこそが文明であるという思想になります。
日本も明治維新後、その考え方を取り入れて、近代化されていったという訳です。
自然の一部でありながら、自分を特別なものと思いこみ、自然を征服し、自然を破壊し、ついに自分が生きていく世界を失おうとしています。
仏教には「山川草木悉有仏性」という、自然共生の思想があり、DNAの発見は、その正しさを証明しているとしています。
仏教はこのように、現代に要求される道徳性を持っており、仏教徒は自然を破壊する文明に対して強い怒りをもって、環境保護運動の先頭に立たなくてはならないはずであるとしています。
そして当時問題になっていた、諫早湾の埋立により、ただ大規模な土木工事をしたいがために、無数の命が奪われたことを憤られています。
すでに17年前に書かれた本ですが、現状はほとんど改善されないまま、むしろよりひどい状況になりつつあることに危機感を憶えます。(文責:浮田)
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