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「仏音」高瀬広居著、朝日新聞社刊 より塚本善隆師の言

2020年03月31日

「仏音」高瀬広居著、朝日新聞社刊
塚本善隆(1898-1980)浄土宗僧侶、中国仏教研究の第一人者のインタビューの引用です。

塚本師の祖母は信心深い人で、あらゆるものに感謝し、ものを粗末にしないことを教わったそうです。一方、明治の後期に近代的な教育を受けたお母さんはそのあたりかなりぞんざいであったようです。

命は代々ずっと親からひきつがれたものであり、生きとし生けるものはすべてつながっている、自分一人で生きていけるわけではない、そういう感謝の気持ちがないと、利己的な、自分さえよければいいというような社会になっていくということでしょうね。

仏教が日本に伝わるまでに、またその歴史的過程において、ずいぶん原始仏教とは違い日本流にアレンジしたものになってきたわけですが、塚本師は以下のように語られています。

明治の近代化が、宗教と教育を分離してしまったこと、そして仏教の指導者たるべき僧があまり戒律を守らなくなったことで、日本人が宗教心を失っていったのではないか。
それでも一昔前までは、素朴な民衆の信仰のうちに仏教は生きていたということでしょうが、塚本師は既成仏教教団の衰退もやむなしというご意見だったのでしょうか。

自分は、江戸時代、幕府の政府の末端機関として位置づけられたこと、明治維新で僧が戒律を捨て、世襲制になったこと、第二次世界大戦後、完全に教育の場から宗教が排斥されたのが大きいのではないかと思います。そうして、高度成長期を経て、すっかり影がうすくなったということではないでしょうか。

いずれにしても、人間と自然の関係、モノとこころのアンバランス、利他心の衰退等は、現在の色々な社会問題の根源にあり、持続可能な社会の実現には、このレベルから考え直す必要があるのではないかと思います。どこで、どのように教えればいいのでしょうか。 (文責:MU)

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