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私の読書感想 2020.7 梅原猛著「仏のこころと母ごころ」小学館文庫 2006年11月刊 の感想(その1)

2020年07月08日

私の読書感想 2020.7 昨年1月に亡くなられた梅原猛著「仏のこころと母ごころ」小学館文庫 2006年11月刊 の感想(その1)です。
目次の一部と表紙を示しています。

ものとこころのバランス、道徳性を失いつつある日本人の問題、その中で今こそ創造的人間が求められ、新しい文明をつくる夢を持とうと呼びかけられています。

三つ目は、宮沢賢治に着目して、法華経に説かれている利他行の大切さについて書かれています。

日本人が道徳性を失う契機になったのは、明治維新で、江戸時代は寺小屋において初等教育として仏教、読み書き、そろばんが教えられていましたが、廃仏毀釈の政策と天皇崇拝の神道の普及の影響が大きかったとしています。

また、西洋の科学技術を尊重する啓蒙主義が背景として尾を引いていることも指摘されています。

それでも昭和20年の敗戦までは修身道徳教育が行われていたが、敗戦後は宗教教育、道徳教育は影を潜め、日本人の道徳性は低下したと指摘されています。

「諸悪莫作、諸善奉行」を説く仏教の教えを見直すべきであるとされています。

また、今日の環境問題を考える場合にも、仏教の教えは非常に大事な考え方であり、今日の地球規模の環境問題は西洋哲学由来の人間中心主義がもたらしたものであることが指摘されています。

現在、「持続可能な開発」という言葉が多用されていますが、その実現は簡単なことではなく、根本的な価値観の見直しなどが求められるのであり、仏教の教えをべースに考え直すことに期待を示されています。

DNAの発見は、人間だけが特別な創造物ではないということ示唆し、ダーウィンの進化論と相俟って、人びとの宗教観に大きな影響を与えたと思われます。(その2につづく)

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