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宇部志立市民大学環境・アート学部第6回講義で彫刻ビエンナーレのお話を聴きました、

2019年08月18日

8月17日午後、宇部志立市民大学環境・アート学部 第6回講義「第28回 UBEビエンナーレ(現代日本彫刻展)について」 山本容資学芸員のお話を聴講させていただきました。

ビエンナーレの歴史について、きっかけになった、ファルコネの「ゆあみする女」の話からはじまり、 岩城次郎さんが土方定一さんに相談され、向井良吉さんらも本気になって、献身的に礎を築いていただいたこと、そのおかげもあって、56年もの長きにわたって継続しているのは非常に貴重なことであることが話された。

それにしても、制作、運搬設置には多大な労力と費用がかかるだろうが、作家の方々もたいへんだろうなと推察された。

今回は新たな部門も設置されたこともあり、応募総数42カ国318件の応募があり、その中から25件の入選作品と、15件の実物展示入選作品が選ばれたということである。

受講者から、「市内に置かれる彫刻の数はこれからも増えるだろうが、どれだけの観光客増加のような経済効果が期待されるだろうか。」といった趣旨の質問があった。また「宇部から立派な彫刻家が育ってくれないか。」という指摘もあった。

宇部の貴重な財産として、ますますその価値が上がって来ることが期待されるところであるが、抽象彫刻であるので、どれだけ一般市民に親しまれるかという点も懸念される点である。

15点の作品を展示会場のどの位置に置いたらいいのかを考えてみて下さいとの課題が出されたが、なかなか難しい作業だった。
まちの中のどこにどのような形で置くのかについても同様に、あるいはそれ以上に難しいことだろうと想像された、

関連して、アーティストは鋭い感性で時代を先取りして、社会に警鐘をならし、注意を喚起する役割を持っているのではないかという思いがある。

以前の作品だったと思うが、長門市に住んでおられた殿敷侃さんの独特な作品を思い出したので、ネットで調べてみた。メイン展示会場の北側の木に、古タイヤのごみをつるしたような作品であった。

同じような発想で、山口県立美術館でも玄関前に古タイヤを積み上げるパフォーマンスもされたようである。

殿敷さんは広島出身で、お父さんを原爆で奪われ、右上の絵は現場付近から遺品として鉄兜とレンガを拾って帰られたものであるとのこと。

ついでに、ビエンナーレとは無関係だが、もう一人、社会に警鐘を鳴らして早世された画家として石田徹也さんのことも思い出した。

油谷の二位の浜で、地域の人達と一緒になって、漂着したごみを集め、砂浜に穴を掘ってその中で燃やしてかためたものを彫刻の作品とされたこともあるそうだ。

最近、安富あゆみさんがよく言われるが、チャップリンの映画に出てくるような、人間が機械の部品のような形で生かされている生き苦しさを表現した作品が多い。

殿敷さんの作品や、石田さんの絵のような彫刻作品がまちの中にあれば、おそらくなじまないと思われるが、環境・アート学部のテーマとしては、これらのことも頭の片隅にとどめておいて欲しいように思う。

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