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先月の周防大島方面バスツアー「宮本常一に学ぶ」に関する参加者のコメントです。

2016年01月16日

昨年12月26日の第14回環境サロンのバスツアーに参加されたお一人の佐野さんから、感想が送られてきましたので、ご紹介します。

概要ブログをお願いしていたのですが、見切り発車で、いつものスタイルで下記のアドレスで紹介記事をアップしています。http://www.ubekuru.com/blog_view.php?id=3617

どのようなかたちにせよ、こういう自分なりの感想を寄せていただくことは大歓迎です。今は忙しい時代になっているので、自分の情報を発信したり、他の人の情報は軽く見流したり、結局一方通行のことが多いですが、もっといろいろなコメントをお寄せいただければうれしいです。(U)

旅する民俗学者、宮本常一の実践小説               佐野泰雄

開拓で築いた村、中世の面影をそのまま残す村、ダムに沈んだ村。
そこには必死に生きる[地の人]たちがいた。
[地の人]たちを尋ねて詳細な記録を残して歩いた[風の人]がいた。
その[風の旅人]が宮本常一さん。

戦時下に師である実業家渋沢敬三から[この戦争は負ける。戦後の日本社会の再建のために、日本全国を歩いて、そこで見聞きしたものを戦後へつなげてほしい]と言われ、全国を旅した。

戦後、宮本常一の教えによって大勢の若者たちが地域に入り込み、調査をしながら、
地域づくりに深くかかわっていった。
[犬も歩けば棒にあたる、当たった出会いを大事にせよ。その時、相手を見下しもせず、
へりくだりもせず、同じ目線に立て。そして飯を食う金があったら、フィルムを回せ。]
宮本常一さんの口癖だったそうだ。

彼が残した遺産は膨大で、今も完結していないという。
宮本常一はふるさと周防大島を基点に旅をし、島に帰るたびに地域の移り変わりも写真に納めていきました。
そのいずれもが、飾らないあくまで日常の風景であり、日常を切り取った写真からは、
ふるさとの姿を記録すると同時に、その未来を考えようとする、宮本常一の確かな意志を反映しており、読み取ることができます。

彼は、離島農業の根本問題の調査手記にて、壱岐の妻ケ島に住むのは、一家族のみ。
最後の老夫婦は[百姓一本]で生きるべく、持ち船を売り払ったと《離島の旅》で報告しているが、実際は、夫人は[船がなかった時期は一度もなかった。定期船が通わぬ島だ。
交通手段を絶つことは自殺行為だ]と証言している。

下駄代わりの船をだれよりも知る彼がなぜ、かくなる作為をしたのだろうか?
糞尿のエッセンスを微量、潜ませると香水はひときわ、芳香を放つと聞いたことがある。

マルクスは[すべてを疑え]と説いたように、彼は、権力にだまされるな。
私も疑え。教養を味方につけろ。
辛い目に遭うのはいつも庶民だぞと試されているようで、謎解きのように、偽りを下絵に塗り込み、その核心に迫ろうとしながら、パズルの先には答えもあると、今も投げかけ続けておられる、
茶目っ気のあるひとなんだろう。

瞑想好きなわたしは、彼に聞いてみることにした。

初期に[すべての原点はここにあるぞ]とばかりに、小説を書き始めていた彼。
あることをきっかけに、カメラを片手に旅をはじめ、旅先で調査という小説をノートに認めはじめた彼。

カメラ片手に旅をすることにより、何の楽しさがあるのだろうか。

彼はひとこと夢があるからですと答えた。

その夢とはと聞いてみた。

人生とは福袋のようなもので、開けて見るまでは何が入っているのかは分かりません。
だからこそ、そこには夢があるのではないのでしょうか。
決して楽しいものばかりが入っているとは限らないし、いやなものだって入っているだろうし、それをいやと片付けてしまうか。もしくは、それはそれで受け入れるか。
それは、誰もが通らなくてはならない訪れに繋がるのでしょう。
だからこそ、人生とは辛くもあり、その先には楽しさもあると、彼は言う。

追い討ちをかけるように、さらに深く聞いてみた。
理想の達成度とは?

自分で自分を変に判断せず、やってみないと分からないし、わかるまで、とにかくやり続けて、継続できるのは、やはり夢とプライドがあるからでしょうか。
夢は夢でも この手にしっかりと 受けとめるまでは持ち続けて、
夢紙芝居だけで終わらないためにも プライドは忘れないようにして
たとえそれに終わりなど無かったにせよ, 信じることにより,
難しいことではあるのでしょうが、成し遂げ続けていけたらと思っています。

彼はそう答えると、何が楽しいのかカメラを片手にまた旅をはじめて、調査という小説をノートに認めている。

そこに楽しさを見つけて、夢を見いだそうかと、そう私には見えた感じがした。

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