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クロツラヘラサギ国際シンポジウムinきらら浜 第3報です。

2019年12月01日

4つ目の発表は、香港バードウォッチング協会の余先生による「国際クロツラヘラサギ一斉調査の成果と活用」でした。

国際クロツラヘラサギの一斉モニタリングは1993年から継続され、2019年は119か所で200名のボランティア調査員が参加したそうです。

そのうち83か所でクロツラヘラサギが見られ、総数は先のグラフで示されたように、年々増加していて、2019年は4463羽でした。

右下の図は2019年1月におけるBFS個体数の分布図ですが、九州も重要な越冬地となってきているようです。https://www.eaaflyway.net/2019-international-black-faced-spoonbill-census-results

最近は太陽光パネル付きのGPSトランスミッターが、追跡調査には使われているようです。

1月の調査であるので、越冬地での個体数が多いのは当然ですが、繁殖地である朝鮮半島西海岸は数は多くありません。
国別では台湾が53.9%と最も多く、中国本土が22.7%、日本が12.1%と意外に多い結果になっています。

右上の写真はおそらく先のGPSトランスミッターを取り付けた4羽の個体の行動を追跡した結果であると思われますが、4羽ともかなり広い行動圏を持っていることが確認されています。

ちなみに先の左上の表で香港・深圳(Shenzen) が8.6%でしたが、マイポー自然保護区や湿地公園の位置と深圳市との位置関係を示しています。もともと深圳湾沿岸は豊かな自然環境を有する地域として知られていたようです。

香港湿地公園については以下の動画で、疑似体験することができます。
https://www.youtube.com/watch?v=1QN-dJ1W9TA

マイポー自然保護区の概要などは以下で見ることができます。
http://www.discoverhongkong.com/jp/see-do/great-outdoors/nature-parks/mai-po-nature-reserve.jsp

5題目の講演は、九州大学博物館の小池先生でした。

2009~2013年 計6台のGPS送信機を幼鳥に装着し、
・BFSはカンボジアの領土まで移動する。
・BFSは中国本土の川沿い600kmまで遡上した。
・ソーラーGPS送信機は3年以上信号を送信できる。
ことなどがわかったとのこと。

K85の場合は、2009年、仁川から釜山を経由して、福岡市の和白干潟や多々良川河口を経由して、行橋に飛来し、翌年1月信号が途絶えたということです。


S08の場合は、2013年韓国中部西海岸から福岡市を経由して山口湾に到着し、越冬しました。

博多湾東部の和白干潟、多々良川河口では、クロツラヘラサギは内陸部も利用している。山口湾においても、干潟だけでなく川や水路、水田を餌場として利用していたそうです。

内陸部の移動は厳冬期、夜間に多いということです。

ご参考までに、和白干潟のクロツラへラサギについては、下記で、NHK2006年放送の動画を見ることができます。https://www2.nhk.or.jp/archives/michi/cgi/detail.cgi?dasID=D0004060045_00000

1日目の終わりは、パネルディスカッションでした。その中では、以下のような意見が出されました。
・クロツラヘラサギは不器用なしぐさで人気がある鳥であり、
・東アジアの国々をつなぐ代表的な渡り鳥、平和親善の象徴である。
・また、国際的な協同取り組みが成功している例である。
・クロツラヘラサギは傘種であり、この保護は、生態系を守ることにつながる。
・環境啓発の好材料になる。

 山口県、きらら浜はクロツラヘラサギの飛来数が少ないのに、多くの人が関心を持っているのに感心したというパネリストもおられました。

 残念ながら、2日目の参加はできませんでしたが、このような第一線の研究者のお話を直接聴くことができる気かを与えていただいた、きらら浜自然観察公園指定管理者 NPO法人野鳥やまぐちの方々に厚くお礼申し上げます。

 平和親善の象徴として、クロツラヘラサギを守る国際連携の活動がますます活発になることを願いたいと思います。

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