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第6回環境サロン(古谷雅彦さん)の概要紹介です。やや詳しめで長くなってしまいましたが、記録として残します。

2017年10月02日

「緑と花を育て隊」は2011年に開催された山口国体に向けて、その2年前に設立された。
 花壇コンクールの花苗の育成やときわ公園内の花壇管理、親子子ども教室など、花いっぱい運動に大きな貢献をしているボランティア団体である。古谷さんは当時、宇部市緑化委員会の副委員長をされていた関係で会長を引き受けられて、その中心的な役割を担ってこられた。

当初は、夏はサルビア、マリーゴールド、冬は1種類と種類が少なかったので、種類を増やしてほしいとの要望があった。しかし一方で失敗をおそれる抵抗もある。責任はとるので手つだってくれということで、増やしていった。
そのうちにもっと増やして、最近では12種類まで増やしてほしいとの要望も出ているが、技術を習得する必要があり、高齢化によりボランティアも年々少なくなってきているので結構時間がかかる。
最近は若い人を参加させることを心がけるようにしている。
今年はこけ玉をつくって、種から苗を育てる試みもしている。その際ケト土という粘りのある腐植土をつかう。親はダメだが、こどもは喜んで土にさわる。明日はピンポン球のような苔玉を作らせる予定である。

去年、秋には、こどもドングリ教室で落花生を植えて掘らせた。こどもに人気があった。今年も楽しみに待っている。こどもに土をいじらせて遊ばせることが大事だ。
11月サツマイモを掘るが、焼き芋をしたり、これも人気。昨年は30代の父兄や、保育園や小学校の先生も参加した。


花苗栽培場は、元々竹林だったところを伐採して作ったが、10m位のマダケを切って、岬の漁協のノリの養殖の支柱に使ってもらった。

カブトムシの培養もした。成虫を竹の小枝や葉で腐葉土をつくり、これに成虫のメスを入れて、タマゴを生ませ、幼虫、さなぎを経て大きいカブトムシが出てくる。最初の年は300匹出てきた。二年目はさなぎを腐葉土とプラスチックのビンに入れて養殖した。これも人気だった。あるところから業務妨害という声も聞こえた。
子どもや若い親など虫にさわれない人が多い。トカゲやヘビを見るとびっくりして逃げる。へビを捕まえてここを持ったら噛まないから持ってみと言ってもだめ。
ミミズもダメ。こどもがミミズを触ろうとしても親がダメと言ったりする。ミミズがいる土はいい土だ、モグラもミミズを食べる。ミミズは木の根っこや腐った葉を食べて、土に戻す仕事をしているんだよといった話をする。
 その頃のこどもが今は高校になったり農学部に行った子もいて時々草取りの手伝いもしてくれる。

 あまり状況がわからないシルバーの人が草刈りに入って、フジバカマなどもばっさり刈ってしまわれた。モミジやサルスベリの苗もやられた。市の職員も3年ぐらいで変わるからわかっていない。草丈が高くなっているので、下に何が生えているのかわからない。少なくとも事前に相談してほしい。
専門職の採用が50年ほど無かった。昨年やっと1人採用した。後継者を育てる努力が大事。水戸植物園は17人、広島7人、北九州も17人くらいか。植物に関する相談事を何でもこちらに持ち込まれることが多い。今はミュージアムの方に予算が回っている。
 植物の専門家、ほとんどいない状況。女性で8,9年やっている人がいて3年くらい前から、気をつけて教えるようにしていて、だいぶ詳しくなってきている。

 40歳過ぎのころ、北九州市に会社の転勤で、足立山の緑化を北九州市役所の公園緑地課の東京農大のOBから頼まれた。このときは、大人だけでは大変なので一部だけでもこども達を入れて整備した。まずドングリ教室から始めた。
 シイ、マテバシイ、クヌギ、コナラの実は炒って食べることができる。特にマテバシイの実はおいしくてケーキに入れることもある。ポットにこれらのドングリを育て、苗を育てる。
 ドングリを横にした場合、上下逆さにした場合どんな違いがあるか見させたりする。春になって山を戻すときにやはり出方が違う。その後、業者を入れて整備するようになった。
その後の合馬のタケノコ林の整備の時は、ボランティアを募集して、24, 5人集まった。
その後、会ができて、合馬竹林公園内で米も栽培し、タケノコや野菜や米をもらえるので、会員も増え、今も20年以上継続されている。自分も総会のときだけ参加している。ここの 有名なタケノコで大阪や京都などに出荷されている。

