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「高齢者ごみ出し支援ガイドブック」を発表

2017年06月12日

国立研究開発法人国立環境研究所資源循環・廃棄物研究センターでは、これまでの調査・研究で得られた知見にもとづいて、「高齢者ごみ出し支援ガイドブック」を発表しました。
https://www.nies.go.jp/whatsnew/20170601/20170601.html

超高齢社会を迎え、ごみ出しが困難でありながら、必要な支援が受けられない高齢者は、今後ますます増えていくことが懸念されています。
このガイドブックは、これら高齢者を対象にした、ごみ出し支援制度の設計や運用の仕方を説明するものです。
以下、ガイドブックの内容を見てみます。

日本は、世界で最も高齢化が進んだ超高齢社会を迎えて、2016年の高齢化率は(65歳以上の人口割合)は27.3%で、国民の4人に1人が高齢者であり、20年後には3人に1人が高齢者になると予測されています。

高齢化は、社会の様々な分野に影響を及ぼしており、廃棄物分野でにおいては、在宅医療廃棄物や介護用おむつの処理、増加する遺品の整理やごみ屋敷への対応等、そしてごみ出しに困難を抱える高齢者支援が課題となっています。

高齢者のごみ出しを巡る課題の構造としては、必要な支援が受けられない高齢者が増えていることにあります。
日本の全世帯のうち、1/4が高齢者のみの世帯、1/8が高齢者の単身世帯でその割合は年々増加しています。また、介護保険制度の要介護・要支援認定者は629万人にのぼり、認定者のいる世帯の50.9%が高齢者のみの世帯、27.4%が単身世帯という状況です。
このように、高齢者のごみ出しをめぐる課題は、かつて存在した多世代同居の家族による高齢者への支援や近隣住民が高齢者を手伝うなどの相互扶助が都市部を中心に機能しなくなったことで、顕在化していると言えます。

ごみ出しが困難になる状況については、以下のとおりです。
① 生活ごみが家庭に溜まる
住環境が不衛生となり、さらに進行するとごみ屋敷となることも懸念されます。さらにこうした状況は高齢者の社会的孤立を深めるなど、様々な問題を起こします。
② 不適切なごみ出しをする
自治体のごみ出しルールに従うことが困難となる。
③ 無理にごみ出しを続ける
無理なごみ出しは、高齢者には不便や負担であるとともに、怪我や骨折につながります。

高齢者のごみ出しをめぐっては、収集・運搬への支障、集積所でのトラブル、遺品整理やごみ屋敷などの廃棄物分野での課題と、高齢者の生活や住環境、社会的孤立やセルフ・ネグレクトなどの福祉分野で扱われる課題も存在しています。

高齢者ごみ出し支援とは、ごみ出しが困難となった高齢者等に代わり、他の主体がごみ出しを手伝い、ごみ収集する仕組みです。

自治体の廃棄物部局による取り組みでは、2015年現在では、23%の自治体が普通ごみ、資源ごみ、粗大ごみのいずれかについて支援制度を運用しています。
自治体の規模別にみると、政令指定都市では、約8割と高いのに対し、町村では1割弱と低く、規模の大きい自治体ほど取り組みが進んでいます。

高齢者のごみ出し支援については、高齢者福祉部局による取り組みも行われており、介護保険制度を利用したごみ出しの支援が行われています。また、地域コミュニティーによる取組やNPO 、住民ボランティアなどによる支援の例もあります。

高齢者のごみ出し支援制度は大きく分けて、自治体が運営主体となって直営や委託で行う直接支援型と自治会やNPO等の支援団体が運営・実施する支援活動を自治体が金銭的にバックアップするコミュニティ支援型があります。ガイドブックでは、それぞれの特徴や留意点を紹介しています。
また、用語の解説や参考となる事例や研究成果をコラムで紹介する等、高齢者のごみ出し支援をわかりやすく説明し、支援の仕組みなどを検討する際に役立つ内容となっています。(N)

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