トリヒタカラナ 三つの調和の教えから、生きる規範について考えました。
2022年02月26日
この度、JICA青年リーダー研修都市環境管理コースでインドネシアの国および、西ジャワ州の環境系公務員の方々に、「持続可能な発展のための環境保全の課題」についてオンラインで話す機会がありました。
1996年の夏に観光旅行で、バリ島を訪れたとき、バリの風土や人々の表情に大変良い印象を受けました。その後2009年11月にマニラで開催された世界閉鎖性海域環境保全会議に参加した時にウダヤナ大学のデワ教授からバリヒンドゥーのトリヒタカラナの話をお聞きしました。
今回の研修講義の中でも、トリヒタカラナを例にとって、持続可能な社会の実現のためには、このような倫理観の復活が不可欠ではないかということを述べさせていただきました。
研修員の方々は首都ジャカルタや、西ジャワ州の州都バンドンなどは人口稠密なエリアから来られています。ディスカッションの中で、「毎日の生活に困っている市民は、行政の指示に素直に従ってくれない。日本ではごみの分別収集等でも住民の人たちの自主的な協力があるのはなぜか」 といった質問がありました。
「一部のUbeIECAが用意した動画だけからは、日本でもポイ捨てごみや不法投棄がなかなかなくならないことや、ボランティア活動もスムーズな世代交代を図ることが難しくなっていることは伝えきれない。幼いときの教育や高等教育を含めて、教育の在り方を変えるべきだと思うが、なかなか変わらない状況がある」 ということをコメントさせていただきました。
これからの難しい時代にいまこそ、生き抜く力」を育くむESD(持続可能な発展のための教育)が大切だと思いますが、このような教育の成果は学力試験のようにすぐに数字として表れ、評価しやすいというものではないので、教育の改革はなかなか思うように進んでいないと思います。
上の図は、もともとのトリヒタカラナの図を、日本人向けに手を加え、さらに、自らの内的修養の心構えを含めたものを図にしてみたものです。
①は、人と人との間の調和、社会倫理、②は人と自然の間の調和、環境倫理、③は人と神の間の関係、各自の信仰によって違うでしょうが、自分の場合は未知なるものへの敬虔な心、あるいは感謝の気持ちと言ったところでしょうか。
付け加えた、自分自身の安定、心身の調和、すぐ慌ててしまう癖のある自分にとっては、体の動きを先にして、気持ちをすこし後にするように心がける。悟りの境地にある人にとっては心身一如といったところでしょうか。
左側の対人関係については、瞋らないこと。誰でも欠点はあるでしょうから、いい面を見て、常に寛容な気持ちをもつことに心がけるべきと自分に言い聞かせます。
右側の自然との関係については、貪らないこと。自分も自然の一部として、足るを知り、ほどほどにすること。
下の仏教の三毒のうちの痴については、やはり死ぬまで柔軟に学び続け、少しずつでも向上するよう努力すること、といったようなことを自分に言い聞かせながら、残りの貴重な人生を生きたいと思います。
皆様はいかがでしょうか。
コロナ禍が長引き、一部で、われわれの生き方を見直そうという、望ましい動きもみられる一方、自国本位のぎすぎすした懸念される動きも大きくなってきています。
人口爆発と贅沢な生活によって、人類未曽有の困難に直面していると考えられます。モノと心のバランスが乱れ、グロ-バル資本主義により、お金が力を持ちすぎて、世の中が乱れてきているように思います。
この原因は、先の図に示したような、宗教心や倫理観の劣化にあるのではないでしょうか。政治家、お寺のお坊さん、医師、教師、公務員、研究者等々、すべてが変わらなければ、人類の生存は持続可能ではないと思います。
民主主義社会にあっては、市民が、健全な倫理観で目標を決め、政治家に託し、行政にしかるべき対策をとらせ、それによって企業や民間団体が活動するという、サイクルを回して行くことが大事だと思います。
しかし、未来を担う日本の若い人は、選挙に関心がない人が多いのが現状です。
選挙により託された政治家が、政策を決定し、行政が、環境規制 ・補助金・環境税 等の政策を実行して、この政策条件下で、企業やNPO等が、適正競争して産業活動等を行い、徐々に持続的社会を実現していく、このサイクルを着実に、辛抱強く回していくことが大事であると思っています。
しかし、この趨勢を変えていくことはそう容易なことではありません。
明治維新以来すでに150年以上の歳月を経て、現在の日本人が形成されているのですから、百年河清を待つことになるかもしれませんが、やはり教育がいちばん大事だといえるのではないでしょうか。
子供たちそれぞれが、自分の良さを生かして、それぞれが生き生きと生きていける世の中を目指してESD教育改革が求められていると思います。
学校と地域が連携して、将来の日本を担い、世界に発信していける日本になれるよう、特に政治家、教育に携わる方々の奮起を期待したいと思います。
トリヒタカラナに戻り、
https://www.youtube.com/watch?v=yMZIOXPdgZw
を見てみますと、調和の順番は、まず神、次に自然、最後にコミュニティの順番があるようです。
また、バリでも農家の方の高齢化が進み、子供たちは農業の大切さはわかっていても、つらい仕事の割には十分な収入が得られず、農業をやろうという子供はほとんどいないということです。
バリの雰囲気と音楽は以下でhttps://www.youtube.com/watch?v=6BgT2Wa_2vE
国民総幸福度をグローバリズムの防波堤にしているブータンとも相通じるものがあることを感じました。http://ubekuru.com/blog_view.php?id=5852
よくよく考えたいものと思います。
銀天エコプラザでは、2階の環境図書室・まちかどブックコーナーで、読書会や環境何でも相談を通じて、こういった課題について、悩みを抱える若い人たちと、多世代のわれわれが、肚をわって話し合う場にしたいと、妄想をたくましくしています。(文責:浮田)
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