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新着図書紹介:「水が世界を支配する」

2012年02月03日

まちなか環境学習館では4階の学習室に環境関連の図書を備えて閲覧できる環境を準備しています。

そして蔵書の充実を図る為に、逐次図書の購入、寄付を頂いております。

新着した図書をこの欄で随時、紹介していきます。

第1回目は「水が世界を支配する」スティーブン・ソロモン著:矢野真千子訳です。

以下に書評を紹介します

水は不思議な物質である。生命を支え、さまざまな物質を溶かし、洗い流してくれる。冷やせばこおり、暖めればお湯になる。火でもよいが、分子内に極性(電気的なアンバランス)があるので電磁波を使ってもよい。さらに熱すれば気体になる。そのとき体積は1700倍にも膨れ上がる。この体積利用はエネルギーとして使える。原子力発電でさえその基本構造は蒸気機関なのである。人間は水なしに生きられない。

それゆえに文明は水のそばに起こった。人間は水を使って食糧を生み出し、都市を作り出した。水の流れは動力源になり、移動と交通の手段にもなった。

本書は、水をとおして、人類の歴史を照らし出した好著である。文明の水史観と呼んでもよい。ジャレド・ダイアモンド「銃・病原菌・鉄」のウォーター・バージョンでもある。

福岡伸一(『青春と読書』書評より)

人類最古のメソポタミア文明で、人類最古の物語「ギルガメッシュ叙事詩」が誕生した。

 その物語は、都市を造るため杉を伐採しようとする人間と森の神が戦う物語であった。人間は森の神を殺し、杉を手に入れてしまう。人類が創りだす文明は、自然を収奪し自然を破壊する宿命であることを、このギルガメッシュ叙事詩は示唆していた。

 人類は水を利用して文明を誕生させた。河川や地下から過剰に水を収奪して巨大な近代文明を発展させた。21世紀の今、世界各地で水が行き詰まりを見せている。本書は、水と人類との関係が壮大な時空間スケールで語られる「水の文明の叙事詩」であり、ギルガメッシュ叙事詩を思い起こさせる。

竹村公太郎:特定非営利活動法人日本水フォーラム事務局長(本書解説より)

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