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12月19日に行われた、小川仁志先生を招いての哲学カフェ「人生どう生きる」の報告です。

2020年01月07日

 遅くなりましたが、昨年、12月19日に行われた、小川仁志先生を招いての哲学カフェ「人生どう生きる」の報告です。

前回に引き続き、4階の学習室利用者に参加を呼びかけましたが、参加してくれた方は非常に少なかったです。しかし、広く呼び掛けた結果、老若男女混合の、全員で26名の参加があり、前回と同様、成功裏に終わりました。

 定員を20名としていましたので、オブザーバー席も設けていましたが、オブザーバー席の方も区別なく、言いたいことがあったら手を上げてくださいということでした。
 最初に、全体の注意点として、難しい言葉を使わない、演説の場でもない、人の話を聴く、などの点を挙げられました。

 テーマは、「人生どう生きる」でした。以下簡単に、話された内容をかいつまんで、適当に編集も交えながら、紹介します。

◎まず、「人生どう生きる、そんなことを考えたことがあるか?」と問われました。
・(参加者の発言、以下同じ)自分の将来のこと、どう進めばいいかを考えた
・人生のゴールが見えてくると、残された人生どう生きるかを考える
・AIの時代と言われるが、AIにできないことがあれば、それをやりたいとか
○(先生のコメント、以下同じ)ポジティブな自分でも毎日悩んだり考えることがある。考えることは大事、じっくり考えることが少なくなっているのではないか。

◎正しい生き方ってなんだろう。選んだ道は正しかったか。どういう基準で進んできたか。 選択の基準は?
・自分の思いにしたがってやってきた。これからもそうなるだろう。
 ○これまでのやり方では新しいことができないのではないか
・自分が決めることが大事 自分の人生だから 失敗しても自分の責任と思える。

◎正しいかどうか より正しい道があったかも知れない。進路を考えるとき、調べないか?
・情報を集める。最後は自分で決める。

◎人生の悩み、たとえば恋愛なんかどうか?
・信頼している先生に相談した   ○信頼している人に聞くこれはいい方法
・哲学者の言葉を参考にする  ○哲学者の言葉や偉人の言葉は本質をついていることが多い

◎AIの出す答えを信じますか 肺癌と診断され、片肺を撮らないと2年で死ぬと診断されたとき、どうする?
・従う 死にたくないので
・100%は信じない。わずかな間違いにかける。若い人達は違うかも知れないが。
・死を考えるのは人間だけ、AIがそこまで達しているとしたら、従う

◎不幸になるにしても自分を信じたいか?
・高校生の時、悶々としていた。 世の中の仕組みなどについて色々考えた。学生運動なんかに係わるな、不幸になるぞと言う先生がいたが、ある時学生運動家の話をいいたら、実に理路整然としていた。
○善悪の区別というのは時代によって変わるのではないか

◎不幸になりたい人はいるか?   
         →(その場の雰囲気、以下同じ) 不幸になりたい人はいない
○小学校5年の時、親が亡くなった。 不幸も受け入れられる 過去の不幸もまあよかった考える人はいる
・不幸になりたいとは思わないが、受け入れられる
・幸せばかりでは楽しくないのではないか
○どん底まで行けば、はい上がれる。ハクスレー「すばらしい新世界」不幸になる権利もある。

◎いい人生だと思うか?  
・思わない 年とったし、お金もないし。  ○70になっても人によってちがうだろう
・下を見ればいいと思える
・前と比べて、いいと思える。よりよくしていける

◎何があれば幸せといえる? 命は別としてこれだけは失いたくないというものは?
・総体的にものごとを考える力   ○いいね。人間は考える葦だからね
・何か選べる自由かな
・健康か     ○総合商社に入った時、働きすぎて、健康が失われると感じた
・本を奪われると困るという人もいる
・友達も大事  ○すばらしいね 自分は小学校の文集で「本当の友達がいない」と書いている。
○逆に、そういうものを大切にする選択をすればいいということかな
 
◎自分の基準で選んでいっても、運とか運命というのがあって、決まっているという考え方もある。そうならその場その場を楽しくやればいいのではないか? 
                       → そう思う人もかなりいる
・ 決まっているかも知れないが、それでも色々考えることの意義がある
・ 決まっているにしても、そのとき、やりたいことをやりたい。後悔しないように

◎人生、プロセスか大事、結果か大事か、どちらか?
                       → 6:4くらいでプロセスが多いか
自分があまり努力しないのに、名誉ある賞をもらった。ありがたくもらう?
ばれないなら人の成果を盗んでももらいたいか?
・結果も大事だが、プロセスが大事 さわやか
・勉強をみっちりして試験に落ちた。やらないで合格よりもいい。

