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「多世代の市民を巻き込む企画の工夫」 山本安彦さん(山陽小野田市立図書館長)

2020年03月29日

3月21日に予定していた、2019年度ESD研修会まとめと反省会は新型コロナウィルスによる図書館の利用停止及びイベント自粛によりやむを得ず中止とし、その善後策としてESDうべ推進協議会事務局の関係者と一部関心の深い方に声をかけて、聴衆6名で録画撮りとディスカッションを非公式に行うことで、責務を果たしました。
そのためこの度は、録画のYoutubeへのアップ、ブログも二部に分けて、できるだけ詳しくまとめることにしました。

山本安彦さんは山陽小野田市図書館長として今年7年目でそれまでは山口県立図書館に34年勤められていたそうです。公募に応じて館長に就任され、任期はあと2年とか。

今回の講演のテーマとして与えられたのは、多世代の市民を巻き込む企画の工夫という、むずかしい課題ですが、もともと図書館は子どもから大人まで多世代の市民を対象にして無料で使える、またあまり縛りのない施設である。山陽小野田市でも力を入れているが、日々試行錯誤の状況。

25年前に基本計画が、東京のある機関に委託されて作られているが、当時としては新しい考え方でしっかりしたものである。その期間の代表者らは欧米の図書館の視察もされている。
一般には本を借りるところというイメージだが、本との出会い、いろんな人との出会いによって、その中から何か生まれるのではないかと思う。

これを受けて、山本さんは、山陽小野田市の図書館の活動として、
市民の知的好奇心を刺激し、古今東西の知恵や様々な考え方に出会い、また「知」のセーフティネットになり、まちの記憶装置になり、市民とともに成長する図書館として、市民の成長と自立、今と未来のまちを支える人づくりを目指す と整理されている。

具体的には、山陽小野田市子ども読書活動推進計画(第三次計画)では、5つの柱として
①マタニティブックスタートを起点として切れ目のない読書活動の推進
②「科学」を柱にした子ども読書活動の推進
③学校図書館等と連携した子ども読書活動の推進
④読書ボランティアへの支援、関係機関・団体等との連携・協力
⑤研修による司書、学校司書等職員のスキルアップ
を掲げている。

実に多彩な催しが工夫され開催されている。その回数は年間63回にも上り、52週で割れば、毎週1.2回のペースです。

レジメでは、図書館の特徴的な取り組みとして、
サイエンスカフェ、子育て絵本カフェ、多言語によるお話会、詩(ポエム)カフェ、随筆カフェ、全小中学校対象の出前学校講座、まちのじまん!フォトコンテスト、図書館にいる〇〇〇を探せ!、チームで解決!図書館からの挑戦状、古本朝市等々、30例が紹介されています。

さらに、平成27年9月に行われた開館20周年記念イベントとして
図書館で合コン!、チャリティーオークションなど5プログラム、
2016年9月に発足した図書館創発会議によるイベントとして、
「持ち帰り 本カフェ」、「本で婚活、GO!」、「春のとしょかんプチ・マルシェ&映画祭」、「地域情報誌 とっとこ山陽小野田」の発行が紹介されています。

その他の取り組みとして毎週開催の「乳幼児おはなし会」毎月開催の「幼稚園への出前図書館」「共生の街づくり講座」、「図書館 人形劇まつり」バリアフリー映画上映会、「高齢者を対象とした『映写会』」、

これまでに開催した講演会・講座などとして、
「長谷川義史 ミニミニライブ」、「児童文学作家 角野栄子 講演会」、「児童文学作家
岩瀬成子 講演会」、「ハイスクール・ビブリオバトル」、「絵本作家 藤本とよひこ 絵本ライブ」、「横山まさこさん・村中李衣さん『絵本と魔法の軌跡』」、「絵本作家あべ弘士が語る『動物への愛と図書館の思い出』」、「粉川 妙さん『地域おこしのヒント』」、「福田幸弘&ゆうきえつこ スライドトークショー『ぼくらはみんな生きている』、「絵本作家 岡本よしろう講演会『絵本の世界」、「野中元&かるべけいこ スライドトークショー『苦しいときほどご飯と味噌汁』」、「アイリッシュハーブコンサート」、等々21例が紹介されている。

本当に様々なイベントが行われています。中には学校等への出前活動のほか、「図書館で合コン!」や、「竜王山たんけんツァー」で自然観察までも行われ、今年度からは「チームで解決!図書館からの挑戦状」で、与えられた課題について、本を使ってどの程度解決ができるのかという取り組みもあって、驚きます。
出前講座では、図書館の方でも日ごろきけない意見やアイデアを得ることができる。
東京理科大も薬学部ができて、新しい動きもありそうだし、高等学校からの誘いもあるとのことです。

図書館フェスティバルは11月下旬に開催されていますが、その様子は実に多彩です。
http://library.city.sanyo-onoda.lg.jp/news/611.html
レジメでは、オープニングセレモニー、市民ときめきコンサート、リサイクルブック、図書館チャリティーオークション、など10プログラムが紹介されています。

これらの努力の効果については、もとより短期的な評価では不十分ですが、来館者数の伸びや、児童書貸し出し点数の伸びに着実に表れているようです。

このような催しは、当然一人や二人では考えられないので、職員全員や、市民の方々のアイデアも入れて企画されているようです。
市民への一方的なサービスの提供ではなく、市民も主体的に参加しての「市民とともに成長する図書館」が意識され、様々なイベントには地域の人材がフルに活用されています。もちろん時には市外の人を講師や出演等に招かれることも多いです。このようなかかわりの中で、これらの人達もその後、本を執筆されたり、成長されていく例も紹介されました。

 山陽小野田市のように館長が長く継続されるところは少なく、2年ぐらいで代わるところが多いそうであり、2年では打ち上げ花火的で継続できない。また、司書が館長であるところは県でも3か所だけであるということです。

 アメリカの 社会に役立つ図書館の12か条というものを示され、図書館が社会から軽視されないよう、アピールしている。
 図書購入費は、山口県の平均で一人当たり年間250円だが、いろんな見返りが期待できる。

図書館の持続的な成長のために
・7割が非正規職員 経験が蓄積されない傾向がある。
・館長により方針が変わる。館長の就任期間は2年とかでは、長期的な視点を持てない。打ち上げ花火的に終わる。 せめて基本方針はしっかり受け継がれなければならない。
・財政基盤は行政の中で大事なものと認識されないといけない。財政難になるとカットされやすいところ。
・市民参画と地域連携難しいが、しっかり根を張ることが大事。長期的なプランが大事。
そのための試行錯誤を今やっているところだ。

財政基盤の問題としては、徐々にカットされる傾向がある。

多世代とのつながりという点で言えば、若い人は本を読まず、SNSに依存する傾向がある。FBやTw等でつながっても、やはり、実際に、向かったface to faceで丁寧につながっていくことが大事だと思う、と結ばれました。 (次につづく)

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