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第14回 環境サロン 「宮本常一に学ぶ」 バスツァー 第一部の概要です。

2016年01月09日

 今回の環境サロンは周防大島方面へ「宮本常一に学ぶ」バスツァーの企画であったが、19名の参加があり、訪問炊きの4ヶ所について、1回分のサロンの内容があるので、4回に分けて、概要を報告します。

 まず周防大島文化交流センターは、民俗学者として著名な宮本常一の業績を展示することを主体として、国県の補助を受け2004年に設立されたものであり、想像していたより立派な施設であった。 写真の展示を見ながら、山根一史学芸員の説明を受けた。

 宮本常一1907-1981)は周防大島出身の民俗学者で、若い頃大阪に出て、郵便局員、阿倍野の天王寺師範学校を出て小学校教員も経験し、その後、柳田国男や渋沢敬三の影響を受けて、1939年教員をやめて上京、アチックミューゼアム(日本常民文化研究所)に入り、以後全国各地を旅して、庶民の生活を記述した。その旅程は実に16万キロ(地球4周)、写真は10万枚に及ぶとのこと。

戦争が激しくなると、スパイ行為と見なされたり調査がしにくくなる。戦後は、大阪府の嘱託職員として農業指導や農業協同組合設立などに関わったり、学会の学術調査に参加して、瀬戸内海、津島や五島列島などを調査した。

 その中で、離島の生活レベルが低いことが分かり、離島振興法の制定にも尽力し、離島振興協議会の事務局長として、4年間ボランティアを務めた。

 1964年に武蔵野美術大学の教授に就任してやっと定職についた。その後近畿日本ツーリストの出資によって開設された日本観光文化研究所の所長になり、山古志村の村おこしの支援、景観や文化芸能の掘り起こしなどにも力を入れた。

 晩年の1980年には周防大島に周防大島郷土大学を設立し、これは現在も地元の有志によって立派に維持されていることは注目されます。

その第一講のレジメが展示されていましたが、郷土大学の設立趣旨として
①郷土にいて、郷土を知り、広い社会を見ていくための教養を身につける
 ②知識は蓄積できるもので、自分たちの住む社会をゆたかにしていくものであること 
   ・ゆたかさ:連帯感・信頼感・夢を託せ持続できる
   ・そのためには:自分自身が成長する。自分自身を没入し自分自身をためしてみる。
   ・文化の集積と保持
 ③知識の交流と実験
  この土地に関心を持つ者からそれぞれ話してもらい、そしてそれを実験してみる。
 ④これを長く永続させてみたい。
等と言うことが書かれている。

 周防大島文化交流センターには、宮本常一関連の展示品のほか、農具、漁具、民具類や、特産品、獲れる魚の漁期なども展示されていて、大変見応えがあった。

 小野湖の水を守る会から、周防大島にオリーブを植えられた実績があるという話を、山根学芸員に質問されたが、後日返事があり、平成25年に小豆島から苗木が送られ、搾油の実績もあるとのこと。ネットで調べると、Iターンの若い人達などもオリーブ栽培を手がけている人もいるようで、首都圏から見ても人気のある島のようである。

 先の郷土大学設立趣旨として述べられている宮本常一の意思は、周防大島が地方に時代を先駆けて、注目されていること、今回訪問した実践家の方々にも立派にこの伝統が生きているように感じられた。

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