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8月8日の環境サロン「市民共同発電の実現に向けて」第2回 溝田忠人先生 概要です。

2013年08月18日

環境サロン「環境のまちづくりA:市民共同発電の実現に向けて」第2回 
太陽エネルギー(熱・光)の利用について
話題提供者:溝田忠人(宇部市地球温暖化対策ネットワーク代表・山口大学名誉教授)
8月8日(木)18:30~20:30 銀天エコプラザ

○太陽光発電の実績について
・太陽光パネル(S社製)の定格kWに対して、7年間の実績で、実質の発電効率を求めてみると12.8%(年間発電量kWhを定格kW×24h/日×365日で割って産出)であった。
・パネルの経年変化を見ると、天候条件にもよるかもしれないが、若干であるが、低下傾向が見られる。年率1.23%程度である。
 
 太陽光発電の原理についても説明があったが、やや難解。太陽光のスペクトルに合わせて、材料を複合させ、変換効率の高いパネルの開発も可能であるが、変換効率は高くなってもコストが高すぎることになるとのこと。

 買い取り価格はそれぞれの再生可能エネルギーの経済性、投資の回収に要する年数を考慮して設定されている。たとえば、10kW未満の太陽光発電は10年だが、地熱発電は15年、その他風力、水力、バイオマス発電で20年で回収できるようにといった決め方である。年数が短い方が、推進のインセンティブが大きいことになる。
 規模が大きくなると、一般に発電量あたりの初期費用は低くなるので、買い取り価格は低めになるが、太陽光発電はそのようにはなっていない。メガソーラー優遇策か。

○人間社会の将来、目標を何処に置くか
 世の中変わろうとしている。激動の時代。少々くるったくらいの方がいい。松下村塾でもそういう要素があった。

・エネルギーについて
現状
 資源が一部の地域に限局されている状況。シェールガスはアメリカだとか。
 また、 エネルギー資源の投機対象化されてしまっている。 過度な消費刺激策で、使いすぎになっているが、日本では、2004, 5年ごろがエネルギー消費のピークであったようだ。一旦贅沢をすると、後戻りはできないところがある。

未来
太陽エネルギーをベースに置いた分散型再生可能エネルギーに移行せざるを得ない。
エネルギー独占社会からエネルギー民主主義へ。
総合エネルギー効率を30%から60~80%へ。エネルギー消費量を半減して温暖化を緩和する。
 科学技術、研究もつらく厳しいものでなく、本来もっと楽しいもの、科学技術民主主義、研究民主主義へ。 

・食料について
現状:食料の商品経済化、投機商品化が進み、過耕作、過放牧、水資源浪費、農薬・化学肥料依存により、地域農業破壊が進行している。

未来:食料生産の協働、人間本来の仕事、喜びを問い直す。食べ物民主主義へ。

・人間そのものについて
現状: 古い時代に獲得したやり方が、地球的存在になった今、そのままではうまくいかなくなっているが、脳がついて行っていない状況。しかし、それに気づいて、新しいやり方が模索できるはずである。 情報の分散による民主主義化の徹底が期待できる。
         
未来: 社会、政治の変革、食料生産の協働化、ワークシェアの徹底、冨の集中規制など
専門職から輪番制、教育の変革などについて考える必要がある。
 人間の進化の可能性に期待する。真の民主主義は均質化ではなく、多様性を認める。

○太陽エネルギーについて
①太陽エネルギーは十分量ある。人類が必要とするエネルギーは20テラワットであるのに対して、現在の技術で利用可能な太陽エネルギーは1000テラワットある。1テラワットは10億キロワットである。
 地表に1kW/m2の太陽エネルギーが降り注ぐ。(原子炉は1万kW/m2 と桁違いに大きい。)
 光合成のエネルギー効率はせいぜい数%であるが、これで生態系は養われている。
②メガソーラーは生態系への配慮が必要である。景観もわるい。分散型で、屋上の空間をまず利用すべきである。
③DCで直接動く機器を規格化すること。送電ロスや、変換ロスを減らすことが大事。
 蓄電池の開発が重要。 Li電池だけでいいのか。Pb蓄電池など疎んじられているが、もう一度見直してはどうか。Mgの利用なども。小規模に研究できるのではないか。
④太陽光・太陽熱ハイブリッド 太陽光パネルの冷却して、高温時の変換効率を維持したり、太陽熱温水利用との併用も面白い。          研究民主主義へ。
 装置とソフトウェアの分離  企業戦略のため利用者には不便なこともある。