宇部に帰ってからは、岩鼻公園の竹林整備をした。50cmくらい伸びたタケノコを上から20cm位の所を切り払うと次の歳にはタケノコも出なくなる。しかしモウソウチクやハチクの場合伐採した竹を運び出すのが大変。藤田元市長から小野の方はどうかといわれたが、とてもできないと断った。
 岩鼻の場合は、伐採した竹の処分のため、竹のチッパーを山口県から借りて、竹チップにした。試しに、これにカブトムシの養殖をしてみると、すごく大きなカブトムシが出てきた。竹には糖分があるせいか、大きなカブトムシが育つ。これも7,8年続いている。草刈りや藤山小学校、藤山中学校の生徒50人位も参加している。今年は、林業試験場に相談して補助を得て、木の名札をつけた。こどもは木そのものに興味を持つ子も出てくる。実を食べるのに、塩水につけておくと虫が入らない。ドングリは持って帰ってすぐ埋める。そして苗ができたら、山に持ってきてといっている。

こども達は、葉っぱはなぜ形が違う?とか訊いてくる。→ 風通しと光がだいじなこと、大きい葉であれば、光はよく当たるが、風で抵抗が大きく、倒れやすくなる。
 根はどうなっている? とも訊いてくる。 → 針葉樹は地上部2に対して根は1、広葉樹は地上部1、根が1。 これは、山が滑りやすいのにも関係している。

また一昨年から、吉部でドングリの里を作ろうとしている。いまポットに種を植え、苗になってから戻すように指導している。

議論:
O:竹チップを肥料として使うとどうなるか。
→:土がふかふかしていいが、腐るのにやや時間がかかる。それと手間がかかるのでコストが高い。
T:飯森木材も昔は竹チップをしていたが、今はやめている。刃がだめになる。古い竹は硬いので特に良くない。竹を切り口なめたらあまい。
S:ホタルこい、こっちの水は甘いぞというが、ホタルはヤナギやヨモギなど甘み成分のある植物があると長生きする。
竹チップを畑の畔にまくと草が生えない。竹林の中に草がはえていない。
→:竹林の落ち葉の下に白い菌があるが、腐葉土を作るのによい。
養分のあるチップや腐葉土で育ったカブトムシは大きくなる。竹の笹もカブトムシが食べてなくなる。

M:常盤通の花、バラ
→:常盤通の花は急に間に合わなかったので、業者が納めている。
 計画的に必要な時間を考慮して発注してくれたらいいが、急に言われることが多い。
市の職員もいるが、
 バラは病害に弱く、農薬が必要、病気にやられる。あるいは病原菌に強い品種だけで作らないといけない。
M:宇部空港のバラはどうか。すごく豪華だった。
→:夫婦の方と何人かの人がボランティアでやられた。昨年秋から病気が出て、国道筋の街路樹に病気が出たときは夜中に薬を撒く。
T:数が多いと、病気が蔓延する。1本ずつだときれいにできる。果物や花も。
→:足立美樹館の木も毎日手入れし、他で作って置いて植え替えたりする。
踏み固められるところでは、土を軟らかくする手入れもやられている。大体庭師は京都で修行した人が多い。

U:自治会に提供される花の苗はどのくらいか。
→:自治会に配布される花苗無償で夏冬合わせて80万株くらい。東岐波は熱心な方がいて、自治会で自前で花苗作りもしている。
種からの自家植えのほうがいい。粗の関係で苔玉を試みている。
東岐波から恩田まで、水道栓が引かれている。藤田市長時代にお願いした。
O:西岐波減っているが、世話をする人手が無くなってくる。
T:70近くまで仕事をしないとというような状況になって、会社が終わったら、何かやろうという時代では無くなっている。小野での作業でも、手伝ってくれる若い人がだんだん来なくなっている。

