環境サロン「環境のまちづくりA:市民共同発電の可能性」第1回~再生可能エネルギーについて学ぼう
2013年07月27日
7月23日(火)ヒストリア宇部で山口大学大学院技術経営研究科(MOT)の教授であり,
県の再エネアドバイザーである福代和宏先生にエネルギー資源の中の再生可能エネルギーの位置づけ、課題等についてお話をうかがいました。
・最終エネルギー消費量では、1970年代から産業部門はあまり代わっていないが、民生家庭・業務部門、運輸部門の消費が増えていること
・原発事故以前の一次エネルギー消費量では依然として石油の割合が大きいこと
・2000年代に入ってからの原油価格の上昇は先物取引で投機の対象になったこと、リーマンショックで一旦大きく低下したが、再び上昇に転じ95$/バーレルになっている。
・価格には、需要と供給の関係のほかに、金融要因、リスクなどのプレミアム要因が影響すること
・中国やインドなどの経済発展を考えると、エネルギー資源価格は必ず上昇すること
・東日本大震災の電力消費の傾向として、ピーク時の節電は見られるが、夏はある程度節電が進められているが、冬はあまり顕著ではない。
・一般に、お金のかからない省エネには取り組むが、省エネ投資は進みにくい傾向がある。
・2011年度の住宅用太陽光発電の普及率は中四国では岡山、広島、山口、香川、徳島県、九州は6県で4%以上である。
・山口県の再エネ導入状況では太陽光発電7万kw、風力11万kw、中小水力1万kw、バイオマス3万kwである。
・山口県では山陽側は太陽光発電、山陰側は風力発電が主になる。
・太陽光発電の実質発電効率は12%程度である。
・風力発電も気象条件によって必ずしも安定しているわけではない。
・太陽光発電はメガソーラーの占める割合が大きい。買い取り価格が下がっていけば、企業は撤退することがある。技術的な要因だけではなく、このような社会的要因が影響する。
・太陽光発電は2005年までは日本はトップだったが、その後一時補助制度が停滞した間にドイツでは逆に対策が進められ差を開けられたが、日本でも2009年に補助制度が復活して、日本がまたトップになりつつある。
・しかし再生可能エネルギーの割合の先進国間の比較を見ると日本は1.6%ともっとも低いレベル、水力を入れると10%を占める。
・再生可能エネルギー導入に関する市民側の留意点としては、
しっかりした志を持つこと、長期的な視野と冷徹な目、電力会社頼りにならず、自己生産自己消費を目指す、また我慢を前面に出さす、楽しく実践できること
・また政府や地方自治体としては、省エネ・再エネ支援の継続、一国環境主義からの転換、エネルギー生産効率の高い産業構造への転換などを挙げられた。
最後に家庭については、生活の質を維持しながら、企業については、利益を上げながら、地方自治体・政府については。国益を守りながら、省エネ・地球環境保護のため、それぞれ努力することが重要であるとされた。
議論では、
・太陽光パネルの廃棄のコストは考慮されているのか。
→屋根から下ろして運搬するのに10万円+処分費など考えなければならない。メガソーラーの廃棄時にはどうなるか問題だ。再利用は可能だろうが、そのシステムはできていない。これからの課題である。
・太陽光パネルの耐用年数はどうなのか、また年々効率が低下するのではないか。20年で75-80%で直線的に低下。周辺設備の方が問題ではとも。国産のものは大丈夫ではないか。
→本当の耐用年数はまだわからない。性能低下は10年くらいは大丈夫だろう。20年くらいは大丈夫ではないか、あまり効率低下しないのではないかとも言われるが、確かではない。製品によって差が出るかもしれない。
・自分の家の施設は7年間たっているが、あまりかわらない。
・PVNetで1/3くらいの回答が効率は落ちたという報告もある。
→国内の製品でも中国産のものも結構入っている。
技術的な問題ではないが、買い取り期間が終わったら、メガソーラーは一斉にやめる可能性がある。
・直流から交流への変換の段階でかなりロスはあるのでは。
→たしかに小さい規模の場合にとくに変換や昇圧の際にロスがある。
・太陽熱利用の可能性は。
→たしかに太陽熱利用は非常に効率がいい。建築で屋根に水を持って行くのを嫌う傾向もあり、アサヒソーラー事件というのがあって、強引な訪問販売で、悪い印象を残している。設備費の回収効率もよい。
・エネルギー政策については、指摘されているように、国や政治家のリーダーシップが大事だと思う。いまは国の方がふらふらしている状況。
・大和ハウス等で二重窓で太陽光パネルをくみ込んだサッシが開発されているようだが。
→窓や壁を使うアイデアはあり、商業ベースに乗ってきつつある。コスト面が問題であろう。断熱効果を組み合わせて多機能性を評価すれば可能性があるだろう。
・蓄電池の開発状況はどうか。
→技術的には進んできているが、性能のいいものはレアアースやレアメタルを使用するので高価である。
Youtube は以下でご覧いただけます。
http://www.youtube.com/watch?v=smBAvHN-Ogk
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