環境サロン「環境経営マネジメントシステムの狙いと課題」(話題提供:津島榮)がありました。
2012年12月27日
12月26日(水)今年最後の環境サロン「省エネ対策を実行する」第3回として、ISO14001やエコアクション21(EA21)に詳しい津島さんに話していただき、EA21を取得された、あるいは検討中の企業の方々を含めて、大勢の参加者があり活発な議論が行われました。以下は話の概要です。
環境負荷は、可能な限り削減する必要があるが、環境法令規制値は守らなければならない最低限度の管理レベルであり、守れなければ罰則がかかる。これに対して、環境経営マネジメントシステムは、たとえ法規制外のことであっても、社会的責任において、環境への負荷を自主的に、可能な限り削減していくことが期待される。つまりIS14001やEA21といった環境経営システムの認証を取得して、自主的、継続して、環境負荷削減に取り組むことが求められている。 EA21はISO14001の考え方や方法論をほぼ踏襲したものであるが、中小企業向けに取り組みやすくした国内版である。
EA21の要求事項は、①環境関連法令の規制や基準値を遵守すること、②自主的に目標を設定し、達成すること(二酸化炭素の排出量、廃棄物、水、化学物質)、③PDCAをスパイラルアップして負荷削減の取り組みを継続すること、であり、具体的には13項目の要求事項がある。これをPDCAサイクルとして機能的に整理すると、6に示す図のようになる。すなわち、まず環境への負荷と取り組み状況の把握が行われ、環境方針の決定→環境目標の策定→計画の策定→計画の実施→実施結果の確認・評価→問題の是正及び予防→代表者による評価と見直し のプロセスになる。これらを環境レポートとして作成し公開するとともに、環境方針の策定に戻り、このサイクルを継続していくことになる。
現在EA21取得数は日本で7551、山口県61、宇部市12で、宇部市は緊急雇用事業の実施もあり、よく健闘している方である。普及促進に当たっての課題は、やはり経費(資格取得・廃棄物処分・コンサルタント)、経営資源、取得の目に見えるメリット(費用対効果)がある。また、その維持に当たっては、効果的な環境目標を継続できるか、フォローアップの体制などが課題としてあげられる。
効果的な環境目標の選定については、インプット(原材料、電気、水、化石燃料、化学物質など)、プロセス(製品デザイン、製造、検査、施設維持、販売)、アウトプット(製品、メンテナンス、廃棄物、使用済み製品など)の各段階で取組を継続することができる。 商社や建設設計会社でも、単に、事務所の省エネといったことだけでなく、扱う商品の選択や、環境に優しい施設の設計など、様々な取組に広げていくことが可能である。
質疑応答では、
○板ガラス協会にいたことがあったが、ペアガラスの普及に努めたが、日本ではなかなか拡がらなかったが、韓国では大きな道路脇のビルの3階以上は、非常時に滑走路と使用できるように、ペアガラスを義務づけているので、普及が進んでいる。電力削減でも、深夜のテレビ番組を制限するとかする必要があるのではないか。
→たしかに効果的であると思うが、なかなか義務づけや強制の導入はむずかしい。
○セメント瓦、ブロックの製造販売、屋根工事を営むEA21参加企業からの事例報告として、30年前頃、セメント瓦はモルタルを圧縮してつくるが、排水処理が必要であったが、、すぐろ過装置が数ヶ月で詰まり、困難であった。現在は水をクローズドにして、水使用量も激減させた。また、養生についても初期加熱を省き、水和熱だけで養生するようにした。塗装についても有機溶剤を使う塗料から水性塗料に替えるとロスが多く、火災の危険もあったため、静電塗装システムをいちはやく導入した。環境に配慮した対策を早く導入したため結果的にかつて350あった、同様の会社が今は我が社しか残っていない。EA21導入は社員を育てるのに役立つと考えている。
○浄化槽の管理からH18年から食品リサイクル、天ぷら油りのBDF化、廃プラのリサイクルにも進出した。許可期限が5年から7年に延びるというメリット、社会的責任によるイメージアップを図るということで、認証を取得しようとしているが、全員が意識を持って取組むことで、人が育つと感じている。
→確かに人を育てるという副次的効果は大きい。それぞれ自分の仕事についてPDCAサイクルを回して、業務の効率化改善を図ることができれば、企業はすばらしく発展する。そういう企業は人の動きもてきぱきしている。歩き方が早いようである。
○建設会社で、入札条件に考慮されるということで、ISO14001をとるところが多かったが、その後ロードがかかる、それに見合うメリットがないということで脱落したところもある。EA21については、社員教育に効果があると思うが、まだ認証をとるか思案中と言うところ。
→やはり費用対効果がどうなのかということが大事だということがある。
○山口県立大学では、2006年にEA21 を認証取得したが、残念ながら昨年認証を継続しなかった。環境システム副専攻があり、そのなかで環境経営システムについても教えている。EA21
1)トップの意識、2)担当者だけに任せきりにならず全員で取り組まれている、3)全員のやる気を引き出すための評価
→8つあげられているが、たしかにそのあたりが大事であると思う。全員が意識を持って取り組んで行かないと徹底しないし、社長が評価しないと進まない。また、日常的に
○計画には、環境負荷削減の計画と、環境管理システムのそれぞれのプロセスをどう進めるかという計画の二通りがあるということだが、EA21の管理システムの計画というのはどういう内容か。
→ISOでは全体をSusterms Aproach、環境法令のチェックやなど、一つ一つを具体的にどう回すかはProcess Aproach と読んでいる。環境関連法規のとりまとめを具体的にどうするかとか、それぞれの
○宇部市がISO14001を継続しなかったこととも関係するが、EA21 を維持していくと、効果が小さくなってくると思うが。
→宇部市の場合は、下水処理場やごみ処理などの現業部門等に取組を広げなかったのが問題である。
また一般に取り組みやすいものは始めに実施し、その後は省エネ照明に切り替えたり、太陽光発電を導入したり、投資を必要とすることが多くなり、費用対効果は厳しくなる傾向はある。
○アイデア提案制度を適用してはどうか。職員の資質を向上させることもできる。
→むかしは品質とコストについてそういう小集団活動がなされた。最近はそれに環境が加わっている。社長が経営の道具としてしっかり上手に使うかどうかが重要だと思う。企業に相応の活動をすることが大事である。
Ustream はhttp://kankyo-salon.jpn.org/syouene.html
本シリーズ次回は1月23日(水) 省エネの家づくりについて工学部の小金井真先生に話題提供いただきます。
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