12月20日の自然共生ESD推進部会第2回研修会の概要を報告します。
2018年01月07日
長井さんは、山口県アクティブシニア協会(AYSA)の会員、樹木医、環境カウンセラー、IPCCリポートコミュニケーター、自然観察指導員、熱帯植物園のボランティアガイドなどとして、幅広く活躍されている。小羽山小学校放課後子ども教室には週1回のペースで長く関わられているようである。
今回は、夏に顔面を強打されて、まだ痛みが残っている状況で体調万全ではない中ご無理をお願いして、樹木を題材にして、これまでやってこられた事例について紹介していただいた。
番組では、水曜日の午後15時から、小学校の空き教室を利用した、英語の指導の後、まず20分ほど、座学で、クイズをまじえて、木の高さを測る方法について説明をした後、グランドに出て、長井さんによる、二等辺三角形を利用した木の高さを計る体験学習が行われた。
木の高さを測ったあと、こども達は、木に触ったり、幹の形を見たりして、興味を示すようになる。木のぬくもりとかにおいを感じたり、その木が40年前開校時に植えられた木であることを知り、自然の大切さを考えてほしいとのことである。
木の高さを測る方法は色々あり、学年に応じて、応用することができる。事前の座学では、こども達から影を利用したらどうかというような提案もあったとのことである。
やりたいことをゆっくりやるには、使える時間が短すぎるという限界がある。
世界で一番高い木の高さはとか、木の高さは何によって制限されるのかといったような質問は3~5年生にはすこしむずかしい。
樹齢に関連しては、年輪のはかり方、年輪のパターンから読み取れること、あるいは科学的に放射線同位元素を使う方法などの説明もすることができる。
マツ、サクラ、ユリノキ、クスノキ、プラタナス、ドウダンツツジ、など学校内の樹木を対象にして、広葉樹と針葉樹、常緑樹と落葉樹の区分をさせたり、木の名前や、特徴を学習する。
落葉や紅葉の話では、なぜ紅葉したり落葉するのか、モミジとイチョウの違いなどについて説明する。霜降山のドウダンツツジを見させたりしたいところであるが出張は難しい。
ボルネオに木を植える活動はNPOと一緒に10回ほど行っており、関連して、熱帯雨林の生物多様性や地球温暖化に関わる重要性や、パームオイルや紙の消費を介した、われわれの生活との関連性について、話すプログラムもある。神原中学校からも一度依頼があったが、残念ながら中止になった。海外の植林活動の10分くらいのビデオを見せて、KJ法で議論させてはどうかとも考えている。ポイントの置き方を変えて、いくつかのバージョンも作れると思う。
山口県でなじみのふかい、ミカンについて、その種類ヤ特徴について話すプログラムや、徳地少年自然の家の指導員を3,4年つとめていたとき、その事前研修で、木のしくみや高さのはかり方などについて、プログラムの検討を行ったこともあるとのこと。
樹木医の役割について話すプログラムもあり、樹木医になるには、どんな資格が必要か、木に関する知識だけではなく、季候や法律、などなど幅広い知識が必要であるといったことをAYSAの職業紹介のメニューとして藤山中学校で話されたこともある。
長井さんは世界を旅する植物館ボランティアガイドも3回くらいやった経験があるが、その中で、ただ、珍しさ、奇異さだけではシラけるこどもいるので、工夫が要ると思う。「世界を旅する」というフレーズもすこし気になるところで、もうすこし樹木全体を見た上で熱帯植物も見るということが大事ではないかとされた。
このように長井さんは、樹木を題材にした、非常に多くの出前講座プログラムをもっておられる。対象も、小学校から中学校あるいは高校まで、色々レベルを変えられると思うので、もっと活用がはかられたらいいと思われる。
これまでの多様なご経験から、今後の活用における問題点として、
①できれば学校の理科等の授業のカリキュラムとの関連性の中で、どのようなスタンスで関われるのか、補足的なものか、視点を変えた考え方の提供か、といった点。
②いずれにしても、一方通行ではなく、こども達に設問して考えさせる授業、興味を抱かせる内容であること、
③現場での自然観察は有効であるが、危険動物との遭遇、足場の環境整備、安全管理員の補充などを考える必要があること
が上げられた。
またその他の気づきとして、特に放課後子ども教室との関連についてと思われるが、
①遊びだけになっていないか
②学校との協調の仕方、あり方 などが指摘された。
義務性でないこと、授業から逸脱するこども達の扱い方などを意識されてのことであろう。 教頭先生などに位賃と注意してもらうと、こども達もしゃんとするところもあるとのことである。
Q: 最後の2枚のスライドで示していただいた問題点は重要だと思う。学校の先生方がおられて、授業の中で、できれば色んな面でいいのではないかと思う。出前授業でわれわれが全体を任される場合には、われわれの力量が問われることになる。
A: 自分もそういう方向がいい。学校のカリキュラムの中でやっていくのがいいのではと思う。
ESDについては、セミナーパークの研修会に出たが、自分としてはあまりしっくり来なかった。自分のやっていることで、いくらか改良していければ都は思っている、
C: 問題点で書かれていることは、ESD的な要素を意識しておられると思う。個人的には単なる知識の伝達ではなく、こども達に感じさせる、自らに考えさせる、好奇心を持たせるなどが重要と考えている。
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