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自然共生ESD推進部会2回研修会の概要まとめ続き、第2部戸坂さんのお話です。
2018年01月07日
第2部としては、東岐波のクロマツ海岸林で保全活動を実践されている、戸坂隆男さんから、「白砂清松を呼び戻せ」というお話をしていただいた。
戸坂さんは戸坂造園土木の経営であり、NPO山口県樹木医会の理事長を36年努めておられる。
山口県には現在36名の樹木医がいる。最近は川棚のクスノキの老朽化の対応をしている。宇部には「樹の命を大事にする会」というのもやっている。趣味は空手。
東岐波の海岸の松林は150m×300mで、2,3千本の松がある。昔はスクドという松の葉を燃料として使っていた。菌根菌がマツは元気になる。松露(松露菌という丸いキノコ)が昔のようにとれれば、佐賀の松露饅頭のように売ることもできるかもしれないという期待ももって松林の保全再生に取り組んでいる。
当初、どの程度集まってくれるのか不安だったが、このような趣意書をつくって呼びかけたところ、そこそこの人が集まってくれた。
マツは林床が富栄養化すると、軟弱なマツになり、松食い虫にやられやすくなる。
昔は松の落ち葉スクドを燃料として使っていたので、貧栄養な林床が保てていたが、いまはそうはいかなくなり富栄養な林床になったということ。
そこでユンボを入れて、表土5~10cmを除去する計画を立てた。土日の朝6時7時の間に作業する。そのくらいしか時間がとれない。それでも何人かの人達が集まってくれている。
左側二枚の写真は、富栄養化した林床であり、ユンボを入れたり、あるいは手作業でも表土を除去する作業を続けると、その後は、新たに落ちがマツの落ち葉をかき集めるだけでいいことになる。
右下の写真のように、ずいぶん気持ちもいい松林になってきている。
左上の写真も同様である。気持ちよく、健康維持にもなる。
東岐波中学校から出前授業を依頼されたが、やってみて、知識も経験もしっかりしていないと教えられないことがわかった。
野外実習もやるようになり、半分学習、半分レクレーションで楽しくやれればいい。
現場で、「松は無機物を栄養にし、マツの落ち葉などは菌根菌が無機物に分解して、これを松が吸収する。」というような説明をすると、有機物と無機物について生徒達の理解が進んだことを感じた。
また礼儀も大事だということも教えることも目的の一つにしている。
中には枯れたマツもあり、手当てをしたり、除去したりすることもある。
マダラカミキリムシはマツノザイセンチュウがいる弱ったマツに穴をあけて、タマゴを産む。孵った幼虫は成長してやがて春に羽化し、そのときマツノザイセンチュウはカミキリムシの体内に寄生し、別の弱ったマツに運ばれる。
http://www.pref.tottori.lg.jp/100845.htm
財布の上に載せているのはカミキリムシの幼虫である。
右上の写真は、手のひらに載せたマツの破片の中に、マツノザイセンチュウが何百匹もおり、枯れた松1本にはおそらく億単位でいるものと思われる。
右下の写真は、中学生に、顕微鏡でマツノザイセンチュウを見させているところである。
この松林では、薬も使うが、林床の富栄養化を防いで強いマツにするという、生態的防除も併用しているということである。
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