2020年度第2回ESD研修会「学校支援における地域の役割」概要その3
2020年09月22日
今回司会もお願いした、宇部市環境衛生連合会副会長の新谷弘昌氏に「西宇部地区のコミュニティスクールの取り組み」と題して、話していただいた。
お話の内容は、地域におけるコミュニエィ・スクールの組織や活動について、及び西ヶ丘自治会長としてやられている「寄り合い処 西ヶ丘」の活動について紹介された。
西宇部地区の世帯数は3,482世帯、人口7,276人。厚南地区を合わせた厚南中学校区の世帯数は8,189世帯、人口は17.736人である。
コミュニティ・スクール 学校運営協議会のメンバーは、地域住民・PTAの代表・生徒会と 学校からは長・教頭・担当教員である。生徒会の参加は十分でないところがある。
コミュニティ・スクールについては三層構造になっており、
1)西宇部小学校の学校運営協議会 学校も忙しく、学期に1、2回、1~2時間程度
2)厚南中学校の地域連携の会議
厚南小学校、西宇部小学校を合わせてまとめるのは難しいこともある。
3)宇部市12中学校区の代表による宇部市コミュニティ・スクール運営協議会
活動としては、
1)先生と生徒が中学校区ふれあい祭りや中川清掃などの地域の行事への参加する
2)地域住民の学校行事等への参加
3)学校への協力(生徒学習指導・先生の負担軽減)
4)生徒たちとの交流
生徒学習指導の需要はあるようである。生徒達との交流は使徒達が自主的に動いてい る上宇部地区に比べると不十分の印象である。
また最近、地域力が低下してきている印象がある。自治会長が1,2年で変わるとこ ろもある。
コミュニティ・スクールの問題点、今後の課題としては、
1)実際には、学校によって温度差がある。(校長・職員の熱心度による面も大きい。)
2)学校・地域との交流を増やす必要がある。(学校から要請があれば地域が何とか応えられる地域の力を持つこと)
3)生徒たちを巻き込んだ活動がより求められる。(上宇部のような生徒の自発性が大事)
を上げられた。
「寄り合い処 西ヶ丘」の活動については、例として
1)宇部商との交流・・・移動支援・パソコン教室の開催
2)宇部西高の交流・・・野菜・花の苗の販売
3)「認知症SOS訓練」に宇部商・厚南中の参加
20数年自治会長を続けているが、顔が見える自治会を心がけてきた。寄り合い処を初めて約10年になる。西宇部小学校区には15の自治会があるが、なかなか西ヶ丘のようには行かないようだ。
宇部商業高校には有償ボランティアで、車いすの生徒の階段昇り降りの移動を支援する活動である。高校側からはパソコン教室をやってくれたりしている。
宇部西高校も地域支援員に相談して仲介してもらった。
行政から企画が持ちかけられることが多かった。地元側から企画を発案する力を持ちたいものとされた。
総括討議:
○全体として地域で活動に参加される後継者について、世代交代の難しさについてどうでしょうか。
上宇部:活動する人が限られる傾向はある。多くの地域団体があるが役員を兼ねている方が多い。自治会によって、任期を設けているところもあるが、その場合は短すぎて活動の継続性が難しい場合もある。ただ、探せば人材発掘ができると思う。
琴芝:若い人の確保はやはり難しい。そのためもあり、小学校の子ども達への働きかけに力を入れてきた。
西宇部:やはり組織の継続が重要な課題であり、スタッフが20名くらいだが、60代の人が今は70代後半になっている。
○活動をする上で最も重要と考えてられるますか。また資金源についてはどうでしょうか。
上宇部:地域に誇りが持てるようにということ/助成金と自治会の予算。
琴芝:持続することが大事/ランチや体験教室など「えんがわ」の運営は資金源にもなっている。
西宇部:地域で顔が見えること、地域のつきあいを大事にしている/参加費として500円をいただいたり、県や市のスポーツ振興予算なども資金源にしている
○コメント:地域づくりの方向性に関連して、生きていく上で何が重要なのか考える必要があるのではないか。また、河川清掃の活動も紹介されたが、排水路になってしまっている都市小河川を自然のある小川にすることを考えたりすることも考えたいと思う。
補足コメント:塩田川について、清掃後は水草も全部なくなった状態がよいというのは、こども達に教える場合少し考えるべきだと思う。今年はコロナ禍で清掃が一部中止になっていてヒシが残っているが、今年は10月頃には実が収穫できるかも知れない。
○それぞれの地域の活動について、理想とするものと比較して、何点くらいと自己評価されるか。またさらに改善されるために必要なものは何か。
上宇部:上宇部中学校の取り組みは100点、ふるさと交流館の活動はこれからというところがコロナ禍のために点数がつけられない。
/かみうべ交流館は交流スペースの活用、健康づくりジムにも人が寄り合い、健康づくりに寄与していきたい。
琴芝:60点くらいか。/行政・学校・地域の連携にそれぞれ温度差があり、不十分と思われる。SDGsの推進に行政からの助成がもう少し必要であると思う。
西宇部:厚南中学校のコミュニティ・スクールについては50点、寄り合いどころ西ヶ丘の活動については60点というところか。/これまでのところ行政の方から声を抱えてくれることが多いが、地域から自分たちの企画提案をする力をつける必要があると思う。
コミスクについては、先生方の熱意にもよるが、やはり地域からの企画力も問題になる。
○上宇部中学校の成功の一番の原因は何と考えられるか。
上宇部:30団体くらい色々な活動団体があり、それぞれ長年活動され元気もある。地域の4つの行事で集う機会に知り合い、人の発掘もできたことが大きかったと思う。
○中島勝行さん補足説明:コミスクに関しては、中学校の校長・教頭の役割が大きかったと思う。地域との連携もよくとれるようになった。とくに教頭先生が校長の意向を受けて活発に動かれたことが大きかった。
地域の小さいこと、細かいことから知り合いができて、活動の参加に繋がる。たとえばふれあいセンターの前で8時20分からラジオ体操が行われ、8年間ほど続いている。そこで参加者と親しくなったり、その中からいっしょに行動する人も出てくる。
また、社会教育推進協議会と言うのも年1回くらい集まりがある程度でマンネリ的であったが、ふれあいセンターに赤田所長が来られて、先生のリードで大人の生涯教育が40,50人が2ヶ月に1度ほど集まり、活発に行われた。小学校の授業に地域の人が参加し、逆に2,3年の子どもに教えられることもあり、それが子ども達に好影響を与えたこともある。中学校における英会話教室も同様である。この中から活動に参加する人材が現れた。
市内の先進的な事例をお聞きして、参考になることが多かった。
コミュニティ・スクールには地域の2、30に昇る諸団体が関わっていて、環境衛生連合会が主に絡む環境部門は一部にしか過ぎないこと、いいかえればうまくいっているところは非常に多くの地域の人達が関わっておられるということである。
琴芝地区のSDGsと絡めた、ハチドリのひとしずく大作戦で、対象としてこども達に利他心の大切さを説かれ、将来を託する取組も印象的であった。
西宇部地区で、頑張ってこられた経験からの問題提起も共通する課題として受け止める必要があると思われた。
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