M:こども達に体験させることが大事。古谷さん地道によくやられているが、後に続く人がおられるか。ここに来ている人もみんな年寄り。
→:あまりいない。学校の先生も体験教育にあまり興味持っていない。
 駅伝の先生が花の上に車を止める人がいる。茶会などで和服を着た人が花を踏む人もいる。高校の受験勉強ばかりも問題。われわれの時はあまり勉強しなかった。
T:小野湖の水を守る会の活動でも、親は消極的だが、こどもは遊びたがる。
Ue:今50前後のこどもの時はキャンプや、けがでもしたら親から責められる。自然とふれあわないような教育になってきたのが問題である。
M:給食の中にプラスチック片が出てきて大騒ぎして、全てを回収してとやりすぎているのでは。学校でもけんかしたらいけないというようなことになっている。
こども達が弱くなっている。古谷さんのように指導をできる人を沢山でてきてほしい。
H:少年キャンプ場で火を起こさせるが、起こし方がわからないで聞いてくる。
O:ニコルさん、大学生に火をおこさせる、4班のうち1班だけが1時間後くらいにできた。就業前教育が大事とも。
子ども会の活動が低調になっている。親の教育も必要。
O:ボーイスカウトやガールスカウトも低調か?きれい好きな親をおそれて、冒険しない場合もある。
T:学童保育で白菜を栽培させたことがあるが、親はこどもを迎えに来たら、すぐ作業を途中にして引き上げさせる。
T:親子で参加させるのがいい。あまり問題が起こらない。
 こどもに少し冒険させようとするとこどもは喜ぶが親はいい顔しない。
H:千枚通しを使ってやじろべえを作らせると、こどもはけがしないが親がけがをする。あまりけがが多いから3年でやめた。

Mt:地域の年寄りが、親の代わりに教えなければならないのではないか。
T:昔は2世代、3世代が一緒に住んでいて、教えられたけれど今の核家族ではそれが無くなった。コミュニティースクールでそれを補おうとするとして親がその必要性を認識するかどうかだ。稲刈りのとき、「米がない」、白米がなっているものと思っていた子がいてびっくりした。
O:山口のある幼稚園で遊びを入れた自然体験教育を重視しているが4,それを支持するのは都会からの地元の人ではなく、県外からの移住者であることが多い。
U:なんとか地域の人が支援して、学校の近くの森で、体験させる体制づくりが必要だと思う。
S:明後日常盤公園でも親子の観察会をやる20名ほど参加予定。10月は芋掘りと落花生。掘った芋はサルにやったりする。これも30組で2班に分けてやる予定。
O:こどもを大事にしすぎる。
T:通学のとき朝だけ通行止めするのも良くないのでは。バリアフリーも若干問題。注意力が帰って育たない。
 人間でも、食べられなくなったら死ぬ方がいいのかもしれない。特定の器官だけを手当てして、他の臓器に負担をかけて苦しくなる。全体的に枯れる方がいい。
動物はエサがとれないようになったら死ぬ。イヌも食べられないようになったら、もう手当てがない。
M:病院で入院して帰ってきたら歩けなくなる。医学も考えなくては。政治も変えないと。
U:教育界を少し変えないといけないのではないか。
M:ゆとり教育をやって成績が落ちたということで、見直しされた。日本経済は右上がりでなければいけないか。常に走らなければならない。上向きばかりでは・・・、
T:知識を教えるのではなく、知識の利用の仕方を教えるべきである。
経験の知恵が埋もれている。畑のソバづくりを野菜と同じように、耕してしばらくソバを撒くと、雑草に負けてしまい、同時に撒いてしまうとソバが雑草に勝つ。
 基本は知識教育が主で、学校の評価も成績で評価される傾向がある。もっと総合的な評価をしなくてはいけない。
U: 各校区にボラティア候補者どの程度おられるだろうか。

司会(S):私の方の後継者づくりもちゃんとしていかなければならないと思っている。
若い人はかなり多くなっていて、2,3年指導してきたが、仕事の合間、仕事が終わると全部パソコンに向かっている。私に聞くより、パソコンで調べる。ネットには結果は出ているが、その過程が一番大事なんだが、底までは出ていない。それに早く気がついてほしいと思う。
→:確かに若い人は結果だけを追う傾向がある。草取りでも宿根性の草を地上部をちぎってよしとする。それでは根が残るので、また草が大きく生える。
Ue:民間の場合、発注者からきちっとした成果を求められるので、失敗を許されず、かしこまってしまうところがある。チャレンジ精神を育みにくい面はある。
 試行錯誤してやり方を身につけるというところが大事なのだと思う。
T:失敗しても、それを活かして改善していく力が重要。ほしいものが何でも手に入る。便利すぎる。リスクを完全になくすのも問題かもしれない。人間力が落ちる。いざというとき、対応できない。
→:農業も随分便利になっている。
O:ごみの分別もロボットにやらせる試みもあるようだ。
 人間力=本能力+知識力 といわれるが、本能力の方はどんどん落ちているという指摘がある。
M:そのうち人工知能に人間が使われることになるのではないか。

本題の植物の効用については、ほとんど議論がなされなかったが、さすが長年、緑と花に接触されている古谷さんだけに、非常に多くの効用が上げられています。



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