宇部市環境学習ポータルサイト「うべっくる」では、山口県宇部市で行われる環境イベント情報を募集しています。環境イベントに関する情報はこちらからお知らせ下さい。
-------- 2024年 --------
コンビニ大手3社大幅減益、レジ袋有料化の影響も・・・レジ袋有料化の意味は?レジ袋とマイバッグ、本当に環境に優しいのは?
2020年10月12日
コンビニエンスストア大手3社(ローソン、ファミリーマート、セブンイレブン)が今年の3月から8月までの半年間の決算を発表しました。回復傾向ではあるものの、各社の利益は昨年同時期と比較してローソンが54.6%減の166億円、ファミリーマートが30.5%減の321億円、セブンイレブンが10.7%減の1182億円となっており、大幅な減益となったようです。
出典:NHK NEWS WEB「https://www3.nhk.or.jp/news/html/20201009/k10012654871000.html」
これについては新型コロナウイルス感染拡大によるテレワークなどの推進、外出機会の減少が大きな影響を与えていると考えられますが、7月1日から始まったプラスチック製レジ袋の有料化の影響もあると思います。インターネット上でも「レジ袋が有料になってからコンビニを利用しなくなった」「有料になってからは自分のカバンに入るだけの量しか買わなくなった」などの意見をよく見かけます。実際に自分の周りにも「コンビニに行く回数が減った」という人もいます。
ここで、なぜレジ袋が有料化することになったかを振り返ってみると、経済産業省が今回の有料化について以下のように説明しています。
「プラスチックは、非常に便利な素材です。成形しやすく、軽くて丈夫で密閉性も高いため、製品の軽量化や食品ロスの削減など、あらゆる分野で私たちの生活に貢献しています。一方で、廃棄物・資源制約、海洋プラスチックごみ問題、地球温暖化などの課題もあります。私たちは、プラスチックの過剰な使用を抑制し、賢く利用していく必要があります。このような状況を踏まえ、令和2年7月1日より、全国でプラスチック製買物袋の有料化を行うこととなりました。これは、普段何気なくもらっているレジ袋を有料化することで、それが本当に必要かを考えていただき、私たちのライフスタイルを見直すきっかけとすることを目的としています。」
出典:経済産業省webサイト「https://www.meti.go.jp/policy/recycle/plasticbag/plasticbag_top.html」
レジ袋(プラスチック製買物袋)の使用を少しずつ抑制していこう、環境問題、それに対する自分自身の行動を見直そう、という意味合いで有料化が実施されたということです。スーパーマーケットなどでは以前からレジ袋を有料としている店も多かったですが、それに伴い環境にやさしいとされる「マイバック(エコバッグ)」の使用を促してきました。これらの動きも環境問題に対する人々の意識を変えるには重要であると思います。
しかし一方では、「マイバッグ」の利用推奨が本当に環境にやさしいのか、と疑問を呈する声もあります。レジ袋を使うことは、間違いなく環境に負荷をかけます。ではマイバッグを使うことは負荷をかけないといえるのでしょうか?
LCA(ライフサイクルアセスメント:ある製品が製造されて破棄されるまでに、外部環境にどのような影響を与えるのかを評価する方法)という観点から、レジ袋とマイバッグの環境負荷を比較したのが次の表になります。
この表を見ると、一般的なポリエステル製のマイバックが製造から破棄までに排出する二酸化炭素の量は50倍以上ということがわかります。(もちろんこれは一例で、レジ袋やマイバックの種類によって異なるものです。)このことから各袋を使用時の買い物回数と二酸化炭素排出量の関係を示したものが以下の図になります。
出典:日本LCA学会研究発表会講演要旨集
買い物回数50回未満ではレジ袋より負荷が大きいですが、それ以降では常にレジ袋よりも小さい二酸化炭素排出量で買い物をすることができます。また、他の研究によっては、数百回マイバッグを使用しなければ環境負荷が低下したとはいえないという結果も出ているそうです。(参考URL:https://news.yahoo.co.jp/byline/andomitsunobu/20200730-00190731/)つまり、購入した1つのマイバックをかなりの回数使わなければ本当にレジ袋よりエコだとは言えない、ということです。
さらに、新型コロナウイルスが流行し始めた今年の春頃に米国の一部において、感染防止のためマイバッグ使用が禁じられるなど、普段頻繁に洗濯することのないマイバッグの衛生面での問題が指摘されることもあります。
これらのことから、マイバッグを使用することは必ずしも環境にやさしく安全であるとは言えません。何も考えずに、レジ袋を購入している人を「環境問題改善に非協力的だ」と否定するといったことはするべきではないのです。
繰り返しになりますが、今回のレジ袋有料化について、レジ袋を購入するかどうかだけを気にするのではなく、環境問題について少しでも考えるきっかけにしてほしいと思います。個人的には、1枚数円のレジ袋を買う、買わないということよりも、今人類が直面している環境問題について知り、真摯に向き合うことの方が極めて重要なことだと思います。また、環境問題について安易に表面だけを見て考えるのではなく、先述したLCAの観点などから物事を多角的に考え、評価できる人になることが大切だと思っています。
(Y.Y)
Copyright © Ube City Kankyo-Portalsite all rights reserved.
1792 0
ツイート
この記事のURL: http://437338.fd6au1zn.asia/blog_view.php?id=5561
◆ 現在、コメントはありません。
この記事へコメントを投稿します。