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再生エネルギー利用の現場を見学してきましたよ(後編)。
2013年11月27日
(前記事より続き)
●昼食をはさんで、午後一発目は、「やまぐち県酪乳業(株)」を訪れました。
牛乳など乳製品を扱う工場ですが、製造の過程や返品などで発生する廃棄物(乳製品廃棄物)や、排水の際の汚泥などの廃棄物が、1日当たり5.5トンにもなるそうです。以前はこれらを全て(業者にお金を払って)廃棄処分していたのですが、敷地内にバイオガスプラントを設置して廃棄物を投入、嫌気性処理でメタンガスを発生させることにより、エネルギーを生み出して、有効に活用しています。発生したバイオガスは再び工場内で利用できますし、もともとかかっていた廃棄費用も大幅に削減できるので、年間約2000万円のコスト減、原油換算でのCO2排出量は89トンの削減を達成しているそうです。
↑毎日排出される廃棄物は、一時的にドラム缶に入れて保存(待機?)。投入したあとは、層内で発酵させてガスを取り出し、凝集・脱水の工程を経て残ったものは堆肥化しているそうです。画像の左端が、取り出したメタンガスの貯蔵タンクです。
●続いて「(株)エコビルド」。
こちらでは住宅資材のプレカットを工場内で行っていますが、その際に生じる端材・おがくず・かんな屑等を利用して、木質ペレット燃料を製造しています。もともとの廃棄物の総量は年間約120万トンですべて廃棄していました。これらを粉砕して粉にしたあと、加熱・圧縮成型することにより、ペレットストーブやボイラー用の燃料として生まれ変わることになったのです(袋詰めして、商品として販売されています)。
※こちらは「撮影禁止」だったので、画像はありません。
●最後に訪れたのは、「(株)アースクリエイティブ」。
浄化槽の維持管理を行う会社ですが、近年、食品リサイクルにも進出し、食品廃棄物から飼料を作り出すことも行っています。契約している食品関連の事業所から出される、賞味期限切れ商品、残飯、生ゴミ等を引き取って、それらを工場内の設備で、豚・鳥用の飼料に作りかえています(新鮮さを保つために、毎日引き取っているとのこと)。その工程は、「集積したものを粉砕」「乾燥」「(金属・ビニルなど)分別」「脱脂」「冷却」となります。乾燥させる際の温度管理をしたり、一定の材料だけ(例えば、パンだけ、乾麺だけ)使うことにより、栄養分が調節された飼料ができあがるのです。
↑集められた食品廃棄物。鮮度を保つため、毎日収集しているそうです。これだけ集まったものを見ると、何ともショックです。
↑粉砕のための設備。このあと「乾燥」「分別」「脱脂」などの工程が控えています(すべて自動化された機械で行います)。
↑できあがった飼料。
ややエネルギー問題から離れるかもしれませんが、こうして再生した栄養豊富な飼料で豚を飼育することは、肉質が良い上等な豚肉ができるだけでなく、「食の自給自足」の面からも意味がある、というお話が興味深かったです(たとえ国内で(県内で)飼育したとしても、飼料の大半を国外からの輸入に頼るシステムでは、食の供給体勢としては弱さがあると思われるからです)。
悩ましいのは、現状では、この工場に食品廃棄物を持ち込むよりも、単純に廃棄処分にした方がコスト的には安いことです(今現在は、リサイクルに理解のある関連事業所との契約をしている状態)。廃棄の場合、直接支払う費用は確かに安いのですが、処分場には税金が投入されていることも忘れてはなりません。各事業所は単なる「ボランティア」で企業活動を行うことはできませんし、事業採算性は当然問題になります。「リサイクル」や「食の安全」に対する理解が深まった上で、事業として成り立つことが望ましいですが、そのためには、企業側だけでなく、市民ひとりひとりの自覚も必要となるかもしれません。
また、この企業では、廃油をリサイクルしてBDF燃料を製造しており、その施設も見学しました。このバイオ燃料は、宇部市内では、常盤公園や市営バスなどでも利用されています。
●今回見学したのは、工場や事業所などの各企業でしたが、いずれも再生エネルギーに関して積極的に取り組んでらっしゃいました。個人的には、メガソーラーなどの大規模な再エネ施設ではなく、地元の事業所の、地道な取組の現場を自分の目で直接見ることができたのが大きかったです(w)。
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