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遅くなりましたが、特別サロン2 山口真悟先生の特別講演の概要報告です。

2024年03月08日

1月20日に行われた特別サロン2の報告です。前半は、特別講演として、山口真悟 先生(山口大学情報・データ科学教育センター長)に「高度情報社会をどう生きる~情報リテラシーについて」と題してお話していただきました。

所属されている情報・データ科学教育センターは、膨大なデータから有用な価値を引き出す科学的・数学的方法、データサイエンスやAI(人工知能)を教える、重要な教育センターです。

山口大学では1年生は共通教育としてリテラシーレベルの教育プログラムが実施され、2年生以上はそれぞれの専門分野に関連した、応用基礎レベルの教育プログラムが実施されているということです。さらに最近は技術の進歩が非常に速いので、勉強は高校だけ大学だけということでは済まなくなったので、社会人を対象にリカレント教育も行われているそうです。今年度は15人が受講し、毎週水曜日18時から20時まで30回の授業があるそうです。これらのプログラムは履修証明プログラムとして文部科学省の認定を受けたものであるとのことです。

2020年東京オリンピックの開会式で印象に残った1824台ものドローンによって形作られた地球儀が国立競技場の上に東京タワー等を背景に映っている写真が演者の印象に残り、自ら編集中をされているIEEEの雑誌の表紙にも使われたということです。

一方、世界では難民問題、武力紛争、貧困、感染症などの問題、日本が抱える超高齢化社会、少子化、貧困、社会資本の老朽化などの社会的課題は大変大きくなっていること。主要7カ国の一人当たりの労働、生産性は日本は21世紀に入ってからずっと最下位になって、海外に行くと円の力が低くなっていることを実感するとも。地元山口県でも人口減が進行し、人手不足が深刻化していることが示されました。2050年には100万人を割り込むのではないかとも。
ということで、我々は現在大きな岐路に立っている。若い人達が、どのような道を選ぶのか、自分事として真剣に考えなくてはならない時期であるということです。

このような状況の中で、経験も大事だが、多くの情報を集めて考えていくデータサイエンスの役割が大きくなっているとして、Society 5.0 の説明に移られました。狩猟社会、農耕社会、工業社会、情報社会につづく第5段階目の新たな社会をいうことです。
 短い動画が紹介され、ドローン宅配、AI家電、遠隔診療、無人走行バス、スマート農業などなど。

情報社会とSociety5.0の違いはどこにあるかと言えば、フィジカル空間とサイバー空間が別々にあって、人間が意識的に情報を入れたり、取り出したりしてなされていたが、Society5.0 では、情報の循環が自動的に行われることを目指すことになるということ。自動運転で言えば、出発点と到着点を示すだけで、おまかせということ。

 Society 5.0 はこれまでの社会の進展とは一線を画した不連続な社会変革であることを考えるべきであり、これまではそうだったとかこれまでの社会通念にとらわれない大胆な発想や価値観の転換が必要であるとされているそうです。

次にAI(人工知能)についてのお話に移り、まずAIの話題のニュースが紹介されました。AIが世界最強の碁士に勝った、株式の取引の大部分がAIによって行われている、AIによる小説が文学賞の選考に通過した、大学センター試験レベルで9割正解など。

 人間は学ぶことができる、AIも学ぶことができる。AIが人間のできることをやっていけば人間の仕事がなくなって行くのではないかとの懸念もあるが、一方で新しい仕事はどんどんできてくるので、これからの人は柔軟に視野を広げて取り組んで行く必要があるのではないかとされました。

AI のアイデアは意外に1950年後からあり、それを実現するために1980年代から機械学習、さらには2010年代からディープラーニングが登場したことが示され、機械学習とディープラーニングの違いが説明されました。機械学習では学習方法が数式で表され、学習内容が解釈可能ですが、後者では基準もAIが膨大なデータか選択肢、学習内容はブラックボックスで解釈不可能ということです。
 

機械学習の用途として、回帰と分類を例として、回帰の場合は平均気温と氷の販売量の相関式を得て、生産量を予測する、分類については、アヤメの分類の実用例を示されました。AIでも画像認識から植物の種類を分類する実用化も行われているようです。

AI によるクラスタリングの例として、国語、英語、数学のテストの点数について3次元の分布図から生徒を3つのグループに色分けして示す例も紹介され、その解釈はAIではなく、見る方が考えることになり、予想外の知見の発見につながる場合もあると指摘されました。
 ワインの品質を例に、AI によって説明変数の数を減らして、品質評価を簡素化することできることも紹介されました。

Society 5.0 の時代のわれわれ人間にとっての課題について入る前に、シンギュラリティ(技術的特異点)の説明がありました。AI が人間の知能を超える時期を2029年、人間を完全に超える圧倒的に高度な知性が生み出される完全に超えるのは2045年とする説があるとのこと。こうなると未来に対する判断も人間ではなくAIがするということになり、
不安をもつことにもなります。このような時代が目の前にきているということです。

 さて一般人にとって気になるところですが、AIと共存する人間中心の社会はどうあるべきかについての以下のような点に触れられました。
 これまで歴史的社会は技術を原動力として発展してきたが、社会の主役はあくまで人間であることは忘れてはならず、目指すべきは「人間が幸せや生きがいを感じられる社会」であること、AIは両刃の刃であり、有用な物、便利なものでも使い方を誤れば危険なものになるとされました。

そしてコンピュータやAIは非常に高度な技術なので、その影響がより一層大きく、技術開発だけではなく、人間の意識向上が必要であるとされました、

また、技術は日進月歩であり、法律や法規がついていけない面もあり、自動運転の車を例に、自分で自分を守る必要がある、事故が避けられない場合に、どちらに犠牲を強いるかといったモラルの問題も大きいことも。

要は、次にどのようなことが起こるのか、それは大事に発展する可能性があるか、周囲にどんな影響を及ぼすかなど、想像力を働かせることが大事で、人間の想像力がAIの暴走を抑える大きな抑止力になるということでしょうか。

最後に、AIを心強い相棒として夢の実現に活用していこうと結ばれました。

特別サロン2の後半は地元高校生や高専生、大学院生によるSDGs関連の地域貢献活動の成果発表を盛り込んだため、タイトな時間運営のため、色々質問を受ける時間が獲れなかった事をお詫びいたします。

山口先生には、ご多忙の中、日頃聞けない貴重なお話をわかりやすくご講演いただき、厚く感謝いたします。(文責:浮田)
 

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