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宇部工業高校3年生を対象にした里山ビオトープ二俣瀬体験学習(第3報)

2018年11月07日

現場作業終了後、再度ふれあいセンターまで帰り、うべ環境コミュニティーの2人からESDとの関連について、話をする時間をいただいた。

浮田は、一見無関係と思われるが、最近経験した二つの事例を取り上げ、これと日本の農林業へのてこ入れの必要性について、話をした。しかし準備不十分なこともあって、うまく伝わらなかった感があり、ここに要点をまとめておきたい。

まず、水俣市の生ごみリサイクルについて触れ、水俣病の悲惨な歴史を背負い、
地域コミュニティー再構築のための{もやい直し」 が、ごみの多品目分類にも反映されていて、とくに生ごみの再資源化は注目されなければならないとした。

その上で、かなり離れた山中の堆肥工場で聞いた、「原料の確保は順調だが、できた堆肥の需要が農業の受け皿が十分ではなく、厳しくなりつつある」 ことを紹介した。

二つめの事例として、最近注目されているバイオマス発電について、国内産のバイオマスを活用することは里山再生にも寄与しうるが、だいたい海外産のバイオマスが主体に考えられていることを紹介した。

また大規模な西沖石炭火力発電所の計画は石炭専焼であるが、kWhあたりのCO2排出係数を低くするために、先ではバイオマス混焼もありうるかもしれない。

中でもPKSを対象にする場合は、東南アジアの貴重な自然破壊や生物多様性減少につながるのみでなく、森林泥炭地火災によるCO2の大量排出を招く危険性があるので、十分注意する必要がある。

大規模な西沖石炭火力発電所の計画では、事業者にはまず、宇部市と交流のあるブンカリス県の泥炭湿地の火災防止にも関心を払っていただきたいところである。

さて、まだまだマイナーであろうが、中山間地域や里山の再生維持には、小規模な農林業に期待する動きもある。

小規模なほど、多角的な経営ができ、多様なメニューを組み合わせて、食料生産、木材生産など、業として里山の管理ができるとのこと。このような仕組みを、社会全体でもっと真剣に考えていくべきであろう思われる。

若い人たちの間で、最近すこし農林業に対する関心が上がってきている動きもあり、ありがたいことである。

経済効率性を極度に追求しなくてはならない、グローリズムの時代にあって、物質的な幸せをひたすら追求しながら、満たされることのない現代社会の価値観を一度見直す必要があるのではないかと思う。

残りの時間で、津島さんは、一枚の図を示され、ESDとは何かという、お話をされた。
気づきとして、横軸は省資源・低環境負荷の技術開発により、すくない資源消費や環境負荷で効率よく、満足度を上げることができるような人材を育成する。それが企業も求める人材であり、ESDであると思うということであった。宇部工業高校の生徒さんにはストンと理解できたのではないかと思われた。

しかし、先述したように、「楽しい」とか「おいしい」とかで表された人びとの幸せについての価値観自体を、見直さなければならない時代なのではないかというのが筆者の感じた疑問である。

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