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福島県いわき市と広野町で災害がれきの仮置き場を見てきました。
2012年03月25日
3月20日、災害がれきがどういう状態になっているのか見るために、東京から福島第一原発から20kmの広野町といわき市まで、足を伸ばしてきました。JRは広野町までしか動いていないので、広野駅で下車して、まず町役場の災害対策本部で少し情報を聞きました。役場は戻ったが、住民は5千人のうちまだ1割も戻っていないということでした。実際、住民が戻らなければ商売も成り立たないし、農業も土壌汚染で作物も安心して作れない状況です。沿道のモーテルや民宿、コンビニの他は町もがらんとした雰囲気です。Jビレッジの近くまで、6号線を徒歩で移動しました。朝の9時前でしたが、多くのトラックや作業車が追い抜いていきました。東電広野火力発電所の近くには、きれいな住宅団地があり、そこで除染作業が行われているのを目にしました。水で屋根や樋を洗ったり、庭の表面の土をはぎ取ります。一軒毎に、4,5人の人をかけて作業し、大量の土が出ます。本当にたいへんな感じがしました(写真2)。
その後、災害がれきの仮置き場に行き着き、作業詰め所で許可を得て、いろいろ写真を撮らせてもらいました。休日のため、割に自由に見せてもらえた一方で、誰の説明なしにいろいろ自分で推定することになります。
仮置き場と同じ敷地の中で、除染された土を埋め立てるモデル実験も行われているようでした(写真3)。
地震や津波で壊れた家が家電製品や家具もろともそのままごみになったわけで、ありとあらゆるごみが見られます。重機や可搬式の破砕機等で、粗分別された状態ですが、可燃ごみやプラスチックごみはフレコンに入れられていたので、しっかり内容を確認できませんでしたが、広域処理の対象物かもしれません。破砕処理後の不燃区分のような埋立対象になるものは見あたりませんでした(写真4,写真5)。
家電リサイクル法や自動車リサイクル法の対象ごみは法律に従って、リサイクルされることになるようです。
仮置き場に何台かあった自転車にのって行きたいほどでしたが、また歩いて広野駅まで戻りました。広野は「今は山中今は浜、今は鉄橋わたるぞと、思うまもなくトンネルの、闇を通って広野原」の鉄道唱歌のモデルになったところです。久ノ浜駅で降りて、津波の被害の大きかった場所をみました。ちょうどお彼岸なので、避難先から帰って、海岸にお花を上げたり祈ったりしている人がいました(写真1)。
午後は、いわき市小名浜に行き、既に分別された木材がれき置き場、ヨットハーバーと勿来発電所運動場のがれき仮置き場も見ました。木材ごみの方は、柱材など良質なものはチップにして、木質ボードに、その他はやはりチップにして製紙会社のボイラー燃料として使う予定のようでした。ヨットハーバーと運動場の仮置き場の災害がれきは遠目でしたので、どのようなものかはっきりしませんでしたが、これも広域処理対象のごみかも知れません。
いわき市のまちはあまり普段と変わりないような雰囲気になっています。どちらかというと復興景気で元気そうな印象さへ受けます。しかしテレビのニュースでは天気予報のように各地の放射能汚染状況が報道されているし、ローカルな新聞にはやはり放射線の汚染状況が詳しく報道されていました。災害がれきの広域処理についての基本的な考え方として、たとい低度の汚染であっても放射性物質の事故による拡散はどうしようもないにしても、人為的な拡散はさせないという原則が大事だと思います。できるだけ現位置で徹底した分別をして、資源化できるものは資源化するという方向を目指すべきではないでしょうか。木質エネルギーの利用など、地元の活性化にもつながるし、そのために必要な設備投資は国として予算を投入しても惜しくはないと思います。
何ともやりきれない思いを抱いて福島県を後にしました。(館長)
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自然発火よりは整備された焼却炉での焼却の方が放射性物質の環境からの隔離には有効なのでしょう。でも、汚染が生じている現地だからこそ成り立つ論理のように思われます。汚染の少ないところでは「環境からの隔離」ではなく「環境への拡散」が生じるのではないでしょうか。
そのうえ放射性の粉塵として濃縮された形で回収されるのは、誰が何と言っても放射性廃棄物そのものです。島田市での試験運転も当初言われた性能すら有していなかったと聞きます。そうなると二次汚染の発生が必至。被曝労働が各地の焼却施設で発生することにも対応しなければいけません。国の示す基準が合理性を欠く現状では産業施設での焼却や利用も気になります。宇部市や周辺地域での状況、焼却灰の持ち込みも含め、いつまで安心して暮らせるのかと気が気ではありません。
日本の中でも放射性物質からの強い汚染を免れた地域を守りながら、被災現地の命と暮らしを救い出すその具体的な解答へはいつになったらたどり着けるのでしょう。このような状況を現出しながら、それでもなお原子力に縋り付こうとする日本が一方にあることに哀しみを禁じ得ません。
原子力に代表される大規模集約的な技術を利用した暮らしを続ける限り、こうした困難な解決できない問題が私たちの後を追いかけてくるようです。
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