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「地球が壊れる前に」の上映会に参加して考えたこと

2018年12月12日

12月9日(日)午後、宇部市立図書館でときわ動物園主催の「地球が壊れる前に」の上映会が行われました。英語の原題は「Before the Flood」なんですね。

この映画の日本での上映権を持つ西原智昭さんの、はじめの挨拶で、日本語字幕の映画の、上映権を買われたということではなく、この映画の上映については、入場料無料で、教育啓発のためであり、必ず西原さん自身が会場にいることが条件になっているとのことです。期限は来年の8月までと言うことですが、これまで、すでに3,40回もの上映を各地でやってこられたそうです。

主役のデカプリオさんは、タイタニックで有名な俳優ですが、2014年9月、潘基文事務総長から、気候変動に関する啓発活動を行う国連平和大使に任命されました。
その後2年間にわたる世界の取材を行って、映画が制作され、2016年10月に封切られました。

2,3とくに印象に残ったことがありましたが、まず、デカプリオがこのような取組をするようになった背景として、子どもの時代から部屋に飾られた「快楽の園」という絵を見て育ったと言うことです。

アダムとイブの禁断の果実を食べて、楽園から追放され、中央は人口過多、度を過ぎた快楽、不道徳の罰を受けて、結果、地獄に堕ちることになるという絵です。。

デカプリオは、このような背景もあり、自ら悲観主義者であるとしています。

IPCC第5次報告の中の第1作業部会報告書における主なポイントは環境省のHPによると、以下のとおりです。

映画の中でも強調されていましたが、化石燃料に関わる大手の国際企業等による、政界へのロビー活動や、ジャーナリストやメディアへの影響力行使によって、地球温暖化はさほど心配すべきものではないとかいう、世論攪乱が行われていること、またそもそもデカプリオが国連平和大使に任命されたことに対しても、反対運動が行われたようです。

しかしそれにもかかわらず、科学者の見解は1990年の第1次評価報告書から2007年に第4次評価報告書、2014年に第5次評価報告書が発表され、自然科学的根拠をまとめた第1作業部会報告では、徐々に予測の精度を高め、温暖化の変化は疑う余地がないと結論づけている。

デカプリオは世界各地の取材を通して、もう遅すぎるのではないかという、悲観的な見方を強めたのではないかと思われる。

二つ目印象に残ったことは、写真の人物で、NASAの著名な宇宙科学者である、ピアスセラーズである。下の写真はデカプリオがピアスから、人工衛星の観測データを駆使した地球の気候変動シミュレーションの結果について、説明を受けているところです。
https://www.youtube.com/watch?v=DldSBIja2Kw

このとき、ピアスは膵臓ガンの第4ステージで余命幾ばくもないといわれていたころである。しかし彼は、楽観主義者であり、人びとは事実をきちんと理解し受け止めることができれば必ず、それを克服することができるという信念を持ち、残された貴重な時間で、大勢のチームメイトとこのような困難な仕事を成し遂げた後、2年後の2016年12月に61才で亡くなられている。

彼の晩年2015年の温暖化問題の警告と、われわれは何を為すべきかのメッセージについては以下の英語字幕付の動画で見ることができます。
https://www.youtube.com/watch?v=jSEr6uYs-t8

映画の最後にデカプリオが国連の場で、総括をしていますが、気候変動をはじめとする、この人類文明未曾有の危機を乗り越え、持続可能な世界を構築できるかは、大変な難題であるように思います。

これまで宇部方式を頭に置いて、よく環境問題解決の図式として用いてきた図を、今回映画を見て、少し加筆してみました。

「宇部方式」の特長として、その立役者の一人である野瀬善勝先生によると、
①学者の良心にもとづく科学的データの提示
②行政のリーダーシップと徹底した情報公開
③企業の自主的努力と協力
④市民の理解と支持、地元マスコミの役割
が上げられています。
さすが、見直してみると、確かに核心をついているとあらためて思います。

しかし現在の持続可能な社会づくりにおいては、全てが変わらなくてはなりません。
ピアスさんの総括では、科学者、政治家、産業界が一致して、気づき、行動をとらなければなりません。そして何よりわれわれ市民一人一人が責任を持って、意識ある政治家を選び少しずつ世の中の価値観をかえていく必要があるように思います。

そのためには、倫理を含めた教育の在り方、マスメディアの在り方も非常に重要であることがわかります。また中央の部分は大学に期待することが現状ではやや困難な状況になりつつあり、この情報化時代においては、広く人の叡智と捉える必要があるのではという気がします。

最後にこのような上映会の規格のために尽力いただいた、西原智明さん、ときわ動物園の宮下実さんに厚く御礼も仕上げます。   (文責:浮田)

なお、英語版ですが、以下で映画全体を見ることができるようです。http://watchdocumentaries.com/before-the-flood/

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