2023年度特別サロン1「私が考えるSDGs」の報告その1です。
2023年11月12日
2023年度は特別サロンを2回、探究学習や地域貢献等のお課題に挑戦している若者たちの側面支援になればということで、企画していますが、11月1日総合福祉会館で、その1回目を実施しました。
幸い対面総勢27名の参加、オンラインの参加が12名と大勢の方が参加していただきました。内容が密でありましtので、ブログを3回に分けて報告いたします。
その1は薄井洋基さん(神戸大学名誉教授・うべ環境コミュニティー理事)による講演「私たちはSDGs推進について何をなすべきでしょう」です。
まずはじめに 「人として最も大切なこと」を話されました。
・基本は自由で束縛されないこと
・人と人との絆が大事なので、人に良くしてあげようと言うことをモットーに研究室の学生に、社会に出たとき「権力にしがみつくな、金持ちになろうと思うな、欲にとらわれるな、他人の考え方に寛容であれ」とよく言ってきたそうです。
SDGsの理念はすべての人々にとってよりよい持続可能な未来を築くための青写真であり、貧困や不平等、気候変動、環境劣化、平和など、私たちが直面するグローバルな諸課題の解決を目指すものであって、それぞれの立場でSDGsに取り組んで行くことが大事だとされました。
今日は、ひとまず、日本社会の問題点を考えてみようということで、我が国は国土が狭く、資源がないので技術立国を目指しているが、貧富の差が大きくなり、社会の沈滞傾向がだんだんひどくなっていて、国力が低下しているとし、まずは日本の屋台骨を揺るがないことが大事とされました。
日本のGDPは30年停滞が続いているが、アメリカ、中国は順調に増加している。
この背景に、少子高齢化、研究力の衰退があるとされ、人口問題については、このまま少子化が続くと、2100年には明治時代~江戸時代の人口になる恐れがあるとされました。
日本の研究力の衰退に関連しては、大学に進学する若者人口はかつて1970年頃250万人近くあったのが今は半減という状況にあり、一方これに対応する大学の学生数は徐々に増えていて、私立大学が74%を占めているとされました。
日本の大学の2021年世界ランキングでは、東京大学で36位となっている。15年前ではベスト10に入っていたし、神戸大学も190位に入っていたが、今はずいぶん低くなっている。
当時から、交流のあったオーストラリアの大学では副学長クラスが東南アジアや中国に優秀な留学生をリクルートに行く努力をしていたそうです。
研究力衰退の原因として、大学進学年齢層の減少の一方で、大学の定員が増加の方向にあり、どうしても、学力レベル低下の傾向になる。団塊の世代を中心に1980年代のJapanアズ ナンバーワンの時代の研究力を引っ張ったが、1990年代、その後のバブルの崩壊と景気停滞により研究競争力も低下する。アメリカ流の任期制の導入も日本にはなじまなかった、とされました。
これからの対策としては、
18歳人口の減少を食い止める、義務教育課程における教育レベルの向上、大学入学後、遊んでいるというのではだめで、勉学意欲を失わないように努力させる、人口減少に見合った大学の淘汰を実現する、海外からの優秀な留学生の受け入れ、日本人の海外留学の奨励などがあげられました。
少子化対策は重要ですが、結婚しない/できない若者が増えていること、出生数が減少し続けていることから、国の補助金だけではなく、親の責任として、親が幸せな結婚生活を送っていること、結婚生活で何が大切なのかを親が子供に教えること、夫婦で協力することにより生活は成り立つことなど、今一度真剣に向き合って結婚することの大切さを議論することなどを指摘されました。
また、不登校児童も増加している問題にも触れられ、その対策としては、家族の責任として、親の毅然とした姿勢が大切であること、学校教育機関のみならず、医療福祉関係、臨床心理師、行政等の連携による努力が必要であるとされました。
まとめとして、SDGsの推進は、多くの人たちが、それぞれの立場でかかわっていくことが大切であり、日本の存在感を保つためには人口減少を食い止め、世界に通用する人材を輩出すること、そのためには教育が大切で、ESDマインドを持つ人材育成が重要であるとされました。
さらに、人々の能力を高める教育、生活環境を実現すること、今は流行らないかもしれないが、ハングリー精神と集中力を高めること、そして人口減少を食い止める「こころの教育」が大切である、と結ばれました。
薄井さんは最近、自分の考えを人に伝える執筆活動をしておられますが、近刊として「臨床心理学教室のパンプキンさん」を出されたそうです。地元大学との交流の経験を活かした物語です。
(著者談)
書籍のチラシにありますように、自分の進路を考えている中学生・高校生や大学生に、また身体的に、あるいは心理的に悩みを持つ多くの人たちに読んでいただき心の糧にしていただきたいとの願いから執筆しました。
主人公は宇部市の小野地区から市内の私立大学に通い、臨床心理学師の資格取得を目指す女子学生「パンプキンさん」です
なお、書店での販売(例えば宇部の宮脇書店など)は流通の手続きで来年1月になるそうです。
(その2に続きます。)
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