◎なぜプロセスを重視するのだろう
・努力は別のところで生きる。自分の地となり肉となる。
・メンタルも鍛えられる
・歳をとると、そんなことは大した問題ではなくなる。死んでしまえばなくなる。
・自分を知ることができる。次に生きてくる
○全力でやったことなら、「汝自身を知る」ことになる。プロセス自体を楽しむということもあるかもしれない。    → 毎日楽しんで生きるという人が割に多い  

◎享楽的に生きる?、たとえ苦しくても一生懸命生きる?
                  → 快楽も必要という意見多い 後者は少なめ

◎国によっては、内戦、戦争状態、難病にかかることもある
いま、世界では「反出生主義」と言うのが出てきている。「現代思想」という雑誌の特集に出るくらい。インドではなぜ自分を生んだのかという訴訟まで起きている。わかりますか?。    → それでも生きる 大部分
         何となくわかる すこし
(このことについては、現在なぜ、持続可能な○○ということがよく言われるのか、SDGsが市民権を持つようになってきてはいるが、多くの人たちはその達成の難しさを認識していない現実に対する問題提起ではないかと感じました。))

○世の中よくしていければいいが。 厳しい時代だが、生きていく → (無言)
 奇跡を信じる 宗教 神を信じる、信じられない人もいる
 宗教は 信じなさい 哲学は 疑いなさい          → (無言)
 昔悩んだとき 自分は後者を選んだ 自分で切り開く 
反出生主義を疑い、どんな状態でも何か希望があるのではないか と思って生きていける。

○難しい問題もあるが、考えることの大切さを感じてもらったのではないか。
この1時間半、あとで振り返って、とてもよかったと思えるのではないか 背中を押してくれたとか、なんとなく参考になったとか、思うこともあるでしょう。

【自由時間の質問など】
・ライバルやできる人のことが気になってねたましく思うことがある
 ○相手のことを考えるより、自分を高めることを考えるとよい
 ・自分の中の、よい点、優れている点を考えるとよい
 ・相手の課題と、自分の課題を分けて考える
・関連して、人とのコミュニケーションの重要性について、歳をとると頑固になり、自分中心になって、好き嫌いがはげしくなり、人間関係が旨くいかなくなりがちになる。
○コミュニケーション力はこれからたいへん大事な能力。いっしょに仕事をしたい、いっしょにいると楽しい、そういう人材が求められる。このような能力を身につけるには長い時間がかかる。ファシリテータをやる場合も、相手の気持ちをよくさせることが大事だ。意見を良く聞いて、みんなに投げかける、ジョークも交えるなどなど

(確かに小川先生は必ず、発言者の意見をわかりやすく要約して復唱されるので、発言が聞き取りにくいこともある中で、参加者全員が話を共有できてよいと感じます。)

 哲学カフェでクラスの学力が上がったということを聴いたことがあるが、なごテツカフェから、参考になる部分を引用すると、https://nagotetsu.jimdofree.com/activities/20190112/

・(進行役:皆さんの人生の中で学力はどういった関わりをもっていましたか?)
・高校までは学力は身に着いたけど、大学以降ではほとんど着いていない、
 大学ではあまり学力は着かなかったというイメージがある。
・数値で図れるもの、ABCなどで評価できる。計れないものは学力ではない。  
 大人になったら学力とは言わない。学力は学生のうちだけ。学校と関係がある。
・会社に入ると学力は意味がなくなる。
・学力は生きる力
 1.学ぶのに必要な情報の収集能力(ネット・人とのコミュニケーション)  
 2.記憶して脳に定着させる能力(反復 記憶)  
 3.思考能力(他との繋がりを考える)  
 4.実践を通して練磨していく(PDCAサイクル)  
これらは、学生にも社会人にも主婦にも必要な力。
(中略)
・学力は実感できない。学力は意欲とセット。車に例えれば前輪が学力、後輪が意欲。 (中略)
(中略)
・学力は基礎、創造力とかはその上にあるもの。

 これから求められるものは、狭い意味の学力ではなくて、ESDやアクティブラーニングで求められるような広い意味での学力だと思います。このような時代であるので、日本各地で、増えつつあるようですが、学習館においても、今後もこのような哲学カフェを企画していければと思いますので、利用者のみなさまも、非日常的な体験を積極的に経験されることを期待いたします。
  
 先生方もクラスなどで経験させてみたと思われたら、大学リーグやまぐちの出前授業として小川先生をお願いすることもできるそうです。
https://www.pref.yamaguchi.lg.jp/cms/a10400/leagueofuniv/demaekougi2019.html
                                (文責:浮田)

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