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環境サロン「低炭素のまちづくり」第6回で、太陽熱利用の勉強をしました。
2014年11月18日
山口県再エネアドバイザーである荒川純二さんは(株)長府製作所で長年太陽熱利用の技術開発に携わってこられた、その分野の第一人者である。このサロンでは、太陽熱利用に焦点を当てて、地球温暖化対策の置かれている状況から、太陽熱利用の技術の基本から最近の技術開発の状況、設備費の回収年数や助成制度に至るまで、わかりやすく説明していただいた。
#太陽熱温水器 #太陽熱利用
当日の動画は以下で 視聴できます。
https://www.youtube.com/watch?v=QfSoZL8hg1g
地球温暖化の状況はますますきびしくなっており、このまま行くと2, 30年で許容量を超える。2050年で2010年の40~70%削減、今世紀末にはゼロを目指さなくてはならないとされている。
一方、地球に到達する太陽エネルギーは1kw/m2で世界のエネルギー消費量を1時間でまかなえる大きさがある。8.3分で地球に到達するそうである。
太陽光発電の利用効率15~20%であるのに対して、熱利用の場合は40~50%であり、非常に有効性が高い。
また主な再生可能エネルギーは水力や風力、バイオマスを含めて、この太陽エネルギー由来であるといえる。
太陽熱利用を国際的に見ると、中国がもっとも利用が進んでおり、ドイツでも近年、熱利用を推進している。日本は1980年代前半に一時普及が進んだが、その後は低下してきており、太陽光発電に偏っている。いわば発電が屋根の占有争いを制している状況である。
一口に太陽熱利用と言っても、技術の進歩は著しく、貯湯タンクも屋根に併設されたいえあゆる太陽熱温水器のほかに、パネルだけを屋根に載せて、貯湯槽を屋内に別に備えた強制循環タイプ、クーリングもできるタイプ、あるいは既存のガス温水器と組み合わせたシステム、太陽熱利用エコキュートシステムや、空気式ソーラーシステム(OMソーラー)など、多様な太陽熱利用システムがある。
風呂への給湯用の従来型の太陽熱温水器の場合でも、4人家族で、380 kgCO2/年、32%の節約になるが、設備費の回収年数は20年と試算されている。
既存のガス給湯器に貯湯槽付きの太陽熱温水器を追加するシステムの場合、給湯に係るCO2排出量は52%削減され、年間3万円弱の節約になるが、設備費の回収は23年とやや長い。
県の補助を活用すると初期費用の回収は2,3年の短縮になるそうであるが、いまのところ山口県の補助金予算は使い切れずに余っている状況である。
貯湯槽は災害時の生活用水として機能するので、長府製作所では、地震時に倒壊しないように耐震性を高める製品開発を進めている。また風呂の残り湯のエネルギーを回収するシステムも開発されている。
質疑:
○太陽光発電に比べて、太陽熱利用は有効と言うことが理解できたが、発電のようにカウントできないのが不利だと思う。
→たしかにそういう面がある。
○ソーラークーリングシステムは実用性はどうなのか。
→十分あり、実用されているが、まだコスト面できびしい。空気の熱を利用するものもある。
○太陽のエネルギーは垂直面1m2あたり1kwであり、太陽熱熱利用は0.4~0.5kw、太陽光発電の場合は0.15~0.2kwという説明があったが、1kwというのは、光と熱を合わせたものか。
→そのとおりだ。
○熱と光を両方利用できないのか。太陽光発電は冷やした方がいいが、その分熱利用ができないのか。
→両方の利用については業界全体でも開発中である。
○昔に比べると、保温性が非常にすぐれていると感じる。なぜなのか。
→タンクユニットの周りに30mmの保温材が使われている。
○風呂の残り湯の利用として、エコキュートの排気を温めるの温度差があり、効率的ではないか。すでに特許は取られていた。
→実用化するときのコストが問題だと思う。発想はすばらしい。
○屋根に温水器を置いて、災害時に不安があうが。
→ステンレスワイヤーで支持する対策がとられている。セメント瓦などの場合はステンレスの底に電気腐食で小さい孔が開くことがある。
・応力腐食の影響もあるかもしれない。
○農業利用にも可能性があるのではないか。→その通りと思う。今後の課題だ。
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