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ベトナムの赤ひげ先生服部匡志さんの講演会が山口大学医学部でありました。

2013年05月20日

 5月19日(日)午後、「本当の幸せって何?」という演題に惹かれて服部先生の講演を聴きに行き、いろいろなことを教えていただきました。環境サロンがしばらく休みですので、「世代間対話」シリーズの延長としてその概要を紹介します。
 服部先生は37歳の時からベトナムの国立ハノイ眼科病院にボランティアで入られ、49歳のこれまで私財も投じて、6千人もの人たちの視力の回復に献身されてきています。
 ベトナムの病院スタッフとの関係、はじめはこのドクターは何をしに来たかと見ている。行動でしめすことによって、徐々に信頼を得てこの人は本当にベトナムの人を救おうとして来てくれていると分かって協力してくれるようになった。一度、もうイヤになってロッカーを蹴飛ばし、エレベータで下りかけたとき、ようやく、「次の順番を待っていた患者はどうなるのか」を考えたときに思いとどまり、引き返した。スタッフに頭を下げて、手術を手伝ってくださいとお願いし、スタッフが動いてくれたそうです。往々にして日本の企業などでは上から目線でものを見ることがあるが、これでは理解が得られない。お互いに尊敬し合う気持ちが大事だということ。言葉は通じなくとも、行動で通じるということでした。

 先生は、日本とベトナムを半分半分の生活で、日本に帰ると日本各地の病院で手術をされる。ベトナムでの仕事はすべて無償で渡航費や滞在費も自己負担なので、日本での手術が収入源である。あるとき日本に帰る前日に、田舎からやってきた失明寸前の年の眼を手術されたことがある。手術の代金は無料であるが、出てくる交通費、ホテル代金だけでも月収の5倍くらいかかるという。普通、術後の患者さんの状況を見ることはあまりないが、その後日本のジャーナリストが彼を取材して、こども達とサッカーのボールを蹴っている姿を収めたビデオ見て、うれしくて胸が熱くなったという。実際、前の椅子にすわってその映像を見ていた先生はメガネを外して、涙をぬぐっておられた。
 先生に回ってくるのは重症の患者で、1人1時間半はかかるような手術を一日に10人されることも珍しくないようである。最近はハノイだけでなく、田舎の方にも出張されるそうである。現地で後継者を育て、これからはさらにみゃんばーやラオス、カンボジアまで視野に入れておられるようである。

 学生さんの質問で、「奥様はどう思っているのか」との質問で、年収は何千万から4,5百万に落ちたという。はじめは反対された。マンション購入の頭金にするつもりだった貯金をはたいて数百万の医療機械を買ってベトナムに持ち込んだときにはさすがにしばらく口も聞いてくれずご飯もつくってくれなかったという。しかし、メディアの報道など通じて、理解してくれ、応援してくれている。いつも感謝を忘れない。
 学生さんの「どうしてそんなに持続できるのか」という質問に患者が喜んでくれて幸せをもらえる。お金ではない。してやっているという気持ちを持っていてはだめ。見返りを求める。なにかしてもらって当然とか考え、続けることはできない。自分でやりたいという気持ちがあってこそ続けられる。
 こちらが質問した、宗教心のようなものの支えはあるのかという問いには、浪人中苦しかったときに図書館で勉強していたが、マザーテレサの本をよく読んでこんな人になりたいと思った。お父さんはきびしい人だった、お鍋で頭をたたかれたこともあったが、胃ガンでどんどん弱くなっていかれた。お母さんも厳しい人だった。
演題の「しあわせって何」ということに関しては、人を助けることができる、それがしあわせなんだ。助けることに遠慮は要らない。患者から感謝の言葉がもらえてももらえなくても関係なく、与えられることを幸せに感じることが大事ということだった。

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