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アーサー・ビナードを囲む朗読会に参加して(山口市民会館)
2021年08月30日
1945年から76年目の、2021年8月15日の敗戦の日、山口市民会館で開催された、アーサー・ビナードを囲む朗読+お話し会に参加しました。主催は山口の朗読屋さん(代表:林伸一・山口大学名誉教授)です。
詩人のアーサー・ビナードさんは1967年アメリカ合衆国ミシガン州生まれ、子どもの頃から父親とたびたび渓流釣りに出掛け、川と湖の生き物に魅せられる。大学で英米文学を学び、卒業と共に来日して、日本語でも詩作を始めたそうです。
2001年「釣り上げては」が中原中也賞を受賞して、山口との交流が続いています。広島在住で、自然の豊かさ、環境の大切さを伝える本、また、原爆と放射能汚染の問題を被害者、市民の命と暮らしの側に立って、深く鋭く語り掛ける絵本や詩集を出版されています。
8月15日のプログラムでは、
「はじまりの日」 For Ever Young by ボブ・ディラン、翻訳 アーサー・ビナード、タイトルは生まれてきた子どもの毎日が発見、毎日が驚き、生き生きできますようにという意味、For Ever Youngを直訳して、「いつまでも若く」では、アンチエイジングと勘違いされそうだったのでとのこと。ボブ・ディランは2016年ノーベル平和賞を受賞したが、権威主義がきらいなアーサーさんは取材から逃げ回ったらしい。本が売れるのはうれしいけれど。
「ありえない!」先日亡くなった、「はらぺこあおむし」の作者、エリック・カールの作品です。子どもと動物が入れ替わったり、鳥がプールに、魚が鳥かごに入ったり、ネズミが猫に紐をつないで、散歩させたり、びっくりの連続の楽しい絵が続きます。
「最近ありえない話」では、東京五輪をこの新型コロナ変異株急拡大の中、開催して多くの人の命を危険にさらし、医療体制の崩壊を招く、IOCの営利主義、政府の無策を鋭く批判します。
続いて、「花さき山」は斎藤隆介作・滝沢二郎の切り絵絵本を翻訳、バイリンガルでの出版です。貧しい村の娘あやが山菜取りに山に入って、道に迷い、気づくと一面に花が咲いている。山姥がいうには、あやが晴れ着を我慢して、妹のために譲る、良い行いで森に一凛の花が咲いたのだよ、ここに広がる花はそれぞれ、村人の良い行いの証なのだという。山姥が語る話には、命をかけて高波を防ぎ、村を守った八郎など、秋田の民話が出てきます。
そして、「雨ニモマケズ」宮沢賢治の作品は、英語タイトルが Rain Won’t、絵 山本浩二、生き物がいっぱいの里山が拡がっています。宮沢賢治は1896年岩手県生まれ、盛岡高等農林学校(現在の岩手大学)に進学して、脂質調査の研究に励み、短歌と詩、童話を書き始めた。1933年に急性肺炎で死去、生前に出版されたのは、童話集「注文の多い料理店」、詩集「春と修羅」のみ。没後にこの「雨ニモマケズ」を含め、数々の傑作が世に出たそうです。
雨ニモマケズを読んで、日本語で書かれているので、日本の話と思うでしょうけど、宮沢賢治が岩手の自然とそこに暮らす人を詠んだ明治~大正の自然の豊かさと、現代日本の便利な生活環境、コンクリートで固めた川や海岸、放射能汚染の心配な土壌や作物はまるで違うものだという。
敗戦の日にあたり、日本人としては、自分がどうやって生きてきたか、「されたこと」ではなく、自分たちが「したこと」を振り返ることが大切、8月15日だけでなく、1941年12月の太平洋戦争の始まりの日、開戦の証書を読み返すことが大切と言われ、なるほどと思う。
文化放送の「戦後75年スペシャル 封印された真実 ~軍属ラジオ~」は、昨年8月放送の番組が今回、ギャラクシー賞ラジオ部門大賞を受賞した由です。アーカイブで番組を聞き、戦中のプロパガンダの恐ろしさを実感し、今の時代の放送やマスコミに流されないようと思いを強くします。
(文責: H. Murakami)
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