瀬戸内海などの海岸漂着ごみと海底ごみのこれまでの調査結果について(その3)
2022年10月08日
瀬戸内海などの海岸ごみと海底ごみの調査結果について色々ネット検索をしていた中で、愛媛県ですごく精力的な清掃活動を継続されている方の動画に出会うことができました。
八幡浜市にお住まいの岩田功次さんという方で、本職はサイトデザインの仕事、海岸ごみの清掃活動は一般社団法人ECオーシャンズの代表も務められています。
昨年2021年9月に公開されている日テレの動画ですが、いろんな意味で参考になる、非常に見ごたえのあるものです。是非一度ご覧下さい。
さてこれまであまりちゃんとした情報を持っていない海底ごみの調査ですが、この図は環境省による令和元年度の沿岸海域における海底ごみの調査結果を示したものです。 東京湾の5水域と石狩湾1水域、および玄界灘3水域での調査ですが、回収ごみ中、人工物の組成を示したものです。
おおむねプラスチックごみが主体を占め、その主なものとして、漁網・ロープ、ポリ袋、飲料用ボトルが多かったとしています。
玄界灘についてみると、飲用ボトル、ポリ袋、その他容器包装、その他製品が多くを占めていて、周防灘の山口県沿岸でごみの集積しやすい海岸漂着ごみとあまり大きな違いがないように感じます。
次に、小さすぎて恐縮ですが、すこし以前から瀬戸内海沿岸で 漁業関係者の協力を得て行われてきた海底ごみの調査結果の例を2,3紹介します。
まず、平成26年(2014年)岡山県の沿岸3水域で行われた海底ゴミの調査です。左から、東部の牛窓沖合、西部の寄島沖合、中部伊里沿岸500m以内の結果です。
下の重量割合の円グラフですが、やはり地域差が大きいようです。プラスチックシートや袋の破片が具体的にどういうものかは判然としませんがとくに東部水域で70%、西部水域で21%を占めています。伊里沿岸では碇が3個で重量は54%をしめ、またテレビ枠・ロープの塊も23%とかなりの割合を占めています。不法投棄的なものでしょうか。
その他それぞれ円グラフの色は異なりますが、陸域由来ごみ(破片を除く)が東部で16%、西部で60%、伊里沿岸で12%となっています。これも具体的にどういうごみなのか判然としません。
また、この調査では大きい漁業関係のごみは別途扱いすることになっているようで、全体像がつかみにくい印象があります。
ただ、海底ごみの処理処分体制については、岡山県全体として、よく考えられていて、各漁港に貯蔵庫が設置され、これらを収集、運搬、処分の体制整備に力がいれられているようです。
https://www.pref.okayama.jp/uploaded/life/394729_2336994_misc.pdf
次に、香川県の例です。、平成23年度(2011年度)に行われた海底ごみ調査結果の紹介です。
上の図は高松・坂出・丸亀沿岸の回収ゴミの袋数と個数割合の円グラフを示しています。 各水域ともごみの組成は比較的似ており、ビニール、ペットボトル、その他プラ、館などが個数としては大部分を占めています。
下のさぬき市沿岸の調査結果ですが、通常の底引き雨ではなく、洗車こぎ桁を用いたもので、こちらの方が回収量が多くなるということです。
ここでは、約1km以内と陸に近いこともあってビニールが90%と大部分を占め、缶4%、ビンは1%となっています。
比較的初期の調査でもあり、分類項目が定まっていなかったのか、ビニールが具体的にどんなごみなのかやはり判然としません。
また、岡山県の調査同様、漁具関係の把握が不十分な印象を受けます。
最後に、平成26年度(2014年度)の瀬戸内海における環境省の海底ごみの調査結果について紹介します。
https://www.env.go.jp/press/101061.html
環境省のレポートでは、以下の様になっています。
瀬戸内海沿岸11府県にある漁業協同組合の協力を得て、海底ごみの調査を行った。調査期間は平成27年1月から3月までの間、調査回数(曳網回数)は約2,400回。
回収した海底ごみの合計重量は約4.5トン、容量は約30?、個数は約3.5万個。ごみの種類としてはプラスチックが最も多く、続いて金属、布、ゴム、ガラスなどが多く見られた。また、湾や灘毎に回収量に違いがあった。
図中、ピンクの水域は家庭ごみ密度80kg/km2以上で和歌山沖合、大阪湾、播磨灘、備讃瀬戸北部、備後灘、燧灘、広島湾奥、防府沖合など。オレンジ色の水域は30~80kg/km2、青色の水域は30kg/km2未満の水域となっています。
海洋ごみには、漂着ごみ、漂流ごみ、海底ごみがありますが、世知内科医のような内科医では、海岸漂着ごみが基本であり、漂流ごみは、軽いごみでいずれ、海岸に漂着するとかんがえてよいものです。また海底ごみは、比重が海水より重いごみや、何らかの原因で、ごみの一部に泥や砂が入って重くなったものが考えられます。日不法投棄ごみや一部災害ごみもあるかもしれません。
いずれにしても、自然の中で分解しにくい、プラスチック類のごみが、これほど多く海底や海岸に蓄積していることにすいて、われわれはもっと厳しい認識を持つ必要があります。sy会全体として、きちんと管理できないものは、きちんと管理できるような社会の仕組みを設ける必要があると思います。 (文責:浮田)
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