世代間の対話(倫理について考える)第9回「宗教倫理について」終了しました。
2013年03月17日
3月16日(土)15時から2時間強、願王寺・西圓寺住職西村文成さんに仏教の成り立ち、基本的考え方、倫理との関係などについてわかりやすく、ユーモアを交えて、熱弁をふるっていただきました。前半は仏教の歴史と基礎、仏教が教える人の生き方について、後半は極楽と地獄について話された。
西圓寺は長門市青海島にあり、江戸時代に法岸、法洲、法道の大日比三師を輩出した浄土宗の古刹で、山門は萩の大昌院から移築されといわれている。法岸上人は漁師さん達に教えるのに、地獄の絵ときの説法をされた方で、日曜学校を世界で初めて始められたといわれている。菊川の願王寺から西圓寺を月5~10回往復している。
仏教ではあまり倫理とは言わない。倫理は「ともがらのことわり」であり、人として守るべき道といえる。このような話は本当に聞いてほしい人は集まらないもの。仏教の大切な教えは、諸悪莫作(悪いことをしない)、衆善奉行(善いことをする)、自浄其意(自分のこころを磨きます)、是諸仏教(これが仏教です)、と聞いてよく分かるけれども、なかなかそれが実行できない。悪いとは分かっていてもやめられないものである。
お釈迦様がルンビニーでBC463年に摩耶夫人の右脇から生まれ、すぐ7歩歩いて天上天下唯我独尊といわれた。農業の盛んなところで、こどもの頃、父の浄飯王について、収穫祭に行ったとき、小さい虫を見ていたが、それを小鳥が食べ、それをまた鷹が食べた。それを見てお釈迦様はものの哀れを感じられたという。王宮の中は何不自由ない生活だったが、東門を出ると老人を、南門を出ると病人を、西門を出ると死人を、北門を出ると出家を見て、出家に心が動く。19歳で結婚し長男ラゴラが生まれ、彼が10歳になったとき、29歳から出家して35歳まで難行苦行された。限界までやせられて体力が落ちていたが、スジャータの乳粥の供養を受けられ体力を回復される。そしてブッダガヤで菩提樹の下で悟られた。
初めて説教されるまえ48日間迷われたあと、サルナートで初めての説教をされる。80歳でなくなられるまでの45年間で8万回の説教をされた。お釈迦様の説法は対機説法、人に応じた説き方をされた。教えの特徴は諸行無常(すべて移り変わり常ならず)、諸法無我、一切皆苦(生きることは苦である。四苦八苦とは、生老病死の四苦と、愛別離苦、怨憎会苦、求不得苦、五蘊盛苦(色受想行識という人間の感覚による五苦)の八苦をいう。涅槃寂静というのは、貪瞋痴(三毒)による煩悩をなくした状態をいう。万物は互いに依存し、因果関係を持つということも教えている。また、苦の解決方法として①人生は苦であることを認め、②原因は渇愛にあるので、③それを制御すること、④そしてその修行の方法として、八正道(正見、正思惟、正語、正業、正命、正精進、正念(記憶)、正定)があり、快楽を求めすぎたり、苦行をしすぎたり、極端ではなく中道がいいとしている。
お釈迦様が説教を始められてから半年で弟子が千名に増え、仏教に帰依する人たちが増えると、集団の規律が必要になり、戒律が定められる。最低限の戒として、殺生戒、偸盗戒、邪淫戒、妄語戒、酒飲戒の五戒がある。酒飲戒を故意でなく誤って破ってしまって、五戒全部を犯してしまうこともある。比丘や比丘尼にはもっと多くの戒律がある。自分で自発的に戒を守っていくということが大事である。
終わりの部分では、法岸上人の地獄絵を示されながら、地獄の苦しみについて詳しく解説された。地獄にも八つの階層があるそうである。この世で戒を犯すと、死んでから閻魔大王から地獄の苦しみを与えられる。
最後に、西円寺には非常に多くの資料があり、今もまだその整理中であり、今回の配付資料には研究中の内容のものも一部あるので、この場だけのものにしておいてほしい。
質疑に入る前に、「地獄を信じるか」を参加者にきいてみたところ、「信じる」が4名,「信じない」が7名、「わからない」が6名であった。
質疑応答:
C:人に応じて話さなければいけないが、極楽地獄という話は一番説明しやすかった面があるのではないか。
A:お釈迦様は自分の悟ったことを人に説法するのに随分考えられた。
Q:今は科学技術の時代に育ったわれわれには、来世を信じられにくくなっているのではないか。宗教観感覚が小さくなっているのはそういう背景があるのだと思う。幼いときからそういうことを教えられていないと、信じられないのではないか。
A:ベトナム戦争で臨死体験をした人に聞いたときに、三途の川、仏様の光を見た体験が多い。「往生伝」という古い本で、300年前に四国の大洲で、安斉法師が3月17日になくなると言ったので、殿様が検視官を出して、確認している。いろいろ研究もやられている。
Q:自分としては、死んだらおしまいにしたいと思うが、極楽も地獄も行きたくない。浄土宗と真宗の違いは。
A:あまり大きな違いはない。
Q:肉食妻帯自由になったのは、いつか。
A:戦後が多い。西円寺は昭和年代中頃までは戒律を守っていた。願王寺は自分の父の時代から妻帯して、世襲になった。真宗ははやい。
Q:世襲になってお坊さんの質を落としては低下したのではないか。
A:たしかにそういう面もあるが、今はなり手が少ないのでいい面もある。他の職業も世襲が多い。その中で、いいものもいるが、わるいものもいる。
Q:山口県では浄土宗のお寺は多いのか。
A:浄土真宗は600、浄土宗は140、禅宗(曹洞宗)は360
Q:聖道門と浄土門ではどう違うのか。念仏は一回でいいのか。
A:浄土門は他力で阿弥陀仏に導かれて極楽に往生するが、そこでさらに修行して成仏する。念仏は常時唱える必要がある。
その他感想など:
・60以上になるとどう往生するかと言うことを意識している。
・業を背負って生きて行かなくてはならない。何か反省するときに「南無阿弥陀仏」を唱えると、気持ちが落ち着く、こういうのも小さいときにそういう環境にあったからだと思う。
・自分で見ていないから、はっきり分からないが、生きる規範としては仏教の教えはわかるし、大事にしたいと思っている。地獄があるないはどうでもいい、あるから悪いことしないとか言うのは間違っているのではないか。
・極楽か地獄かといえばこの世が地獄かもしれないが、死ぬときに悔いの残らないように
・小さいときに割に信仰深い家だったので、あまり違和感はないが、今回まとまって話を聞いてすこし興味が湧いた。
・手を合わしたときに神や仏に会話ができるかということが自分にとっての宗教である。18歳の時にプロテスタントの洗礼を受けたが、神道や仏教もある。自分は極楽地獄はあると思うし、あってほしいと思う。そのように生活していきたい。
・これほどまとまって仏教の話を聞いたことがなかったのでよかった。
・無宗教であまり意識していなかったが、みじかな友達や家族を大切にするとか気をつけて、いいことをやっていければいいと思った。
・特に宗教と言うことを考えなかったが、死後の世界は想像できないのでないと思うが、親からはそういうことも 信じて生きていくのもいいのでないかなと思いました。
今回都合によりPPT画面は映していませんg、Ustreamは以下です。http://www.ustream.tv/channel/kankyo-salon#/recorded/30009685
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