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HUさんの環境・エネルギーの視点(その2)- 太陽光発電:選択の自由と制約
2016年04月15日
世の中には「自由だ」と言って、何でも出来るかと言うと、そうではなく、自由であることに加えて必ず制約があることは社会生活を行って上で、自覚しておかなければなりません。法の制約があり、倫理の制約があり、経済や政治の制約もあります。電力の小売り全面自由化の動きの中で、電力にどのようなエネルギー源を用いているかを情報提供して、私たちに選択の自由が与えられようとしています。
新エネルギーの開発と実用化の初期においては、技術的なブレークスルーを目指して研究開発が推進されますが、その技術が実用化されると経済的なアセスメントが行われて、経済性と政治的な判断によって社会における新エネルギーの普及政策が実行されます。
私たちは太陽光発電による電力が、火力発電または原子力発電によるものより多少価格が高いものの環境に与える影響が低いだろうと評価しています。しかしながら、厳密な評価を行おうとすれば製品のライフサイクルにおいてエネルギーや材料材などがどれだけ投入され、リサイクルや廃棄を含むそれぞれの過程で系外に廃棄物がどれだけ放出されたかを分析し、環境への影響を評価する、LCA(ライフサイクルアセスメント)を適切に行う必要があります。
この評価には、重み付けがなされるので、すべての人が同じ評価を下すとは限りません。特に倫理的な面からの評価を反映させる場合は、倫理的な重みが大きく、同じ製品やエネルギーの利用に対して、全く正反対の選択をするケースが考えられます。原子力エネルギーの場合もそうですし、電力自由化による電力業者の選択も、規制緩和によって自由度が増すにつれて私たちの判断がますます重要となってきます。単に電力料金が格安であるかどうかに目を惑わされずに、主要電源として何を基本にしているのか、またその発電コストがどのように料金体系に組み込まれているのか、よく調べた上で、また評価に対する倫理的な重み付を考慮して選択をする必要があります。
卑近な例では家庭に設置する太陽光発電の設置も自由選択の一例です。家庭用太陽光発電システムは、LCAの結果、環境に対する影響評価は、他のエネルギーと比較して良好であると結論されています。
(http://www.mizuho-ir.co.jp/publication/contribution/2012/oyobuturi1108_01.html)
それでも、すべての家庭で太陽光発電に切り替わらないのは、初期投資の問題、電力買い取り制度の限界などが原因と考えられます。現在のわが国の買い取り制度は、電力会社の売電価格と太陽光発電からの買い取り価格の差は、電力会社のコスト削減で賄えない部分は電力消費者に負担させるシステムです。このような不公平を倫理的な重み付けで評価する場合は、太陽光発電を設置しない選択をする人が出ても仕方のないことです。電力自由化に当たって、私たちはどのような判断基準に立って、何に重み付けを付加するのかを改めて問い直してみる必要があると思います。(HU)
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