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井上 桂 氏 の 講演会「体験型学習のあり方について」が開催されました

2017年01月30日

協働取組加速化事業アクトビレッジおのWG 研修会 が下記日程で開催されました。
日時 : 2017年1月22日(日) 13:30~16:00
場所 : アクトビレッジおの 研修室
講師 : 井上 桂 氏 (㈱FEEL 代表取締役)
講演題目 「体験型学習のあり方について」
参加者 15名 

【講演概要】
☆ 井上氏が係わっている山口県内および北九州地区の8施設の概略説明があった。山口県では宇部市の「アクトビレッジおの」、下関市の「深坂自然の森」などがあり、パッケージ型環境学習のメニューを豊富に取り揃えている。
☆ 体験型学習の考え方については、下記の諸点が大切であることを強調された。
① 自然の中での活動である (自然の中での活動からの学習であるが、その活動自体も環境に配慮したものでなければならない。
② 参加者の年齢構成や学習姿勢を考える (年齢や配慮事項など、対象者理解と、どのような学びの場なのかを理解する。)
③ 専門分野以外の総合力 (学習の場を提供するだけではなく、マネジメントや危機管理などの総合力が必要。)


・ 野外活動から入ってきた「Leave no Trace (痕跡を残さない)」という野外活動の基本を、ゴミ処理や焚火の方法を例にとって具体的に説明し、「自然にインパクトを与えない」ことの大切さを強調された。 ⇒  自然を変えない、野生動物の尊重、他者への配慮など、学ぶべきことが多かった。

☆ 事例紹介として、下関市における体験型環境学習、インドネシアのパーム油生産のためのプランテーションの開発と、事前環境に及ぼす影響の問題、ボルネオ島のオランウータンリハビリテーションのためのボランティア活動が紹介された。
・ 下関市の環境部との連携で、親子が川で生き物探しをするイベントを行っている。生き物を採取するだけでなく、生き物の同定作業や、なぜそのような生き物がそこにいるのか?そこの水はどのような状態か?などを考えさせる。下関水産大学校の学生の環境リーダー養成事業を毎月1回以上開催している。また、企業参加として、「深坂自然の森」の一部を「ブリジストンのエコピアの森」として、ブリジストン㈱が整備している。
・ インドネシアのパーム油生産のためのプランテーションの開発については、パームオイルの大量生産のために、森林伐採とパームプランテーションの開発が続いており、野生動物の生息地域が脅かされている現状が報告された。特に、プランテーションでは雑草除去除去のために農薬が散布され、雨が降ると住居地域に農薬が拡散している恐れがあり、近い将来、薬害が拡散していく可能性があることが指摘された。


オランウータンのリハビリテーションにおける活動の様子が報告され、井上氏が訪れたセンターでは、自然の中でリハビリが行われており、全てボランティアによって運営されているとのことであった。オランウータンの各個体はボランティア職員が三交代で追跡しており、5分毎に位置情報をトレースしている。また、オランウータンの糞から人間が近づいた時のストレス状態まで把握しているそうである。リハビリセンターにおける環境学習ツアーは現地NPOが主催のツアーと、外資系のツアーの2種類がある。現地NPOのツアーはオランウータンのストレス状態に配慮して、中止される場合もあるが、外資系ツアーは必ず実施されるとのことであった。


☆ まとめと意見交換
・ まとめとして以下の意見が述べられた。
①  社会や行政がなにをしようとしているのか、理解し行動や実践につなげることが大切である。
② 対象者の生活や学習内容とリンクするなど、わかりやすい(理解されやすい)内容や手法が必要である。
③ 情報ン更新やスキルの習得が大切である。

以下は意見交換の要約である。
・ 野外体験学習において、虫刺されスプレーや蚊取り線香を使用してもよいのか? 環境インパクトをどこまで考えたらよいのか? ⇒ (井上)今日お話しした「Leave no Trace (痕跡を残さない)」という野外活動の基本は、一つの物差しとして知っておくべきだ。虫刺されスプレーや蚊取り線香を使用することは、どう行くことなのかを考えるきっかけとするのは意味がある。NoよりもLower inputdeで考え、現実と理想との折り合いをつけた指導方法を考えるべきだ。
・ 子ども達を集めて焚火をしたが、焚火を知らない子供たちが大半だ。山の坂道の石ころが、ぐらぐらしていないか確かめながら歩くことができない。 ⇒ (井上)町の普通の幼稚園児と、森で学んだ幼稚園児を比べると、危険を察知して行動する(いわゆる人間力)に大きい差がある。森の幼稚園のこども達は、街に出ても信号で飛び出すようなことがない。事の良否を選択できるようになる教育が大切だ。
・ 井上さんは色々な情報発信を行っておられると思うが、どのような情報発信が有効であると考えておられるのか? ⇒ (井上)デジタルとアナログ(紙媒体・チラシやポスター)を使い分けている。メールリストに多くに人達を登録してもらって、メール情報を発信している。フェースブックは時期を見て再掲載するのが有効だ。無料登録が可能なイベントバンクを使っている。園児の授業や低学年の宿泊イベント等、色々な施設で情報発信をすると以外に「くいつく」
・ 里山は自然と人間の折り合いをつけるべき場所であると考えている。「里山に人を立ち入らせない」から「人に来てもらう」に、環境補山活動も変わってきている。 ⇒ (井上)現地で活動する人が、きちんと判断することが大切でしょう。
・ アクトビレッジおのにおける環境学習をどのようにお考えか? ⇒(井上)①体験学習を拡張して、児童が身近なところで自分もやってみよういうようななることを目指したい。(アクトビレッジおの出なければと言うのはだめで、アブ機能を持つのが良い。また、指導者のファンができるようになることを目指すべきだ。)②現在かかわっている8施設の内で、小学生が全員参加するのはアクトビレッジおのだけである。他施設は募集型である。③対象者の理解は本当は難しい。本当の体験学習を実施しようとすると、ガイドの役割が重要である。しかし、ガイドは必ずしも専門のインタープリターを勉強していない。指導者は選択可能な情報を多く持っている必要があり、その場合は環境学習が生きてくる。
・ 常に環境への影響を考える子供を育てていくことが大切だ。
以上 文責 薄井

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