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環境サロン(自然保護と生物多様性保全)第6回「椹野川河口域干潟自然再生事業について」がありました。
2012年12月22日
12月20日(木)これまで5回の生物の専門家による話が終わり、これからあと4回は関連した応用編的な話になる。今回紹介された椹野川河口干潟における自然再生の取り組みは、平成16年夏に発足した椹野川河口域干潟自然再生協議会のもとで、行政、市民、大学、事業者などが連携して、豊かな山口湾を取り戻そうとする活動。平成14年度の「やまぐちの豊かな流域づくり構想」の検討から始まり、現在に至るまで、一貫して、生活環境部環境政策課、自然保護課をはじめとする山口県の主導のもとに行われてきた。わかりやすい対象として、アサリの復活とアマモ場の回復を目標とされたが、いわば里海を取り戻す活動といってよい。
アマモ場は県の水産部局でも積極的に取り組まれ、ある程度の回復の兆しが見えてきているが、昭和30年代から行われた埋め立ての影響は取り戻すことは容易ではない。アサリは昭和40年代後半頃までは潮干狩りで簡単にとれていたが、山口湾でも1990年には全くとれなくなった。その原因として、①埋め立てによる干潟の喪失、②栄養状態の悪化によるプランクトンの減少、③干潟土の泥質化、④ナルトビエイなどによる食害、⑤母貝の乱獲 などが考えられたが、①はともかくとして、②と③により餌の減り、質も低下したことが主な原因と考えている。
アサリのみならず、漁獲量全体も減少し、これが瀬戸内海全体の傾向でもあるが、その原因として、これまで栄養分として主に考えられてきた窒素やリンのほかに鉄分の不足もプランクトンの生産の制限する要素になっている可能性があると思われる。有機農業の土と化学肥料依存農業の土とを比較すると、やはり明らかに、有機農業の土を通ってくる水にはより多くの腐植質と鉄分を含んでいること、下水処理場の放流水中に含まれる鉄分も海にあまり距離を行かない間に無くなることが示された。先日セミナーパークで講演された気仙沼のカキ漁師畠山重篤さんのお話の中でも鉄分の効果が強調されていた。落ち葉の層から流れ出る水の中には鉄分を海まで運ぶ腐植質が含まれていて、海を豊かにするという話だった。
最後に、山、里、都市、川、海へと生態系の連続性の重要性についても指摘され、それが意外に鉄分を含めたミネラルの海の生態系への供給という点からも重要ではないかという考えが述べられた。陸上の生態系が貧困になると、海の生態系も貧弱になる可能性があるのではないかということであり、要は、すべての生き物がつながっているという意識が重要ではないかということである。2億年も同じ姿で命をつないでいるカブトガニに対する畏敬の気持ちも大事と思う。
質疑では、○農地土壌のサンプリングの仕方、○山口湾の漁獲量は養殖の水揚げも含まれているか、○土に生ゴミなど食品系廃棄物を入れるようにすれば、海も豊かになっていくか。○河口域の生物の多様性の指標として野鳥の種類で見ることはできるか。
→生ゴミだけでなくし尿汚泥や下水汚泥もいい堆肥などにして土にもどしたほうがいい。今は結構セメントになっている。
→できるだろう。
○護岸工事の影響は結構大きいのではないか。護岸の割合などは把握されているか。
→自然海岸率のようなものは把握されているが、河川は分からない。
・全体的に考えて行かなくてはいけないと思う。
・農地の土はやせてきたと思う。・駐車場も不浸透面も多くなり過ぎているし、落ち葉の落ちる宅地の樹木は切らねばならないとか。人間の安全を考えすぎているかも。
→里山、里海を復活させて、環境保全型の一次産業が成り立つようにしないと本当の再生にならないだろう。畠山さんの「森は海の恋人」の本には里山・里海の豊かさが良く書かれている。
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本シリーズ次回第7回は、1月10日(木)19時から「生物多様性保全地域連携の仕組みづくり戦略」について、山口大学の関根雅彦先生に話題提供していただきます。
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