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最近元気をもらった本の紹介 出口治明著「還暦からの底力」
2020年07月11日
還暦からの底力
立命館アジア太平洋大学(APU)学長 出口治明
この本の目的はどうすればシニア世代の人間が「還暦からの底力」を発揮できるのかという問いに対する答えを明らかにしようとしたものです。
著者は還暦でインターネットを主な販売チャンネルとするライフネット生命を開業し、古希を迎えた2018年に学長国際公募を経てAPUの学長に就任されました。そんなユニークな人生を歩まれた経験から大事なことは、物事をできるだけフラットに、「数字、ファクト、ロジック」でとらえ、「年齢フリー」で考えることと健康寿命を延ばすことだと説かれています。本のタイトルは「還暦からの…」となっていますがどの世代の人にも役立つ内容だと思います。
以下、目次から内容の概略を見ていきましょう。
第1章 社会とどう向き合うか
この章では高齢者は「次世代のために働くこと」に意味があり、次世代を健全に育成するために生かされていると考えるべきだと主張されます。
極論として「敬老の日」などやめてしまえ、敬老という言葉自体が「若者が高齢者の面倒をみるのが当たり前だ」という考えにつながる。「ヤング・サポーティング・オールド」から「オール・サポーティング・オール」に変更する必要があり、年齢に関係なくみんなが応分の負担をして、シングルマザーをはじめ、ほんとうに困っているひとに給付を集中しよう。そのために税制や社会保障のあり方を変える必要があります。
第2章 老後の孤独と家族とお金
「人生100年時代は働いたほうが人生を楽しめる」そのためには定年を廃止する。働くことは、規則正しい生活に直結し、雪が降ってもあられが降っても職場に行くので毎日1万歩くらいは歩くし、いろいろな人と会話もする。働けば頭も体も使い健康寿命をのばし、収入も得られる。このように働くことは良いこと尽くめなので、定年を廃止しようというロジックなのです。
長時間労働は愚の骨頂で、グローバルな企業で長時間労働をやっているところはどこにもない。
第3章 自分への投資と、学び続けるということ
老後にいくら必要かというお金の心配をあれこれするよりも、自己投資にお金を使い、自分ができることを増やして豊かな生活を送るほうがずっと大切だと思う。何かを始めるのに遅いということはありません。年齢フリーで考えるべきです。たとえば、63歳のときにシニアダンスチームを設立し、80歳の現在もチアリーダーとして活躍中の滝野文恵さん。77歳のときに友人にDJをやってみないかと誘われて、面白そうだとDJ学校に通い始め「最高齢のプロフェッショナル・クラブDJ」としてギネス世界記録に認定された岩室純子さん等。楽しいことにチャレンジすることが自分を元気にするという事実を示していると思う。
第4章 世界の見方を歴史に学ぶ
世の中を理解するために必読の古典とは、
1. ベネディクト・アンダーソンの「想像の共同体」
2. ウォーラーステインの「近代世界システム」
3. アダム・スミスの「道徳感情論」 他に「国富論」
4. ジョン・ロックの「統治二論」
5. ダーウィンの「種の起源」
上記6冊で基礎的な教養の根本が得られるが、実際にこれらの本を全部読んでいる学生は少ないと思う。
第5章 持続可能性の高い社会を子供たちに残すために
次世代のため、社会の持続可能性を考えると、少子化対策は必要不可欠。社会の持続可能性を考えるとき、政府の財政構造も大きな課題。良い政府をつくるのは、選挙権を持っている皆さんです。ぜひ選挙に行って投票してください。政府と市民は対立するものではなく、政府は私たちが選挙を通じてつくっていくものです。
以上、私のつたないまとめで紹介しましたが、元気をもらえるところはまだまだたくさんあります。一読、二読と楽しめると思います。
(文責 山本和)
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