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久保研二さんの特別講演「私の環境問題~表現者として考えること」平成26年度環境サロン報告会(2014.3.16 文化会館研修ホール)

2014年03月30日

たいへん遅くなりましたが、先日の久保さんの特別講演の概要を以下にまとめました。

 関西から山口へ移って10年くらい、山口は過ごしやすい。FMきららの「まるごとリサイクル」は青空さんと4年間続けたが、この3月で一応終了。ラジオでは聞いている人の顔が見えないが、今日は目の前にみなさんがいるので、やりやすい。

 音楽の仕事をしているので、最近は佐村河内ですというと、結構うける。笑いは大事、笑いが伝染して場が和む。今日は思ったより若い人が少なく、先ほどのサロンのまとめも真面目すぎる印象がある。

 実は神戸の震災をもろに体験した。震度7くらい、始め「ゴーッ」という地鳴りがした。20から30秒くらい続いたと思う。しばらくする「ドドーン」と音がして、縦揺れがきた。伊丹空港の飛行機が落ちてきたかと思った。そのあと横揺れがきて、部屋の隅の角度が90度のところが60度とかになって、家がつぶれると思った。その後の余震はひくひくけいれんするようで大変気持ち悪かった。こういう事態になると、人間は完全に自分のコントロールを失った状態になる。
 階下の台所からものすごい破壊音が聞こえた。冷蔵庫は2回転半ひねりして中のものは全部出た。一番危ないのは電子レンジ、だいたい上に置いていて、固定していない、人間の顔くらいの高さにおいてあるレンジが横揺れの時、水平に飛ぶ
 大事にしていた食器類も全部割れた。何故か不思議なことにマクドナルドの安いお皿やモロゾフのガラスカップは割れずに残った。他の人たちも同じことを経験した人が多かった。こういう共通の経験は一種の文化。身近な環境というのはすごく大事なこと。

 医大で目の手術をしてもらったが、ほんとにびびった。手術前、血圧測ったら210あった。手術室 手術中も目をつぶれない。執刀の教授が「ただいまから硝子体手術を行います。みんなできちっとやりとげましょう」といったが、自分は「ちょっとまった!、今日はファインプレーは要りません。ホームランも要りません。確実に・・・」などと演説してしまった。ということで、一同、前代未聞の大爆笑になったらしい。
 メスを入れられたが、麻酔がよく効いたが、普段アルコールを飲まないかららしい。
 この手術を受けて、なんでもかんでも文明を否定したらよくないなと思った。事、自分のことになると、ころっと変わることもある。
 人間とは身勝手なもの、他人の痛みは分からない。その間を埋めるのは想像力だ。
 話芸は人間力。人間は過去の経験、それぞれ自分史をもっている。まずそれと向き合い、自分の経験を受け入れる。それを自分の中で発酵させて、それを表現すると、人間力がついてくると思う。腐ららせてはいけない。効果が全く違ってくる。

 「~表現者として・・」と副題を付けているのは、歌を作ったり、本を書いたりして、サブカルチャーの世界で仕事をしているから。サブカルチャーは割り切れない思いを表現する。カルチャーより人間味がある。文化は閉鎖的。日本と韓国では食器の使い方など随分違う。良い悪いではない。文明は割り切っていてわかりやすい。
西洋音楽は12音階から成り立っているが、もともと東洋の音楽はもともと複雑。自然界はもっと複雑で連続的?これも一種の割り切り。
 文化と文明、抽象と具象といってもいい。時代の認識として、産業革命後、人類の人口が急増し、日本では明治維新の頃から3,4倍になっている。いまは具象が力を持ち過ぎている時代。この200年、具象に振りすぎた。具象と抽象のバランスが大事だ。具象の典型的なものはお金。

  一つはもっと抽象力を身につけること。世の中から簡単にだまされやすいことに注意する。たとえば、資本主義は弱肉強食といわれるが、これも幻想。資本主義の構造上、雑兵は必要。贅沢を言わなければ生きていける。我慢していれば、命までは奪われない。
 ただ、お金持ちとそうでない人と、どちらが有利かといえば、やはりお金持ちが有利。高いところから飛び降りて、それからまた上がっていくのが醍醐味で一番美しいとされている。過去の偉人達にはだいたいそういう状況がある。貧しい人はまず高みに上がらなければならない。上がるまでに疲れてしまう。

