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中津干潟を拠点に活動されている「水辺に遊ぶ会」の足利由紀子さんのお話を聴きました。

2018年05月01日

先週土曜日の椹野川河口域・干潟自然再生協議会で講演していただいた足利由紀子さんはNPO法人「水辺に遊ぶ会」の理事長で、環境カウンセラーでもあります。

同会は1999年に発足し、NPOの認定は後になりますが、非常に興味ある総合的かつ先進的な取組をされています。

なぜこういう活動に取り組んだかということについては、下記の短時間の動画をご覧下さい。https://www.youtube.com/watch?v=fF_g9uuLdXE

HPもとても充実しています。
http://mizubeniasobukai.org/

内容の密度が濃いので、二つのブログに分けて報告させていただきます。

主なフィールドは中津市の中心部から東側に広がる大新田海岸前面の干潟及びその地先であり、その西端に近い位置に、拠点である「ひがたらぼ」があり、その東端に、官民の協議により、舞手川河口部の護岸を、我が国では初めてセットバックして、干潮域湿原を守った場所があります。その経緯については、九州大学の清野聡子先生との共著の論文が出されています。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jscejhe/67/4/67_4_I_1687/_pdf/-char/ja

また、想像したとおり、「豆腐屋の四季」作家の故松下竜一さんの薫陶も受けておられるようです。http://www.7midori.org/katsudo/kouhou/kaze/meister/32/index.html


中津干潟はちょうど、宇部や椹野川河口の周防灘を挟んだ対岸に位置するところで、貴重なスグロカモメ、シギ・チドリ、アオギス、スナメリなども目にすることができるそうです。

ズグロカモメ、シギ・チドリなどの渡り鳥にとって、越冬地、中継地、繁殖地、それぞれが重要であり、日本の干潟は中継地になっています。中津干潟は、干潮時、幅が2,3kmにもなる広大な干潟であり、渡り鳥にとって非常に重要な中継地ですが、山口湾と同様、まだラムサール条約湿地には登録されていません。

ちなみに、現在50あるわが国の条約湿地のうち、典型的な沿岸干潟としては、伊勢湾奥部の藤前干潟、有明海の東よか干潟、肥前鹿島干潟、荒尾干潟の4カ所が登録されています。、

足利さんは大学で生物系の勉強をされ、生物は詳しい方ですが、中津港の拡張に伴うたまたま中津港の拡張にともなう、干潟の一部埋立や砂浜造成などに意見を言うために、仲間と現場を見学する中、干潟で、カブトガニの幼生に初めて遭遇し、身近にこんな生き物がいるのかと感動したのがきっかけでこの活動に入り込んだそうです。

「この感動を沢山の子ども達に伝えたい」、「カブトガニの住む海を多くの市民に知ってもらい、大切に思ってもらいたい」という思いから活動を始めたと言うことです。
「いつのまにか遠くなってしまった海と人の心距離」をとりもどし、浜ににぎわいとりを戻したいという思いです。

NPO法人「水辺に遊ぶ会」は1999年に前身の会ができ、2006年にNPOの認定を受けられた。約20年間、様々な活動をおこなわれてきています。

活動としては、こども達を対象にした啓発活動、環境学習の場の提供等も活発に行われ、いまや30校もの小中学校が利用されているようです。

大学等と連携した調査・研究活動が盛んに行われているのも大きな特徴で、学術研究に堪えられるものを目指しておられ、実際、本格的な学術誌の複数の論文に共著者として名を連ねられています。

中津干潟で確認した生物種は800種に上り、そのうち30%が稀少種であったということです。

ビーチクリーンの活動も継続されています。
http://www.kaigan-info.jp/about/documents/050917_02.pdf
最近はごみが少なくなってきたので、後背地の松林の整備活動もしておられるとのことです。

漁業にまつわる情報収集についても、大変大事な仕事で、地元の方々への聞き取りや、当時の写真の提供を受けて、記録に残されています。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/prooe1986/19/0/19_0_261/_pdf

沿岸域の合意形成活動は、先述の通り、沿岸の湿地を守るための護岸のセットバックを我が国で初めて実現することに貢献されています。

干潟の保全活動をする場合には、猟師さん達との良好な関係が不可欠ですが、この発端になったのは、古代のたこ壺だったということです。
たまたま、一昨年、小野田の本山岬の海岸で、中央下の写真のような小さなたこ壺を見つけたことがあり、懐かしい気がしました。

(次のブログに続きます。)

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