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里山の樹木が消えていく? ! - 竹林繁茂の問題と私たちができること-
2016年11月30日
国道490号線を北上し琴崎八幡宮を過ぎるあたりから、一気に里山の風情が色濃くなっていく。緑したたる里の山景色に心がなごむが、沿道の木々を見渡すとあちらこちらに密集した竹林が増えて、樹木を覆う様子が見られる。市内のさまざまな場所でマダケ(真竹・苦竹)やモウソウチク(孟宗竹)ハチク(淡竹)の繁茂によって里山の森が侵食され、樹木が枯れて消失している。市内や近郊の高速道路を走っていても山々に竹林が目立ち、植樹された若木に竹が覆いかぶる光景なども見受けられる。
山口県では「山口森林づくり県民税」を活用し、年間約四億円を投じて「竹繁茂防止対策事業」「公益森林整備事業」などを実施しているが、どれほどの効果を上げているのだろうか。市域の取り組みの現況や具体的な対策方法を求めて、美祢市にある「カルスト森林組合」を訪ね、お話を伺った。
「森林組合法」に基づいて設立された森林所有者による協同組合では、植林や森林の手入れなどによって健全な森林を守り育てるために地域の森林づくりの要望にも応えている。
「カルスト森林組合」は宇部市・美祢市・山陽小野田市の組合員構成で平成10年に設立された。苗木の植え付けから下刈、枝打ち、除伐・間伐、主伐(収穫)、販売事業・・・と森林保護のすべてに関わり、林道や作業道の整備、情報の提供・森林管理の相談にも応じている。
竹の自然林への侵入は言うまでもなく大きな課題だが、森林所有者の高齢化や後継者がいないなどの問題で圧倒的に人手が足りないため、多くは手つかずの現状である。
竹材の活用については、燃料としての竹チップや家畜の飼料に混ぜる竹パウダーなどがあるが、いずれもコストパフォーマンスの点で採算が合わないという現実がある。しかし、竹は樹木に比べ扱いやすい点もあるので、宇部市北部等では竹林整備のボランティアも活動している、とのことであった。
≪繁茂を食い止めるためにできること・・・竹との共存が有効≫
竹は光を求めて外側へ外側へと地下茎をのばしタケノコを生やして拡がっていくので、密集した竹林は瞬く間に勢力を広げて樹木を飲み込んでいくことになる。また、竹の繁殖力は無限なので、竹林の切り取りを三年間続け、いったんは生えなくなったようでも十年もたてばすっかりもとに戻るとのこと。
そこで有効な方法は
◎ すべて切るのではなくて、日差しが入るように間引き整備すること。日が入れば外側へと地下茎を拡げるのを抑えられる。
◎ 効果的な伐採時期は春。タケノコが伸びて竹になり最初の枝と葉が出てくる頃で、この時期に根元から切ると地下茎が枯れる。
◎ 成長した竹を切るのは「中段切り(根元から1m程のところ)」が効果的。竹が生きていると勘違いして?!養分を送り続けるので、地下茎が弱る。
◎ 伐採した竹は竹林の囲いとして積み上げ、イノシシなどの侵入を防ぐのに活用する。
≪県の「竹繁茂防止緊急対策事業」の活用し、作業してもらう≫
この事業は「身近な生活の場等で繁茂拡大する竹林を緊急的に伐採しその後に生えてくる竹の除去を行い、森林の再生を図ります」という主旨で3年間作業援助を受けられる。
カルスト森林組合が仲介して県の農林水産部へ申請するというものである。必ず援助を受けられるとは限らないが、申請件数を増やし援助の必要性をアピールしていくことも大切であろう。
竹林の繁茂を少しでも防ぐには、春の味覚の王者といわれる孟宗竹などのタケノコを掘りあげ、食材にしていくことも有効である。宇部市、美祢市にはタケノコの水煮等の加工所があり、「うべる市民まちづくり株式会社」はタケノコの6次産業化に積極的に取り組んで「うっぽく(宇北)タケノコ」として地域ブランド化している。具材の味がよくしみ込んで馴染むので、伝統的な和食にとどまらずどんな料理にも活用できる。
さまざまな具体的取り組みを通して、私たちの里山の森を守り育てていく必要性を痛感している。 (RI)
【問い合せ先】
カルスト森林組合 0837-52-3332
山口県林業指導センター 『竹林の繁茂防止マニュアル』等々資料発行
山口県農林水産部 竹繁茂緊急対策事業の実施
特定非営利活動法人厚東ネット 自然環境の改善としての竹林活性化活動実施
なお、写真は山口県林業指導センター『竹林の繁茂防止マニュアル』より引用させていただいた。
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