 自分は、これまでよく話していた、ハウツー的世間的な話ではなく本当はこういう話をしたいので、お話したいことは山ほどある。今日はサンプルの話として聞いてもらいたい。
 いまは、萩佐々並で新高等遊民を目指している。皆さんも是非高等遊民になってもらいたい。そのためには、地元の安全な食材を食べる、自分で料理を創る、人と交わり、会話をする、テレビを見ない。カラオケをしない。生の音楽を聴く、映画を見る、色々なところから必要な情報を選び取る、文章を書く・・・。創作活動をするのは大事。できれば自分の創作物を後世に残す。こうすることで、自分の人生が活性化する。
 しかしなかなか本気になる人が少ない。どうしたらいいかと聞く人がいるが、例として
まず電子レンジを使わない。自分は昨年夏から電子レンジが壊れて、何をしてもダメだったが、3,4ヶ月で5kgのダイエットに成功した。電子レンジで細胞膜を潰して食べることが関係するかもしれない。必要なだけ飯を炊き、意外と腹持ちもいい。

最後に、最近作られた歌詞を披露された。

「あなたへ」

あなたはいまどこにいるのでしょうか
青空、そよぐ風 感じています
あなたの声が聞こえるようです
アスファルト 光る風 人のいたわり
取り残された想い、こぼれおちる想い
太陽はわけへだてなくそそいでいるのです

あなたはいま何を考えているのでしょうか
ぬくもり やさしさ 感じています

私はいまここで生きているのです
青空 そよぐ風 ほほえみかけます
私の歌がきこえていますか
積もる雪 とける朝 川のせせらぎ
取り戻せる想い 両手で掬う想い
太陽はわけへだてなくそそいでいるのです

あなたはいま何をさがしているのですか
青空 そよぐ風 思い出しています

「この国よ」

この国にうまれて この国に育った
この町をながめて この町に抱かれた
友達と出会った 友達を見けた
友達と駆け抜けた 友達と笑った

この国は栄えた 平和を守った
豊かさのかわりに 何かを手放した
この国で生きること この町で暮らすこと
何かを選ぶこと 何かを捨てること

父母よ 祖父母よ 兄弟よ 恋人よ
妻よ 子よ 友達よ この町よ この国よ

うたも抽象力。いまはあまりにも具象に偏っている。分かりやすいものから分かりにくいものに目を向けていってほしい、と結ばれた。

質疑:
○具象と抽象は、理性と感性とは違うか?
→写実画と抽象画のようなものと考えたらいい。

○今の若い人はフリーターなどで生活している人が多いが、先ほどの話の資本主義社会での一種の雑兵か。
→司馬遼太郎は随分前に、正社員が一握りになり、そうなることを予想していたが、それはむしろよくなるという評価をしていた。

→いま人口爆発で、とくにここ200年の間に急増した。この後、人類が滅亡するかどうかわからないが、1)もうそのまま行くしかない 2)なるべく減速して破綻を先延ばしする 3)持続可能社会にするための道筋を考える の三つの考え方をする人に分かれる。
人類史上、たいへんな時期。すこし後ろに退く。拡大成長の時期は終わった。これからは成熟、熟成、発酵の時代。われわれ良い時代に過ごしてきた。いまの若者はかわいそう。山口の地から発信して行きましょう。

○結局はESDなんですね。
→結論的にはそうかもしれない。先に紹介されたESDなかなか良くできている。これはどこの発想か?。
C:西のジュネーブ東の岡山と言われていた。岡山のNPOの方の若干の脚色があるかもしれないが、もともとはユネスコ発らしい。

司会:山口の地を気に入ってもらっていること、新高等遊民を目指し、みじかな環境を整えることの大切さを学ぶことができました。

Youtube 前半の環境サロンのまとめはhttp://www.youtube.com/watch?v=bkUz76dEZ-E
後半のこの特別講演は以下で視聴いただけます。
http://www.youtube.com/watch?v=mFJv4n0ghCY

今年度の動画視聴数は非常に少ない状況になっています。興味のある回について、時間があるときに見ていただければと思います。

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