○市民共同発電
①趣旨の一般市民への理解  
 山口県内の電力料金1千億円の地域への還元、地域活性化につながる。
 市民が関与できる。企業にお任せでなく、市民の関心が高くなる。エネルギー民主主義。
②経済的仕組み 資金集め、
 多様な投資回収システム くじ引きで償還順を決める。頼母子講方式。
 多くの人の参加、利子法との関係、特区申請?など
 遊休地、遊休資産の活用
③電力会社との関係
  電気事業法の見直し(発送電分離など) 政治の役割
  共栄できる仕組みの追求
  
④太陽熱有効利用、雨水有効利用等との組み合わせ

○ 議論:
Q:電力会社はなぜ消極的なのか。
A:大体時代の変革期には、既存の組織は抵抗勢力になりがち。企業が存続しながら移行していくことが大事だ。
C:電力料金原価方式で保護されていることが問題である。再生可能エネルギーの買い取り費用も、原価に計上されるので、料金値上げにつながっていく。買い取り制度もガス抜き程度かもしれない。

Q:発送電分離が為されなければならないのではないか。
→経産省は分離の意向のようだが。

Q:買い取り指定制度は日本ではどのような現状になっているか。
→部分的には適用されているのでは。

Q:水素の利用はどうか。
A:スイスだったか、水素ガスを配管して利用しているところがあると聞いたが。

C:・北九州も実験しているようだ。
 ・水素は低圧の場合はまだしもだが、高圧になると大変危険で、そう簡単ではない。炭化水素から水素をつくり、アンモニアを生産しているが、アンモニアを利用する方がまだ実用的かもしれない。
 ・日経新聞で企業の開発研究投資は9千億円で、その相当部分は自動車メーカーの燃料電池の開発である。その次は蓄電池の開発である。太陽エネルギーも非常に不安定で蓄電池は大事。
A:太陽熱の利用では硫酸カリウムを溶融して貯えることもできる。
 ・2015年を燃料電池元年と位置づけている。太陽光発電で水を電気分解して水素を得るのはまだコスト的にあわない。2030年にはリチウムイオン電池は実用化する計画になっている。

Q:もう少しスケールの大きい夢のある話、例えばサハラ砂漠で発電して海底送電線で送るとか。宇宙空間太陽光発電で、マイクロ波あるいはレーザーで地上に送り、再び電気に変換したり、水素を生産するに変換するとかどうなのか。
C:・地球全体から見れば、熱バランスが変化するのではないか。
  ・化石燃料の代わりに使うので、CO2の削減にはなる。
  ・水素はためることは危険。コストもかかる。

Q市民共同発電の実現に向けて要検討の項目を3つ挙げてください。
A:まず屋上利用を進めること、そのためのいろいろな施策を進めること、食料やエネルギーの自給の時代になるのではないか。ソーラーと農業が共存できること、農業を支援するようなソーラー利用であるべき。土地の有効利用が大事。いろいろな立場の人が、皆で知恵を出し合う事が大事。石油価格はやはり上がるだろうから、さほどむずかしく考えなくてもいいのではないか
C:防府のエコファームでは、両者をうまく組み合わせることを検討している。

Q:市民共同発電は何故必要なのかということが、まだしっくり理解できない。
A:市民共同発電の意義は、休眠している資産、土地建物、貯金などを有効に利用して、能力を引き出し、地域循環させることである。また、重要なエネルギー問題に市民に関わってもらうということもある。
 この前、参加した日置市のシンポジウムで、「ないものに期待するのではなく、あるものに期待する」ということであった。あるものとして、使われない貯金なども、利用すべき遊休資産である。
C:お金だけでは判断できない。お金は儲からなくても、温暖化防止に寄与できれば良いと考える人も結構いるのではないか。

Q:便利な生活から後戻りはできないという認識が一般的だが、すこし人間が横着になりすぎているのではないか。また、いろいろ民主主義の理想が話されたが、情報操作などで、市民が賢くなれないと、実現がむずかしいということを感じる。
A:将来の生活像を描いて、イメージを持ってもらうことを提示して、政策を示していくことも大事だということだと思う。

http://www.youtube.com/watch?v=2JYUlk8Sntw
http://www.youtube.com/watch?v=IFSdQ6_2UIs

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